市販PWMファンコントローラーまとめ
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DCファンの可変速制御方法
可変速制御の種類
アナログ方式の可変速制御
パルス幅変調(PWM)方式
ファンコンの導入
PWM対応ファンコントローラー

Corsair Corsair Link & Commander Mini

Corsair Commander PRO

aqua computer aquaero

Thermaltake Riing RGB Premium Edition

PWM-Master CA-PWM

 Corsair Link software

DCファンの可変速制御方法
モータの駆動電圧を変化させれば速度が可変に出来る。
この駆動電圧を変化させる方法にはアナログ方式とパルス幅変調方式の2種類の方法がある。
コルセアHD120

 
可変速制御の種類
 
 
■アナログ方式の可変速制御(3pinコネクタのファン)
駆動電圧そのものを直接変化させる。
可変抵抗器などを使って駆動電圧を変化させる事により回転スピードを変化させる。
この原理上、電圧を下げても電圧消費量は変わらず熱となって消費し続ける。
特にファンが回らなくなるほど電圧を下げた場合、電力使用効率が悪化し発生する熱も大きくなり、焼損の危険性もある。
安全性確保の為、市販の電圧制御のファンコンは可変範囲に制限を設けて、ファンが回らなくなるほど下げる事は出来ないのが普通である。
現在、市販されているファンコンの約98%がこの方式である。ディスプレイの華やかさ等、ビジュアル的に楽しめるものが多い。 昨今のエコや省エネの流れでこの方式は廃れていくと思われる。
 
 
■パルス幅変調(PWM)方式(4pinコネクタのファン)
半導体がオンとオフ状態が最も損失が少ないことを利用した電力制御方式。
パルス幅を変化(パルス幅変調=PWM(Pulse Width Modulation))させて疑似的に駆動電圧を変えているのと同じ効果を出している。
コルセアHD120
回転数を下げれば電圧消費も減っていくので電力使用効率が高い。
パルス駆動によるモータの振動音、電気ノイズの発生等の問題を抱える場合がある。
まともな製品のファンは最低回転数と最大回転数がファンによって決められその範囲を超えた運用は出来ない。
この方式に対応したファンコンで市販されたのは2種類ほどしかない。価格も高価で実質市販で手に入る商品は無いに等しい。  
 
なお、どの方式にしてもファンの回転数を0にしたい場合、電源を切る装置等を用意するのが望ましい。
 
※電圧制御のファンはそのままではPWM制御に対応できないが、PWM制御のファンは電圧制御にも対応できる上位互換性がある。

 
ファンコンの導入
 
これからファンコンの導入を考えているならPWM対応が望ましいが、昨今のPCケースは5インチベイや3.5インチベイが無いものが主流となっており ベイに搭載するタイプのファンコンは今後は無くなっていくと思われる。
また、LED照明や水冷システムの制御など、これらの複雑なコントロールを行うためにはPC上で操作が可能でインテリジェンスな製品が求められている。
一方、マザーボードにPWM対応ファンコントロール機能を搭載した製品が普及したおかげで、ファンコン単体への需要も減ってきているのが現状だ。  
しかし、マザーボードのファンコネクタ数はハイエンド系以外は、コネクタの数が少なかったり、温度センサーと連動するような高度な設定をしようとしても融通が利かなかったりソフトウェアが使いにくいか不安定と言った問題に直面する可能性もある。

コルセアHD120
マザーボードのファンコントロールをwindows上から利用するとなると、付属ソフトのインストールが必須となるが、ASUSの付属ソフトウェアのように機能は優秀だが 不具合の元凶になる可能性が高いという地雷的問題があったりする。
 
windows上からのファンコントロールとしては現状、フリーソフトの「SPEED FAN」を利用する方法があるが、すべてのマザーボードに対応出来る訳ではない事と、 設定のわかりにくさなど扱いづらい面がある。
 
最近のGAMING PC の人気でLEDの発光機能と一緒にファンコントロール機能が端子の増加とともに強化されてきてはいるが、 ミドル及びハイエンドクラスだと4つ以上のファンコネクタを持つのが当たり前の様になった一方で温度センサーが固定されて融通がきかない、数も少なかったりするなど 任意の場所の温度と絡めた高度な設定等には向かない。
 
これらの問題を解消し、コンピューターらしいインテリジェントな制御と操作を可能にした、マザーボードにとらわれない独立したPWM対応コントローラーが欲しいところだが 予算やコストとの兼ね合いもあり大抵の場合、マザーボードに付属した機能で済ましてしまうのが大半であろう。 そんな需要が見込めなさそうなジャンルだが、製品として入手可能なインテリジェントなPWM対応コントローラーが現在3種類に増えた。
PWM対応インテリジェント(スマート)・ファンコントローラー
 
 
■ Nzxt GRID+V3
 
GRID+V3
GRID+V3 Nzxt
ファン制御に特化した、PC上から制御できるインテリジェントコントローラーの新製品。
基本的には同社製のGRID+V2がPWM対応になったもので。売りはファン制御に特化したシンプルな操作性だろう。
温度センサーなどは接続できないので、温度に絡めた設定はマザーボードに搭載されている温度センサーに依存する為、 VRMやメモリと言った任意の場所に温度センサーを設置して温度に連動させてコントロールするような自由度は無い。
 
仮にマザーボードにVRMやメモリの温度センサーが搭載されていたとしても、GRID+V3の管理ソフトウェアがそのセンサーを認識してくれなければ無意味となる点に注意。
 
面白い機能として、付属のノイズセンサーを設置してシステムの騒音を測定し、ファン速度をコントロールできるというものがある。
温度に合わせてファンを制御するというこれまでのアプローチとは違う、騒音に合わせてファンを制御するという斬新な制御はユニークだ。
 
 
スペック 
 
本体サイズ: 125 x 78 x 15 mm
ノイズ検出モジュール サイズ: 35 x 15 x 10 mm
重量: 147g
ファン接続: PWM対応、コネクタ数 3ピンまたは4ピンPWM x6、出力電圧 最大5W
 
 
■ Corsair Corsair Link & Commander Mini ※販売終了
 
Corsair Link
「Corsair Link」が発売、ファンやLEDをPCから統合制御 akiba-pc.watch
温度管理、ファン制御、LED など、PC上から制御できる、インテリジェントコントローラーの急先鋒だった。
基本的には同社製のCorsair Link 対応電源ユニットやLEDテープ等の制御を目的としたものだが、 対応機器が少ない上にディスコンになっている物が多いなど Corsair Link 対応自体は単なる付加機能と思っていいだろう。
 
Commander Mini
コントロールソフトウェアの完成度が低く不評でこのまま闇に消えるかと思われた Corsair Link が Commander Mini へとモデルチェンジし、不評だったソフトウェアも地味にアップデートを重ねてかなり使える製品となった。
Corsair Link 対応機器の HUB 的印象が強いために対応した機器以外使えないと勘違いされてる場合も多く、 その有益な制御機能とソフトウェアが広く認知されずに埋もれてしまった感がある。
Corsairのシステム管理ユニットに小型モデルが登場 akiba-pc.watch
Corsair Commander Mini 製品情報
 
 
■ Corsair Commander PRO
 Corsair Commander PRO 製品情報
Commander Mini が市場からほとんど姿を消してこのシリーズも終焉かと思われたが、 注目されることもなく後継機がフッ!と登場した。
Commander-PRO

・Commander Mini では接続できなかった対応機器も対応できるようになった。
・PWM対応4PINファン用コネクタが6基、
・温度センサー用コネクタが4基
・3PIN のLEDコネクタが2基
 
ファンコントローラーとしてはCommander Miniと変わらないものの、LEDコネクタが2基に増えた事と Corsair Link対応水冷CPUクーラーが接続できるようになった。
LEDコネクタが3PINの独自規格で過去に発売された同社製LED搭載製品が4ピンコネクタタイプ(使用ピン数は2)と コネクタ互換性がないのが残念なところ。
また、LEDコントロールには別売りの CORSAIR Lighting Node PRO があり、それに付属する変換ケーブルを使用することによって 4PINコネクタタイプに変換することも可能だが7000円以上の出費が必要。
Commander Mini と Commander PRO どちらでもファンとLEDの制御を一つのアプリで実行できるがLED制御に関しては本格的に行うには 工夫と妥協か出費は避けられない。
特に複数のメーカー製LEDユニットを混載し制御を細かに行う場合、3ピンという独自コネクタ規格は厄介だろう。

 
 
 
■ aqua computer aquaero 6以降
 
aqua computer aquaero 6 XT USB fan controller pc.watch
 
aquaero は数種類のモデルがあり、リモコン付きでタッチパネル対応、リモコンなし、ディスプレイ無しといった物が日本で販売されている。
製品名からも推測できるが水冷システムの監視・制御も得意とし水量計や水温計などのオプションも豊富とPWM対応ファンコンの王者的製品。
機能、拡張性、カスタマイズ性のいずれも不満になることはないだろう。最大の欠点は価格の高さと高機能ゆえに設定及び使用方法などを理解するには 英語マニュアル(大雑把)の解読と試行錯誤は必須な事。また、欲しい時に適切な価格で購入できるとは限らない入手性の悪さか。
購入の際における注意点としてaquaero 6以降の製品を選ぶこと。 古いaquaero 5が安く売られていたりするがこれはFANコネクタはPWM式じゃない3PINなので要注意だ。
 
・PWM対応4PINファン用コネクタが4基、オプションで最大12台までのファンをコントロール
・温度センサー用コネクタが4基
 
LEDの制御端子もあり、RGB LEDを接続して温度に応じてLEDの色を変化させる事が可能。
最強と言える製品だがアプリケーションなどはその機能性から直感的に操作、設定が出来る訳もなく、良く言えば本格的、悪くいえば分かり難くめんどくさい。
そして、水冷システムまで考慮した多機能故にそこまでの機能を望む利用者は限られるため、主流とはなっていない。
これは、エンスージアスト向け製品と言えるだろう。
 
 
 
その他
 
■ Thermaltake Riing RGB Premium Edition  
PWM対応ファンコンとしての可能性を感じさせる Thermaltake Riing RGB Premium Edition
Thermaltake が開発した、「 Riing 12 RGB Radiator Fan TT Premium Edition 」及び 「 Riing 14 RGB Radiator Fan TT Premium Edition 」 はLEDによる発光をコントロールする事が出来るファンが特徴の製品として販売されているが、この製品はLEDの他にファンのスピードもコントロール可能だ。 コルセアHD120
しかし、残念なことにコントローラー単体の販売はなく、ファン3個とセットでのみ販売という容易に購入に踏み切れない商品構成となっている。 また、仮に単体で販売されたとしても、コントロール機能がファンのLEDとファンの回転数のみとコントローラーとしての機能には不満が残る。 これが、汎用LEDの調光機能としてもコントロール出来、温度センサー対応でファンの回転数と連携できるようになれば、有望な製品となりえるだろう。
コルセアHD120   コルセアHD120
 
     
 
 
■ PWM-Master CA-PWM
PWM-Master アイネックス
 
PWM制御ではない3ピンのファンをPWM制御に変換するケーブル。
20cmクラスの大口径ファンなどのPWM非対応ファンをPWM制御に変換できる貴重なアイテム。
注意点としては回転数のパルス信号を送信しない2ピンファンでは使用できない。
ファンによっては回転数を抑えた低電圧時にファンが停止したり、予期しない動作が起こる場合がある。
DC入力: 12V
最大電流:1A アマゾンのユーザーレビューで3Aと書かれているが、誤った案内によるもので、3Aには対応しない。
DC出力: 4V (PWM 0%時) ~12V (PWM 100%時)
ケーブル長: 約20cm (PWM変換部含む)
 
 
 
 
 
Corsair Link software
 
システムの管理やモニタリングがPC上から制御可能な統合管理ツールではどんなことができるのか?ここでは Corsair Link software で紹介する。
 
Corsair Link software は、ファン回転数や温度の管理、負荷に応じたLEDの発光パターン制御、各システムログの保存からイベント発生時のトリガー設定など、 直感的に操作できるインターフェースと軽快な操作性が非常に馴染みやすい統合管理ツールである。
Corsair が制作・配布しているソフトウェアである為、動作させるには Commander Mini やCommander PRO など Corsair のコントローラユニットが必須である。
 
Corsair LINK はバージョン 4.7.0.77 からAMD のAM4プラットホームにも対応し、発光パターンなど照明制御が可能になった。
Corsair Link software ダウンロード
 
 
スタート画面

表示される情報は、マザーボード、グラフィックスカード、ストレージの温度やメモリーの設定情報、などwinndows上で認識できているセンサー情報は 殆ど表示されると考えていいが、CPUの動作クロックは表示されない。
Corsair 製水冷ユニットの Corsair LINK 対応モデルであれば、水温、ファン、LEDなどの情報も表示される。
Corsair Link softwareその1

 
 
設定画面

画面表示設定は任意の画像を背景にして、温度やファン回転数などの情報タグを自由に配置できるのが特徴で、 これによりどの情報タグがどの部分を指しているかが一目瞭然となる。
Corsair 製のケースであれば古い機種に至るまで画像が用意されている。
Corsair Link softwareその2

ファンの設定はグラフをドラックして温度と回転数を絡めた指定を自由に設定できる。
Corsair Link softwareその2
 
 
オプション
 
Windows起動時に自動起動させる等、Corsair Link に関する設定を行う。
 
 
グラフ表示
 
各種情報はグラフ表示可能で個別に任意のグラフだけ表示させる事もできる。
ログファイルに記録する事もできる。
Corsair Linkに対応したCorsair製の電源ユニットを接続している場合は、消費電力のモニタリングや電源ファンの制御が可能。
Corsair Link softwareその2
 
 
LED制御の内容は使用するLEDユニットにもよるが、コルセア製LED搭載メモリーモジュール「Vengeance RGB」と「Vengeance LED」の場合、「Configure LED」ウィンドウから、LED点灯モード、点灯モードの速度などをモジュール毎の独立もしくはグループ連動で設定、制御できる。