伊藤郁子のひみつ

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■現在、たこいが最も敬愛するアニメーターが伊藤郁子氏である。
 伊藤郁子氏は東京デザイナー学院の出身。原画デビューは『スプーンおばさん』ということで、アニメ界でのキャリアのスタートは佐藤順一氏とけっこう近い。その後、『ビックリマン』で初作画監督、と、子供向けのアニメでキャリアを重ねてきたという点も佐藤順一氏と近いものがあるが、実際、伊藤郁子氏と佐藤順一氏の出会いは『ビックリマン』であったとのこと。

■伊藤郁子氏の経歴で、聞くとちょっとびっくりするのは、学生時代に人形アニメの大家であった故岡本忠成氏の『ふらいぱんじいさん』という作品にスタッフとして参加していた、というエピソード。さらに、卒業制作では布を使ったアニメに挑戦し、その年の学院長賞を受賞したという経歴の持ち主でもある。
 本人はそちらの方向に進みたかったのだが、「TVアニメの世界でしばらく修行してらっしゃい」という岡本氏の言葉で、この世界に足を踏み入れた、というのは、今では非常に有名な話となっている。

■雑誌のインタビューなどでは「まだ修行中なンです(笑)」と語る伊藤郁子氏の修行の過程は、某アニメ(笑)からのファンは、かなりつぶさに見守ってきたといっていいと思う。
 現在の伊藤郁子氏の画風に関しては、なにはさておき女の子がかわいくて(笑)、ちょっとエッチで(笑)、でもそこはかとなく品がある、ということで定評があるが、それは一朝一夕にしてでき上がったものではやはりない。

■これも最近わかった話だが、某アニメ(笑)の立ち上げの際のキャラクターデザインのオーディションには伊藤郁子氏も参加していたとのこと。
 もちろん、採用されたのは只野和子氏のキャラクターだったわけだが、実際、某アニメの1年目のシリーズの伊藤郁子氏の作画監督の回を見る限りでは、作画力の点はともかく「かわいい女の子の絵」としては。まだ今ひとつ洗練されていなかったようにと思う。

■ただ、その当時の作画で特筆すべきは、オリジナルのキャラクターデザインをちょっと逸脱してしまうような「色気」のある表情で、某アニメ(笑)第24話の敵幹部ネフライトの死の間際の表情や、最終2部作におけるメインキャラクターたちの瀕死の表情などでは、かなり際だっていたと思う。
 このあたりから伊藤郁子氏の作画に注目し始めた人は、ファンの中でもけっこう多いのではないかと思う。
 この、独特の色気と豊かな感情表現に関しては、努力の賜物でないとはいわないものの、伊藤郁子氏の天賦の才の部分がかなり大きいのではないかと、個人的には思っている。

■その力に着目していたのはもちろんファンだけではなく、シリーズ3年目の某アニメ(笑)Sでは、肩書きがチーフアニメーターに、4年目の某アニメ(笑)SuperSではキャラクターデザインへ、と、とんとんと昇格している。
 現在に到る伊藤郁子氏の画風は、ほぼこの時期に固まったといえる。

■特に、チーフアニメーターというわかったようなわからないような肩書き(実質的にはキャラクターデザインそのものの役職なのだが)から、正式に(?)キャラクターデザインの肩書きを得た某アニメ(笑)4年目の時期あたりから、アニメーターとしての仕事もさることながら、イラストレーションの仕事の方にも才を発揮し始める。
 というのは、某アニメ(笑)のビデオ/LDの発売スケジュールが放映のほぼ1年遅れで、ジャケットイラストを担当するのは放映時のキャラデザインを担当したアニメーターということになっていたからで、当時、伊藤郁子氏は本放映中のアニメのキャラデザイン、作画監督、原画の仕事と平行して、毎月1枚リリースされる某アニメ(笑)Sのジャケットイラストまで手掛けていたのである。
 そこでは、只野和子氏のオリジナルデザインをブラッシュアップした、より繊細かつ洗練された美少女キャラクターを見ることができる。
 興味をもたれた方は、レンタルビデオ屋でもいいから、某アニメ(笑)S、もしくは某アニメ(笑)SuperSのビデオを棚から抜き取って、そのジャケットを眺めてみてもらいたい。伊藤郁子氏に入れあげるたこいの気持ちが少しはわかっていただけるのではないかと思う(笑)。個人的には特にSの4、5、6、9巻、とりわけ9巻がオススメ! である。コケティッシュ、という言葉はこの絵のためにあるといっても過言ではない! と思う。

■伊藤郁子氏のイラストのもう一つの特徴としては、単に、コケティッシュな美少女をアニメの原画の延長として描くのではなく、イラスト全体を眺め渡したときに、見るものの目を引くようなアイデアが必ずなにかしらある、ということがあげられる。
 特に、最近のアートワークでは、コルクボードに作画、着色して布の端切れをパッチワーク的にあしらってみたり、布だけを使ってイラストを構成してみたり、三つ子の魂百まで(?)的な試みも行なわれたりしている。

■そんなこともあって、いつの日か、伊藤郁子氏がオリジナルの人形アニメを作るようなことがあったら、それは絶対に観てみたい、その思いをとみに強くしている今日この頃である。


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