『ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー』全48話のひみつ #3

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#27『まじょのアマネ』(98/08/22)
演出・五十嵐卓哉
作画監督・伊藤郁子

 ぽぷりのライバル(?)、ちびっこ魔女のアマネ登場。のっけから高慢なアマネに対して、普段は「みんななかよし」フィールドを広範囲に展開しているぽぷりがいつになくつっぱって、ついに公園で魔法対決。なんというか、両者非常にほほえましい魔法の応酬で、マル(笑)。
 今回の作画は、某アニメ(笑)でこまっしゃくれた「ちびうさ」を生き生きと動かしていた伊藤郁子氏らしい楽しさに満ちていて、こちらも二重丸。
 因みに、アマネの言動からは、使い魔を持たずに精霊を呼び出して使役するぽぷりの魔法のスタイルがこの世界においても一般的な魔女の魔法とは異なるものであることがわかる(例えばアマネは使い魔のオウム「マネ」をいつも連れている)。そのあたりが本来魔女ではないぽぷりに魔法を使わせるためのふきこさんの工夫なのかな、と思わせて、設定的にも味わいあり。


#28『くちべにつけた』(98/08/29)
演出・小坂春女
作画監督・進藤満尾

 鏡台に向かってお化粧をするふきこさんの姿に「大人への憧れ」をちょっぴり感じたぽぷり。化粧台の足元に落ちていた口紅をこっそりつけてみるが、そのままにこにこ銀座を歩いていると、なんだか商店街の人たちの反応がおかしい。どうやら周囲の人にはぽぷりが大人の女性の姿に見えてしまっているらしいのだが……。
 自己認識と他人の認識にズレが生じた時の怖さを感じさせるややホラーっぽい一編。一貫して「ぽぷりの視点」からのフレームで物語を展開する演出もよく効いている。但し、今回作画は今ひとつ、かな(笑)。


#29『ちていたんけん』(98/09/05)
演出・貝澤幸男
作画監督・爲我井克美

 謎の地底生物「つちネコ」にアルデルの小瓶のキャップを持ち去られて魔法が使えなくなったぽぷり。同じ頃、ファンファンファーマシィーに現れた「つちネコ」はふきこさんまで地底に持ち去って(笑)いた。万全(?)の準備を整えて「つちネコ」の後を追い始めたぽぷりだが……。
 今回は、初めての『ファンファン』30分スペシャル。#25『さびしいツチクジラ』でも地球空洞説な世界の一端が示されたのだが、今回はタイトルも示すとおり、もろに「それ」である。因みに今回のメインアイデアも「ツチクジラ」に引き続き貝澤氏とのこと。


#30『どきどきまほう』(98/09/12)
演出・五十嵐卓哉
作画監督・上野ケン

 今回はコンビニのお姉さんと花屋のお兄さんの仲を取り持とうとしてぽぷりが奮戦する、という話(笑)。でも、そこれはそれ(笑)、まだまだ恋愛の機微とかはわからないぽぷりのすること……。
 因みに、#28『くちべにつけた』で妙齢のぽぷりが花屋のお兄さんに「聞きようによっては意味深な台詞(笑)」をいろいろ投げかけて、コンビニのお姉さんがそれを誤解する、というシークエンスがあるのは、今回の展開への伏線であったらしい。


#31『ノームのおにわ』(98/09/26)
演出・今沢哲男
作画監督・杉本道明

 ハーブで一杯のファンファンファーマシィーの庭の隅には、敢えて自然のなすがままに任せてある「ノームのおにわ」と呼ばれる一角があった。そこに夏にしか咲かないはずの待宵草をみつけたふきこさんとぽぷりは魔法で小さくなってノームのおにわの奥に分け入っていくが……。
 話の舞台はミクロの世界なんだけど、ふきこさんの使った魔法はもしかすると今まででもいちばんの大魔法かも(笑)。あと、今回は夏の精霊と秋の精霊の交代にまつわる話でもある。


#32『うしろのしょうめん』(98/10/03)
演出・小坂春女
作画監督・中田正彦

 ぽぷりの唄う「かごめかごめ」の歌に重なってどこからともなく聞こえてくる歌声の正体は……。ちょっとホラーっぽい雰囲気の異色編。
 石段の傍らの忘れられた小さな祠に住む謎の声の正体(コロボックル?)をはっきりとは明かさないあたりがよい意味での余韻を残す。モチーフが「かごめかごめ」なのも話の味わいを増している。今回は、魔法そのものの物語ではなくて、時間に置き去りにされたファンタジー的存在への憧憬とノスタルジーの感じられる好編。


#33『こころのわすれもの』(98/10/10)
演出・貝澤幸男
作画監督・伊藤郁子

 今回はすごい傑作。#11『おさんぽニボシ』の時に「いつでも遊びにおいで」といってくれた大きなお屋敷のおばあさんのところに遊びに来たぽぷりだが、おばあさんは部屋に篭もりっきりで、一心に同じ森の中の景色を絵に描き続けている。どうやら、忘れた何かを思いだそうとしているようなのだが……。
 シブの力を借りておばあさんの絵の中の世界に入り込んだぽぷりが目にしたものは、おばあさんの幼い頃の姿と、その遊び相手の妖精「ミコール」。1枚1枚と絵の中の時間は進んでいき、まさに描きかけの絵の中でぽぷりが出会ったのは、「ミコール」に会えなくなって泣いている中学生のおばあさん……。おばあさんとミコールの姿を自分と精霊たちに重ねていたぽぷりの感情が思わず爆発する。
 ぽぷりが魔法を使えることが当たり前になった『ファンファン』の世界の根幹を少しだけ揺さぶってみた、という感じだろうか。これは私見ではあるが、中盤で、このエピソードが挟まっているのといないのとでは、最終2部作の展開の持つ深みが全然変わってくると思うが、それについては最終2部作を参照のこと。
 今回はなんと伊藤郁子氏が一人で作画を担当。けだし、作画演出とも入魂の力作といえよう。必見の傑作。ぼろぼろ泣けます。


#34『おそばをたべたくなるまほう』(98/10/17)
演出・今沢哲男
作画監督・進藤満尾

 おそば屋さん挽きたてのおそばを食べてその美味しさに感動したぽぷり。お客さんがおそば以外のメニューばかり頼むのを憂えたぽぷりは一計を案じるが……。
 ぽぷりの使った「まほう」の正体は、まあ言わぬが花といったところだが、まあ、たまには魔法とは全然関係ないこんな話もありだよなあ(笑)。実際。蕎麦は食べたくなったぞ(笑)。


#35『にこにこぎんざがあぶない』(98/10/31)
演出・五十嵐卓哉
作画監督・爲我井克美

 宇宙から怪獣ウィルバーを追って地球にやってきた少年ヒトシ。ぽぷりはヒトシの手助けをするために禁断の黒い種をふきこさんからもらい、電気の精霊ガルを呼び出すが……。
 おそらくはシリーズ中最大の異色編(笑)。なにしろジュブナイル宇宙SFで、なおかつ怪獣もの(笑)である。
 これは、某アニメ(笑)に初期から参加して最終シリーズである『某アニメ(笑)スターズ』ではSD&キャラクターデザインにまで昇格した五十嵐、爲我井コンビの持ち味を最大限引き出すために、小中千昭氏が特に発案したというもの。正直言って「この回だけ番組違ってる(笑)?」的な印象もなくはないんだけど(笑)、ほぼその狙い通りの作品にきちんと仕上がっている。
 なお、この回は小中千昭氏のサイトではオンエア前からタイトルが大体的に予告されていて、リアルタイム放映時にも氏の力の入りようが伝わってきたものであった。


#36 『ジルムとジルモ』(98/11/07)
演出・今沢哲男
作画監督・杉本道明

 『ファンファン』30分スペシャルの第2弾。魔法アイデアコンテスト入賞の時の精霊ジルムとジルモの登場編。
 ぽぷりの魔法修行もちょっとステップアップ。ふきこさんに魔法の種の作り方を教えてもらえることになる。そんなある朝、目を覚ましてみるとベッドの脇には新しいぬいぐるみが。それは昨晩帰宅したぽぷりの父親のお土産だったのだが……。
 第1話から登場している、ぽぷりの部屋の2段ベッド上段に所狭しと並ぶぬいぐるみは、仕事の関係で長く家を空けているぽぷりの父親が、帰宅のたびにお土産に置いていったものだったことが今回明らかとなる。
 いつ帰ってくるかわからない父親に会い損ねたぽぷりは、昨晩の父親に会うため、自分の作る魔法の種で時の精霊を呼び出そうとする。しかし、実際に呼び出されたジルムとジルモの魔法は昼と夜を入れ替える、という傍迷惑なもので……。
 因みに、今回描かれた、なかなか会えない父親に対するぽぷりの想いは最終2部作への伏線ともなっている。


#37 『ねこになったぽぷり』(98/11/14)
演出・小坂春女
作画監督・宮原直樹

 にこにこ銀座の片隅の忘れられた路地に普段は見たことのない古道具屋が……。そこでもらった香炉のにおいをかいだぽぷりはなぜか猫に変身してしまう(ちゃんとカラーリングがいつもの服に準拠(笑)したぽぷりねこのデザインはなかなか秀逸(笑))。
 #28『くちべにつけた』では他の人の見た目のぽぷりが大人の女性にみえてしまうという認識のギャップが描かれていたが、今回の変身は本当にそのまんまの変身。姿の変わったぽぷりが街の人たちに自分だとわかってもらえない、というシチュエーションには近いものがあるが、今回の描写はわりとコミカルな方にふられている。
 ぽぷりを猫に変身させた招き猫の正体や動機をはっきり描かないあたりは小中千昭氏のいつものタッチかな。


#38『やおひちさんのプレゼント』(98/11/21)
演出・五十嵐卓哉
作画監督・中田正彦

 今回は#4『ぽぷりのさかなやさん』の姉妹編。すぐに野菜をまけてしまうやおひちさんがそのことをおかみさんに怒られて大喧嘩(笑)。たばこ屋さんには「夫婦げんかは犬も喰わない」と忠告されたものの、なんとか仲直りさせようとぽぷりが奮闘する。
 それにしても、グリムが魔法で出現させた野菜の木(?)はかなり変だぞ(笑)。やおひちのご夫婦もにこにこ銀座の人たちも、もっとあやしいとか思えよ(笑)。……などとちょっと突っ込んでしまったりして(笑)。まあ、さかなやさんのときは店先をシブの力で水族館にしてたんだけどね(笑)。


#39『なにかがみちをやってくる』(98/11/28)
演出・葛西 治
作画監督・伊藤郁子

 年に一度にこにこ銀座にやってくるという「ごんまやせ」さんをめぐる物語。いわゆる「稀人信仰」の話かな。
 店先に供えておいたおはぎを「ごんまやせ」さんに食べてもらえたお店は1年間繁盛する、という言い伝えがにこにこ銀座にはある。謎の「ごんまやせ」さんに会ってみたくなったぽぷりは夜の街をこっそり見張るのだが……。
 ぽぷりのみつけた「ごんまやせ」さんはただの旅行者だったけど、毎年その日に、その年の「ごんまやせ」さんとして誰かしら旅人がやってくるのかもしれない、魔法じゃないけど、そんなふしぎなこともあっていいかもしれない、そんな風に思わせる、微妙にロマンを感じさせるストーリーがマル。こういう単なる魔法ものじゃない、ちょっとひとひねりしたような話がナチュラルに成立するのは『ファンファン』ならではの持ち味か。
 今回は「ぽぷり百面相(笑)」といいたくなるくらい、ぽぷりの表情の変化が楽しいのも見どころのひとつ。#33『こころのわすれもの』に続いて一人で作画をした伊藤郁子氏にも拍手!
 因みに今回のタイトルについては……まあ、何も申し上げることはございません(笑)。


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