月刊LaLaインデックス2001
MONTHLY LaLa INDEX 2001

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 白泉社月刊LaLaのインデックスデータ。その2001年版。独断と偏見に満ちた星取表(5点満点)と短評付き。


月刊LaLa 2001年12月号
表紙水野十子「遥かなる時空の中で」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「オコジョさん」宇野亜由美ギャグその61★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第43回 ★★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第53回ACT61★“Perfect world”★★★★
「千年の雪」葉鳥ビスコ第1回5th. snow★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第11回(2本立てパート1)★★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第11回(2本立てパート2)[八弦琴編・後日譚]★★
「オコジョさん」宇野亜由美ギャグその62★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第31回 ★★★★
「八雲立つ」樹なつみ第72回天と修羅・2★★★
「23:00」マツモトトモ第5回SEC:05★★★★
「お迎えです。」田中メカ19(学園編)★★★
「輝夜姫」清水玲子第86回 ★★★★
「彼方から」ひかわきょうこ第5部・第16回 ★★★★
「fun fun工房」渡辺祥智第14回 ★★★★
「とらわれの身の上」樋野まつり第3回(第22回)★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「ガートルードのレシピ」草川為第3回 ★★★★
「スーパーロングマン」吹原小雪第2回 ★★★
 今回もまあ、引き続きちょっと★★★★安売りかな、という感じもするんだけど、まあ、面白いものは面白いのでしょうがない(笑)。考えてみると、制作段階からタイアップしているゲームが大ヒットして、連載作品が次々とアニメになったり、CDドラマになったりしている現状は、現代的なメディアミックスとしては戦略的には大成功なわけだし、これはこれでいいのかも。まあ、1980年代前半のラディカルな時代と比べるとなんて遠くに来てしまったことか(笑)、と嘆息するのはオールドファン(笑)の観点てやつかなあ(笑)。
 そのゲーム関係(笑)でいうと、水野十子『遥かなる時空の中で』が今回は本筋とは無関係な番外編なのだが、コミカルな中にキャラクターの持ち味が上手く生かされていて、けっこういい味出していて、こういうのを読むとゲームと関係ないオリジナルの作品が読んでみたくなる……てなことは前にも書いたか(笑)。
 なかじ有紀「ビーナスは片想い」がまとめに入った雰囲気。これまでにも書いたけど、キャラクターの楽しげなノリの描き方と恋愛以前のつかず離れずの関係の楽しさ、もどかしさ、などの表現という点では、多少新境地を開いた感があって、連載開始時に受けた印象より評価は上がってきている。
 『輝夜姫』は……いやあ(笑)、設定と展開はシリアスなはずなんだけど(笑)、キャラクターが暴走しまくっていて楽しい楽しい(笑)。『彼方から』は本当にラス前、という感じ。ここのところチモというテレポート生物を多少ご都合主義的に使いすぎてる、って気もするんだけど、ノリコという普通の少女が極限状況で選択を迫られた場合にどう行動するか、というあたりが効いていて、ラス前の展開としては必要にして十分。ただまあ、この作品には必要十分以上を期待していたところはあるので、その点では多少残念な面もなくはない。
 渡辺祥智『fun fun工房』はなんというか、歪んだキャラクターたちのやりとりがかなり楽しくなってきたので、今回は★★★★。デビュー当時からすると雑で粗くなってきている絵も、雑は雑なりに安定してそれなりの味が出てきている点もややプラス。
 草川為『ガートルードのレシピ』は引き続きほどほどいい感じの盛り上がりになっている。先が楽しみ。(2001/11/04)


月刊LaLa 2001年11月号
表紙清水玲子「輝夜姫」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「お迎えです。」田中メカ18(学園編)★★★
「fun fun工房」渡辺祥智第13回 ★★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第42回 ★★★
「スーパーロングマン」吹原小雪第1回 ★★
「八雲立つ」樹なつみ第71回天と修羅・1★★★
「目隠しの国」筑波さくら第13回 ★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第52回ACT60★“1”★★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第10回 ★★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第30回 ★★★
「オコジョさん」宇野亜由美ギャグその59★★
「ガートルードのレシピ」草川為第2回 ★★★★
「23:00」マツモトトモ第4回 ★★★★
「火宵の月 Version.S」平井摩利第6回〜解禁・6〜★★★
「輝夜姫」清水玲子第85回 ★★★★
「とらわれの身の上」樋野まつり第2回(第21回)★★
 今回もまあ、ちょっと★★★★安売りかな、という感じもするんだけど、水野十子『遥かなる時空の中で』が連載始まって以来初めての★★★★。敵の仕掛けた罠とそれを破る方法についてのアイデアと、それに絡むキャラクターの絡みがなかなか上手く描けていたので。あと、『ガートルードのレシピ』も空間のはざまに存在する悪魔の図書館のアイデアがなかなかよかった。マツモトトモ『23:00』は、まあ、ぶっきらぼうだけど実はダンスの天才という少年と、それに惹かれるちょっと天然系の少女、という構図はほとんど前のシリーズ『キス』そのまんまという気がするけど、相変わらず絵としての見せ方、演出が効いていて、さらりと読まされてしまうあたり、やっぱり上手い。
 なんと連載になってしまった吹原小雪『スーパーロングマン』は、長髪で髪フェチの変人少年(笑)と、その少年が変人になる前から想いを寄せている少女、というシチュエーションなのだが、投稿作ではただ単に髪をのばしているちょっと変なヤツ、だった少年が、2作目以降(今回が3作目)かなり人間ばなれした切れたキャラクターになっていて(笑)、その辺が許容できるかどうか。まあ、単純にコメディとしてはそこそこ楽しめるが、違うキャラクター、シチュエーションで同じようなテンションを維持できるかが今後の鍵であろう。まあ、たこい的にはまだ判断は保留。しかしそんなに人気あったのか(笑)。
 樹なつみ『八雲立つ』はすっかり話がまとめに入っているけど、わけのわからないくらいのパワーで読者を引っ張っていく力、という点では以前の『パッションパレード』とか『花咲ける青少年』よりテンション的にはワンランク落ちる。かな。「まとめに入ってるな」ということがあからさまにわかる、というのは、物語の中盤がちょっとだれていた、ということの反動でもあると思う。(2001/10/11)


月刊LaLa 2001年10月号
表紙樋野まつり「とらわれの身の上」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第51回ACT59★そして時は流れ★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第29回 ★★★
「オコジョさん」宇野亜由美ギャグその58★★
「目隠しの国」筑波さくら第12回 ★★★
「目隠しの国」筑波さくら読切特別編「目隠しの犬」★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「八雲立つ」樹なつみ第70回由良と震えて・6★★★★
「とらわれの身の上」樋野まつり第1回(第20回)★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第41回 ★★★
「ガートルードのレシピ」草川為第1回 ★★★★
「輝夜姫」清水玲子第84回 ★★★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第9回 ★★★
「SUPER MASTER」夏目イサク読切 ★★
「とびっきり!」呉由姫読切 ★★
「逢魔が時に会いましょう」吹原小雪  
「彼方から」ひかわきょうこ第5部・第15回 ★★★★
「fun fun工房」渡辺祥智第12回 ★★★
 マツモトトモは今月も復帰してない。津田雅美『彼氏彼女の事情』はいきなり主人公たちが高校3年生になってしまっている。なかじ有紀『ビーナスは片想い』はここのところ登場人物たちの日常の楽しさを上手く演出していてマル。筑波さくら『目隠しの国』は、主人公たちの特殊能力を利用しようとする悪役(?)が登場してちょっと新展開、かな?
 清水玲子『輝夜姫』は今回、晶とまゆを中心にお互いにお互いの存在に激しく執着し合う人間関係がもつれまくって、激しく盛り上がっている。樹なつみ『八雲立つ』はストーリー的にはもう完全にまとめに入っている感じ。
 ひかわきょうこ『彼方から』もまとめに入っている雰囲気だが、今回はノリコと敵の親玉ラチェフの対峙がメイン。前にラチェフは負のイザーク、という評を書いたことがあったが、今回のノリコとの会話で明かされるラチェフの求めるもの、から感じられる印象は、まさにそんな感じ。
 期待の草川為『ガートルードのレシピ』は、ヒロインの兄にして主人公ガートルードの創造主(の転生体?)が、悪魔を次々と差し向けてくる、という、物語設定の逆『どろろ』(主人公が妖怪に奪われた身体のパーツを探すんじゃなくて、悪魔の身体のパーツを集めて作られた主人公が自分のパーツを奪い返そうとする悪魔に狙われる)な部分を生かした展開で、こうしてみるとこの作品、連載向きの設定だったんだなあ。まあ、1作目の時点でも「シリーズ化に適した設定」とか書いた覚えもあるけど(笑)。
 まあ、佳境に入っている連載が多いせいもあるけど、今月はかなり楽しめました。(2001/08/29)


月刊LaLa 2001年9月号
表紙渡辺祥智「fun fun工房」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「おまけの小林クン」森生まさみ第40回 ★★★
「極楽特急〜バスのある風景〜」森生まさみ読切 ★★★
「fun fun工房」渡辺祥智第11回 ★★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第8回 ★★★
「目隠しの国」筑波さくら第11回 ★★★
「とらわれの取材日記!?」樋野まつり  
「クレイジープリンス」大田マリギャグ ★★
「輝夜姫」清水玲子第83回 ★★★★
「八雲立つ」樹なつみ第69回由良と震えて・5★★★★
「火宵の月 Version.S」平井摩利第5回〜解禁・5〜★★★
「ダイヤモンド50%」田中メカ読切 ★★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第28回 ★★★
「オコジョさん」宇野亜由美ギャグその57★★
「溺死寸前」三上チト読切第27回LMGフレッシュデビュー賞
「知らない国の物語」川瀬夏菜読切 ★★★
「千年の雪」葉鳥ビスコ最終回 ★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
 今月はマツモトトモが急病のため休載……ということで、穴埋めと思われる新人の作品がいくつか載っている(笑)。
 全体には飛び抜けた作品はなくて中庸。「輝夜姫」「八雲立つ」がまあほどほどに盛り上がっている。「八雲立つ」は今回で「敵」の目的などがいろいろ明らかになって話が集束に向かいつつある、という感じだが、「獣王星」あたりでもそうだが、設定を全部会話で説明してしまう、という手法だとちょっと興醒めではある。「八雲立つ」の場合、スタート時点ではその辺がうまく処理されていたと思うのだが……。
 田中メカは久しぶりにシリーズでない短編だが、なんだか今ノリにノっている感じで、何を描いても面白い。今回は10歳年上の妻に先立たれて10歳年下の義理の娘と二人暮らし、という父子家庭で、そろそろ思春期の娘が父親のことがなんだか気になって……という、まあぶっちゃけたところロリコンな話(笑)。
 あと、驚いたことに「オコジョさん」がアニメかとか(笑)。これを機に正式タイトルが「オコジョさん」になった、ということだが(笑)、コミックスのタイトルは既に「オコジョさん」だったので、何を今さら、という気が……(笑)。しかしアニメとは……そんなに人気があったとはちょっと認識が変革されたな(笑)。(2001/08/15)


月刊LaLa 2001年8月号
表紙森生まさみ「おまけの小林クン」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「目隠しの国」筑波さくら第10回 ★★★
「ぼくらはみんな高血圧!」宇野亜由美ギャグオコジョさん・其ノ五十六★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第50回ACT57★YOU LIGHT UP MY LIFE★★★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第39回 ★★★
「23:00」マツモトトモ第3回 ★★★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第7回 ★★★
「お迎えです。」田中メカ17(学園編)★★★
「八雲立つ」樹なつみ第68回由良と震えて・4★★★★
「彼方から」ひかわきょうこ第5部・第14回 ★★★★
「ガートルードのレシピ」草川為読切 ★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「輝夜姫」清水玲子第82回 ★★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第27回 ★★★
「千年の雪」葉鳥ビスコ第2回 ★★★
「フライング・ドラゴン」猫山宮緒最終回 ★★★
 『彼氏彼女の事情』がここしばらく続いていたつばさ&一馬編のラスト。まあ落ち着くべきところに落ちついたというか、順当な終わり方、かな(そんなに意外性はないかも(笑))。
 『彼方から』は、実に味方側のキャラクター総登場で、今回だけ読めば全員の名前がわかる親切設計(笑)。全員にイザークとノリコの正体が明かされたり、設定の説明もあり、実にまとめに入っている感じ。ただまあ、第2部から第4部あたりで感じた緊迫感が第5部に入ってからはちょっと薄れている感じがするのが不安といえば不安要素ではある。
 本誌初登場の「ガートルードのレシピ」はこれまでの作品を読んでない人でも設定がわかるような親切設計ながら、ちょっとトリッキーなストーリー構成とアイデアでなかなか読ませる。
 今回は、『おまけの小林クン』『お迎えです。』「ガートルードのレシピ」が★★★★にかなり近い★★★。★★★に留めたのは、ちょっと最近★★★★安売りしすぎかと思ってちょっと再考してみたんだけど。いや、実際、最近のLaLaはかなり楽しめてはいる……のだが、1983〜1984年あたりの黄金時代と比べてどうかというと、あの時期の連載作品は例えば「20世紀の少女マンガ20選」とかセレクトしようと考えた際におそらく多くの人があげると思われる作品が多く含まれていたと思うのだが、今のLaLaのラインナップで後々まで残りそうな作品は、まあ、『彼方から』『輝夜姫』あたりがぎりぎり、くらいのような気がする。総じて、ライトタイプとして非常にバランスよく仕上がっている、という印象、かな。ずっしりと残るようなヘビーな感触が今のマンガには少ないように思うんだけど、どうか?(2001/06/27)


月刊LaLa 2001年7月号
表紙筑波さくら「目隠しの国」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第6回 ★★★
「目隠しの国」筑波さくら第9回 ★★★
「ぼくらはみんな高血圧!」宇野亜由美ギャグオコジョさん・其ノ五十五★★
「23:00」マツモトトモ第2回 ★★★★
「千年の雪」葉鳥ビスコ第1回 ★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第26回 ★★★
「火宵の月」平井摩利読切〜火宵事件FILE〜★★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第38回 ★★★★
「輝夜姫」清水玲子第81回 ★★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「八雲立つ」樹なつみ第67回由良と震えて・3★★★★
「フライング・ドラゴン」猫山宮緒第14回 ★★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第49回ACT56★TSUBASA★★★★
「お迎えです。」田中メカ16(学園編)★★★
「とらわれの身の上」樋野まつり第4回(第19回)★★
「fun fun工房」渡辺祥智第10回 ★★★
 水野十子「遥かなる時空の中で」は最近けっこう悪くない感じ。元々絵柄が緻密でキャラクターに華があって、構成力もある人だし。それにつけてもオリジナルの短編が読みたいんだけど。それは現状ではないものねだりか(笑)。
 なかじ有紀「ビーナスは片想い」は、ここ数カ月くらいちょっと新境地かな、という感じがしている。というのは、キャラクターたちの無邪気な行動の描写が、今までのなかじ有紀作品にはなかったくらい突き抜けた感じになってきているので。いや、なかなか悪くない感じ。
 あと、『彼氏彼女の事情』『八雲立つ』が引き続き★★★★。特に『八雲立つ』はようやく物語の核心が見えてきた感じで悪くない……というか、逆にいうと核心が見えてくるのが遅かった感じ? 見せ場作りのうまい樹なつみの作品にしては今までがちょっと中だるみ的な印象があったんだけど。
 なんか、最近★★★★連発してる感じはするけど、実際楽しめているんだからいいか(笑)。
 そういえば、やまざき貴子「っポイ!」がメロディに移籍するそうで、どうも、先月号でページ&台詞の欠落があって、それをめぐるトラブルらしいが、作者コメント「編集長と意見が合わないのでメロディに移籍します」というのがなかなかストレートでよし(笑)。しかし、古くは山岸凉子から最近では木々とかいろいろとマンガ家と問題を起こす雑誌ではあるな(笑)。>LaLa(笑) しかし、木々の場合と違って同じ白泉社の中に受け皿があったのは、まあ、まだおとなしい方かも。(2001/05/31)


月刊LaLa 2001年6月号
表紙マツモトトモ「23:00」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「23:00」マツモトトモ第1回 ★★★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第37回 ★★★
「遥かなる時空の中で」水野十子読切〜五月待ちたる花橘の香〜★★
「輝夜姫」清水玲子第80回 ★★★
「ぼくらはみんな高血圧!」宇野亜由美ギャグオコジョさん・其ノ五十四★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第48回ACT55★YIN AND YANG★★★★
「とらわれの身の上」樋野まつり第3回(第18回)★★
「っポイ!」やまざき貴子第2部・第74回キリンのマクラ★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第25回 ★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「八雲立つ」樹なつみ第66回由良と震えて・2★★★★
「お迎えです。」田中メカ15(学園編)★★★
「fun fun工房」渡辺祥智第9回 ★★★
「フライング・ドラゴン」猫山宮緒第13回 ★★★
「彼方から」ひかわきょうこ第5部・第13回 ★★★
「花追い人」緑川ゆき最終回 ★★★
 マツモトトモが新連載。今回はストリート・ダンスの話で、5回の短期連載の模様。しかしまあ、この人を見ていると、マンガ家に必要なのはセンスだ、というのははっきりわかる。極端な話、純粋に画力、というだけの観点なら同じ程度のデッサン力のマンガ家は山ほどいるんだけど、どういうコマ割をするか、人物にどういうポーズをさせるか、どういうアングルを使うか、それらを総合した構成力が、この人の場合抜きん出てるんだと思う。止め絵でもちゃんと「動き」が感じられるし、前の『キス』なんかでは「音」を想像させる絵(これは上條淳士『TO−Y』に近い)、がちゃんと描けてたし。
 あと、『彼氏彼女の事情』『八雲立つ』が★★★★だけど、偶然ながら、両方とも、それまで信頼していた人間に裏切られた(と思い込んだ)人間の精神がちょっと壊れる話、という点で共通しているな(笑)。もしかして、この手の話はたこい的ツボなのか(笑)? そうなのか(笑)?
 『輝夜姫』『彼方から』はいずれも新展開を前にしてのインターバル的な感じ。(2001/05/17)


月刊LaLa 2001年5月号
表紙津田雅美「彼氏彼女の事情」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「お迎えです。」田中メカ第1回(学園編)★★★
「目隠しの国」筑波さくら読切(ショート)★★
「ぼくらはみんな高血圧!」宇野亜由美ギャグオコジョさん・其ノ五十三★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美読切特別編★りかちゃんライフ★★★
「八雲立つ」樹なつみ第65回由良と震えて・1★★★
「フライング・ドラゴン」猫山宮緒第12回 ★★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第36回 ★★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第24回 ★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「っポイ!」やまざき貴子第2部・第73回St.VD(B面)★★★★
「fun fun工房」渡辺祥智第8回 ★★★★
「輝夜姫」清水玲子第79回 ★★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第47回ACT54★BORN★★★
「火宵の月 Version.S」平井摩利第4回〜解禁・4〜★★★
「恋人は犯罪者」小松田わん読切第26回LMGゴールドデビュー賞★★★
「花追い人」緑川ゆき第2回 ★★★
 今回は、けっこう楽しめた。特に、コメディ系が好調で、森生まさみ『おまけの小林くん』渡辺祥智『fun fun工房』がよかった(笑)。いつも★★★★の清水玲子『輝夜姫』は、新展開へのインターバル的な感じで、多少トーンダウン。その他、連載陣もほとんどハズレなし。
 新人の小松田わん「恋人は犯罪者」は廊下に掲示されている運動会の写真から、つい衝動的に想い人の写真を盗んでしまったんだけど……という、かわいらしい話。ちょっと、谷川史子の影響があるように感じた。題材の取り方、ストーリーの立て方、絵としての見せ方とも荒削りながらもハイレベルで、投稿作がいきなりの本誌登場というのも納得できる。これからに期待したいところ。そういえば、やっぱりかわいらしい作風で先を期待していた青月いちこという人は最近どうしたんだろう? かなり気に入ってたんだけど。(2001/04/03)


月刊LaLa 2001年4月号
表紙水野十子「遥かなる時空の中で」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「花追い人」緑川ゆき第1回 ★★★
「サヨナラほうき星」田中メカ読切〜お迎えです。番外編〜★★★
「フライング・ドラゴン」猫山宮緒第11回 ★★★
「輝夜姫」清水玲子第78回 ★★★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第35回 ★★★
「fun fun工房」渡辺祥智第7回 ★★★
「っポイ!」やまざき貴子第2部・第72回St.VD(A面)★★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第5回 ★★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第46回ACT53★LOVE★★★
「八雲立つ」樹なつみ第64回縁切り櫻・3★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第23回 ★★★
「ぼくらはみんな高血圧!」宇野亜由美ギャグオコジョさん・其ノ五十二★★
「目隠しの国」筑波さくら第8回 ★★★
「彼方から」ひかわきょうこ第5部・第12回 ★★★★
「とらわれの身の上」樋野まつり第2回(第17回)★★
 緑川ゆき『花追い人』は、人間の眠れる能力を呼び覚まして暴走させる花と、その花によるトラブルに対処しようとするパトロール……というシチュエーションは、なんだか那州雪絵『フラワー・デストロイヤー』のようだ(笑)。おまけに、影で犯罪捜査(?)をしている少年と、事件に巻き込まれた少女、というシチュエーションは前作の『あかく咲く声』と一緒(笑)。とはいえ、前作より今回の方がマンガとしてこなれて読みやすくなっている感じはする。もともと、強烈なオリジナリティと独特の空気感は持っている人なので、作風が安定してくれば今までよりは評価してもいいかも。
 渡辺祥智『fun fun工房』は今回けっこうギャグのテンポがよくて楽しめた(笑)。他、連載陣はおおよそ安定している。
 ひかわきょうこ『彼方から』は、作者もコメントしていたが(笑)、今回主要キャラクターがほとんど全員登場しているというちょっとすごい回であった(笑)。(2001/03/08)


月刊LaLa 2001年3月号
表紙樋野まつり「とらわれの身の上」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「キス」マツモトトモ最終回 ★★★★
「とらわれの身の上」樋野まつり第1回 ★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第4回 ★★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第45回ACT52★SLEEPING BEAUTY★★★
「っポイ!」やまざき貴子第2部・第71回飛行少年★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「輝夜姫」清水玲子第77回 ★★★★
「fun fun工房」渡辺祥智第6回 ★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第34回〜スキの秘密〜★★★
「お迎えです。」田中メカ13 ★★★
「八雲立つ」樹なつみ第63回縁切り櫻・2★★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第22回 ★★★
「目隠しの国」筑波さくら第7回 ★★★
「火宵の月 Version.S」平井摩利第3回〜解禁・3〜★★★
「Natural」成田美名子最終回FINAL SCENE:El nino〜エルニーニョ〜★★★★
「ぼくらはみんな高血圧!」宇野亜由美ギャグオコジョさん・其ノ五十一★★
 今回は成田美名子『Natural』とマツモトトモ『キス』が最終回。一貫して「他人と自分の関わり」をテーマにしている成田美名子であるが、今回は他者との関わり方を知らない人間が、いかにして他者と関わっていくか、という模索の過程を描いた、という感じがする。要約するならば、『CIPHER』もそういう話ではあったのだが、登場するキャラクターたちの行動がより病的な様相を呈しているあたりは、現代の社会が内包する問題を的確にピックアップしている感じがする。その意味では、やはり成田美名子の思索は常に先を見ている、といったところか。
 マツモトトモ『キス』は、最終回にして、いきなり傍観役のキャラクターを登場させて主人公二人の行動を傍観者の観点から描く、という外し方がいかにもこの作者らしいセンスで、マル。
 あと、今回意外によかったのが樹なつみ『八雲立つ』。死んだ父親の意外な側面が明かされることによって、主人公の信じていたものが根底から覆されて、なかなかに痛い話になっている。全体としては、クライマックス近し、という印象、かな。
 それから、なかじ有紀『ビーナスは片想い』。前に、ヒロインを一度完膚無きまでの恋愛の傍観者の立場に置いたという点が新しい挑戦なんではないか、と評したことがあったが、現在は、お互い告白などはしないまま、意識せず少しずつ自然にでき上がっていく恋愛関係を時間をかけてじっくり描き込んでいる感じがする。恋愛関係の描き方の点で、これも今までのなかじ有紀作品ではなかったパターンなのではないか、という気がする。(2001/01/26)


月刊LaLa 2001年2月号
表紙森生まさみ「おまけの小林クン」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「fun fun工房」渡辺祥智第5回 ★★★
「お迎えです。」田中メカ12 ★★★
「輝夜姫」清水玲子第76回 ★★★★
「っポイ!」やまざき貴子第2部・第70回「第2次成長!?」(後編)★★★
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第44回ACT51★LIVE★★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第33回 ★★★
「ビーナスは片想い」なかじ有紀第21回 ★★★
「八雲立つ」樹なつみ第62回縁切り櫻・1★★★
「ぼくらはみんな高血圧!」宇野亜由美ギャグオコジョさん・其ノ五十★★
「目隠しの国」筑波さくら第6回 ★★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第3回 ★★★
「Natural」成田美名子第60回FINAL SCENE:El nino〜エルニーニョ〜★★★★
「キス」マツモトトモ連載第28回#0043★★★★
「彼方から」ひかわきょうこ第5部・第11回 ★★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ ★★
「オプティミストのたまご」十川ひなた読切 
 清水玲子『輝夜姫』はロシア編(?)が一段落ついて次回以降の新展開が予想されるが、あいかわらずシリアスとギャグが同時平行して(笑)、もう何が何やら(笑)。とりあえず、ミラーとサットンのやおいギャグ(笑)にどういう決着がつくやらつかないやらが現在の焦点か(笑)?
 成田美名子『Natural』は次回で最終回。今回の成田美名子の思索がどういう到達点になるのかがファンとしてはたいへん興味深い。マツモトトモ『キス』も次回最終回。まあ、これなんかは続けようと思えばいくらでも続けられるネタなのだが、このあたりで一区切というのはいい線でしょう。ヒロインのカエちゃんの成長が今回のポイント、かな。
 ひかわきょうこ『彼方から』は、イザークの光の力への鍵(らしきもの)が示されて、終盤への伏線を置いた、という感じ。第5部は初めちょっと危ぶんだところもあったんだけど、ここ2〜3回くらいでずいぶん巻き返してきている。「最後の戦いが近づいている」とのことなので、非常に長期にわたったこのシリーズもそろそろ先が見えてきたか。とはいえ、隔月連載のなのであと2年くらいは続くのかな(笑)?(2001/01/12)


月刊LaLa 2001年1月号
表紙筑波さくら「目隠しの国」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「彼氏彼女の事情」津田雅美第3部・第43回ACT50★SING A SONG★★★
「お迎えです。」田中メカ第1回 ★★★
「火宵の月 Version.S」平井摩利第2回〜解禁〜★★★
「B.B.Joker」にざかなギャグ 
「目隠しの国」筑波さくら第5回 ★★★
「っポイ!」やまざき貴子第2部・第69回「第2次成長!?」★★★
「今日の虎田」江咲桃恵ギャグ 
「八雲立つ」樹なつみ第61回鐵輪の夏・4★★★
「おまけの小林クン」森生まさみ第32回 ★★★
「遥かなる時空の中で」水野十子第2部・第2回 ★★★
「キス」マツモトトモ連載第27回#0042★★★
「Natural」成田美名子第59回FINAL SCENE:El nino〜エルニーニョ〜★★★
「fun fun工房」渡辺祥智第4回 ★★★
「かたつむり前線」藤川佳世読切特別編
「買い物勇者ナツ」カネチクヂュンコギャグ 
「千年の雪」葉鳥ビスコ読切 ★★★
「ぼくらはみんな高血圧!」宇野亜由美ギャグオコジョさん・其ノ四十九★★★
 2001年初めての号……とはいったものの、特筆すべきことはなし。各連載陣が★★★とはいえ、安定している。いや、つまらないと感じる連載がないというのは、それはそれでいいことではある。
 そんな中、ギャグではにざかな「B.B.Joker」がいつになくふるわない。なんかあったのか(笑)? あと、珍しく本誌に登場の江咲桃恵は、こちらはいつも通りつまらない(笑)。新人のカネチクヂュンコはポップで独特な絵柄は買えるが、ギャグとしてはつまらない(笑)。最近好調(というか個人的に評価の上がってきている)宇野亜由美は、話をちょっと叙情的な方に振ってわりと成功している。
 あと、水野十子「遥かなる時空の中で」は第2部に入ってからストーリーが動き始めていい感じになってきた……かな。(2000/11/26)


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