下部温泉神泉★★★★


信玄隠し湯伝説の湯治場

■概要

下部(しもべ)温泉は富士川の東側の山の中にある古くからの温泉場だ。有名な戦国武将、武田信玄が川中島の戦いの傷をここで癒したとの伝説があって、今も「信玄公のかくし湯」として知られている。下部川沿いの狭い通りの両側に温泉旅館が集まっている。

温泉街の奥の橋を渡ったところに神泉がある。古びたコンクリートビルの1階が神泉だ。ここは源泉館の別館で2階以上は湯治宿である。源泉館は下部温泉で最も古い湯宿の一つだ。



源泉館本館と神泉の間に鳥居があってそこの石段を登っていくと熊野神社がある。この神社は9世紀の甲斐の国主藤原正信が、下部温泉で療養して、建立したそうだ。400年前に再建したとき、源泉館の先祖が土地を提供したという。神社に向かう石段の途中左手に源泉館の源泉もある。

■所在地

山梨県西八代郡下部町下部45
TEL:0556−36−0101
FAX:0556−36−0105




■印象

源泉館本館のフロントで料金を払うと、1Lのペットボトルに入ったミネラルウォーター「天然鉱泉水信玄」がいただける。水を持って坂を下りて神泉に向かう。脱衣場は男女別だが浴室は混浴だ。右手中二階にシャワーのついた洗い場がある。左手の地下室全体が岩風呂になっていて、底に厚い板が敷き詰められている。

先客のおばあさんたちが静かに浸かっている。神棚が祭ってあってなんとなく古い歴史が感じられる雰囲気だ。中二階にも小浴槽があって、そこでかけ湯をしてから岩風呂に降りた。小浴槽は普通の温度なので岩風呂の微温湯がとても冷たく感じる。しばらく浸かっていると体が慣れてくる。

泉質は弱アルカリ性単純泉、透明なお湯が岩風呂の底から湧いてくる。温度は30度くらいだろうか。じっと浸かっていると、体に微かに泡がついてくる。目を閉じて冷たいお湯に静かに浸かっていると時間がたつのを忘れる。

松葉杖をついたご主人と奥さんが入ってきた。奥さんは湯浴み着を着ている。ここのお湯は怪我に効くので、すねの骨折の湯治に来ているそうだ。神泉は現役の湯治場であった。


■営業

営業時間 8:00−17:00
休館日 無休
料金 1000円(1時間以内)

交通

中央自動車道の河口湖線の河口湖ICで降りて、国道139号線を西へ、本栖湖から国道300号線に入って、山道を下る。下部温泉の標識で左折し、橋を渡ってJR身延線の下部温泉駅を通り温泉街に入る。300号線からの入り口はあまり目立たないが、山の斜面に大きな看板がある。



調査日:2002年3月

オフィシャルページ


下部温泉の町並み

下部温泉の温泉街は下部川の渓谷伝いにある。渓谷は深く平地はほとんどないので、川沿いに細長く温泉街がある。

曲がりくねった川に沿って道がある。ところどころ車がすれ違えない狭い道だ。 道の両側に温泉旅館と御土産屋がある。宴会中心の温泉町は廃れ気味だが、昔からの湯治温泉は、地味だが変わらない人気があるようだ。

温泉街の中心部に下部川を渡る橋がある。橋の近くの小高い大岩が天狗岩だ。 小さな祠がある。小さなしめ縄やお供えの千円札が奉納してあった。古い温泉にみあう、懐かしい風景だ。

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