お楽しみはこれからだッ!!
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第54回 “帰ってきた帰ってきた帰ってきた橋本みつるの逆襲”
 掲載誌 糸納豆EXPRESS Vol.22. No.2.(通巻第38号)
 編集/発行 たこいきおし/蛸井潔
 発行日 2004/11/20


 唐突ではあるが、速報をお知らせしたい。前号に引き続き、いきなり冒頭ページに「お楽しみはこれからだッ 」があってびっくりしている向きもあるとは思うが、まあ(笑)、そこはそれ(笑)。

「なんかいっつも、ふらふらと横切りたくなるの。ここ。意味ねーけど」
「ふーん」

 台詞は2004年7月29日発売の白泉社ジェッツコミックス『橋本みつる作品集GET DOWN』に掲載の、橋本みつる描き下ろし最新作「誘惑について(別物)」より。

 そう! 全国127人(推定)の橋本みつるファンの悲願が、苦節4年半にしてついに達成されたのである! ……ということで、前号に引き続き刮目すべき今回のテーマは「帰ってきた帰ってきた帰ってきた橋本みつるの逆襲」だッ!!

 それにしても今回はまた予想外の展開ではあった。前号で紹介したとおり、復刊ドットコムの『橋本みつる未発表作品集(仮題)』への投票が復刊交渉開始の規定数100票を越えたのと時を同じくして、橋本みつるが第34回ウィングス新人賞にトップ入選を果たしたのが今年の1月末、投稿作がウィングスに掲載されたのが3月末である。

 これだけでも、橋本みつるのマンガ家活動再開と旧作のコミックス化の可能性が開け、ファンとしては長い冬がようやく明けたような想いであったのだが、5月末になり、唐突に白泉社の新刊案内にひっそりとこの『橋本みつる作品集GET DOWN』が上がっているのが一部のファンに発見され、その情報は一気にインターネット上を駆けめぐった。そして7月29日、コミックス『GET DOWN』は嘘でも夢でもなく(笑)、本当に全国の心ある書店(笑)の店頭に並んだのであった。

 コミックスの作者コメントによると、今回のコミックス、橋本みつるにデビュー当時から惚れ込んでいた一人の編集者の尽力によるものらしい。因みに、この間復刊ドットコムの交渉情報は「出版社に復刊交渉メールを送りました」で止まったまま、『GET DOWN』刊行後も交渉が進んでいる様子は見られない(笑)。してみるとこのコミックス、橋本みつる本人の活動とも、ファンの地道な投票とも直接の関係はなく実現したものらしい。その編集者は橋本みつるの元担当などではないとのことなので、白泉社にも「橋本みつるに一生ついていく」と心に誓った一人の熱烈なファンがいた、というのが真相かと思われる(笑)。

 肝心の内容は、橋本みつるの家出テーマ作品の最高傑作「GET DOWN」とその続編「世界を止めて」の他、同じ花とゆめプラネット増刊時代の「恋のゼスチャー」セリエミステリー時代の「背中をどうにかしてくれ」デビュー当時の「ごめんね好きだよ」、さらに「GET DOWN」の主人公二人のその後を描いた描き下ろし短編「誘惑について(別物)」まで収録し、デビューから現在までの変遷がおおよそ概観できるようになっている。橋本みつる未経験者の入門書としても最適かと思われるので、熱烈なファンの人も、そうでない人も今すぐに書店に走って欲しい(笑)。


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