Sneaker TIPs


つま先周りを補強して余計な皺とシルエットの維持

 何かと人気のエア・フォース1。しかしアッパーの革はヘニャヘニャなものが多い。つま先の補強など何の役にも立たないと思われるほどのヘニャっぽさ。
まぁ、ナイキの製品はエア・フォース1に限らずヘニャヘニャだったりする場合が多いが、稀に左右で革質が違っていて片方は革に張りと弾力があるがもう片方は張りも弾力も無く、指で押すと押されたままと言う妙にヘタレきったような状態なヤツにぶち当たる時があるので勘弁して欲しい。AJ1REが一足、AF1が3足ほどこういう物に出くわしてる。買うときチェックしてるつもりでも履き出してからじゃないと判らない場合もあるので油断できない。
 どうせ履けば皺がついてくるので関係ないと思われるが、このような革質に左右バラツキのある物(重要なのはアッパーの部分)の場合ヘタレきったような状態の側は皺が無数に発生し、彫りの深いシュリンクレザーのような状態と化すのだ。フト、足元を見た時に明らかに左右違う印象になり、かなり気が滅入るのは手にした者なら理解できると思われる。
 片方づつ革質が違うと言う件は稀に遭遇する事と言う事で話をヘニャヘニャ・アッパーを含めた話に戻すと、これらヘニャヘニャアッパーの場合履き込むと履き皺はつま先回りにまで及びシルエットはヨボヨボな状態となっていく場合が多いが、この対策としてスケートでのダウンヒルなどハードなライディング用にスニーカーを補強する手法が前出の余計な履き皺を軽減させる事
に貢献する。しかし、扱う物と作業手段から素人にはお薦めできない。

今回、用意したのはコレ

献体?となったのは、エア・フォース1/白ベースのステッチ・バージョンのミッドカット。
そこはかと漂う不人気感
が反って履きたくなる?そしてアッパーのヘニャヘニャぶりはシリーズの頂点に達してるのではないか?

 補強を前提とした靴を選ぶ場合、つま先周りの空間には十分なゆとり(約1cm)があるサイズを選ぶ事が必要。

屈曲する都合上、最低限の皺ができるスペースは必要なので1〜2日ほど軽く履いて皺のつき具合を確認しておく。これを間違えて補強するととんでもない履き心地になるの。

補強する材料

グラスファイバーやカーボンファイバーに使われるエポキシ樹脂を使用する。
靴のつま先と言う作業的に困難な部位に使用する為
サーフボード等に使用されるような流動性の高いタイプではなくボンドとして発売されている高粘度タイプで速乾性(約5分)のタイプを使用する。このタイプは薄く流布した状態ではそこそこ柔軟性もあり都合がよい。

エポキシ系樹脂は主剤と硬化剤の2液に分かれており混合比率はタイプにより様々。今回使用しているタイプは扱いやすい1:1混合のタイプだがうまく混ぜ合わせられなかったり、比率を間違えるとちゃんと固まらなかったりするのは他のタイプと同様である為慎重に。

補強の構造としてはグラスファイバーとはガラス繊維の代わりに靴の裏の当て布を利用する点が違うだけで基本的には同じようなもの。もちろんガラス繊維やカーボン繊維を重ねて更に強靭な補強を行う事も可能。ただしこの場合中途半端な肉厚だと強い衝撃を受けた場合割れてしまい足に突き刺さる危険が伴うので注意が必要。

今回、補強する部分は画像の矢印から上の部分を補強する。型崩れ防止としては補強面積が少ないと思うかもしれないが違和感のない十分な屈曲を維持するには試履きを繰り返した結果このフォース1ではこの辺が限界と思われる。

さて、十分に混合したエポキシ樹脂を目的とする部分に流布するわけだが、ここが一番難しいポイントである。靴のつま先の中と言う見えない部分に流布する為、手探りで行うしかないので流布する位置を確かめる十分な練習が必要である。流布の仕方は人差し指に直接エポキシ樹脂を拭うようにとり目的の部分に塗っていく、塗る場合の厚みはアッパーに面した部分は生地のざらつきが残る程度にとどめ、ある程度柔軟性を残し、つま先の先端や切り返しの部分はまぁ、好みで適当にと言ったところか?厚く塗り過ぎると問題も出やすいので程々にとどめる。薄すぎの場合は後で重ね塗りすればいい
※エポキシ樹脂を塗るにあたっては手探りで塗るしかない為、指の感触が頼りとなるので素手で直接塗ることにしているが、人によっては肌荒れやアレルギーを起こす可能性があるので手術用のゴム手袋を利用してみるのもいいだろう。


無事に硬化が確認され早速履いて確認してみる。
塗りが足りないと思われる部分は重ね塗りを行う。

ちなみに靴紐はMIZUNOの野球用パーツ110cmに交換している。紐がベロクロの部分に当たってもケバ立ち難いなどの特徴がある。

完成

めいっぱい屈曲させてみる。つま先まで余分な皺は発生せず。

つま先周辺まで皺が寄るような製品に当たってしまった場合は手間はかかるが有効な手段の一つである。

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