濁川温泉新栄館★★★★ |
古い温泉地の鄙び湯 ■概要 濁川温泉は海岸から離れた盆地にある温泉だ。盆地は直径2kmほどのカルデラ地形で、ほとんどが田んぼになっている。温泉は小さな盆地のあちこちから湧くので、温泉施設も散在している。 濁川温泉の利用は1807年ごろに湯治場が開かれ、北海道では古い。現在は6軒の温泉旅館がある。温泉旅館のひとつ、新栄館は1900年の開業当時からある浴室で知られている鄙びたところだ。 正面に旧館、右に新館、左に浴舎がある。浴舎は明治の創業当時からのもので、旧館は明治の建物に大正時代に増築した。新館は1986年に造られた。浴舎は混浴、新館に女性専用の浴室がある。 ■所在地 北海道茅部郡森町字濁川49 TEL:01374−7−3007 |
■印象 旧館浴室は一段低いところに岩をくりぬいた浴槽が3つある。長年利用されてきたために床一面が赤茶色になっている。お湯は壁際の樋を伝わって流れてくる。とても熱い透明なお湯だ。水ですこし埋めて飛び込む。 純粋に掛け流しでザーッと溢れるお湯が気持ちよい。お湯は少し油臭がする。なめてみるとかすかに塩味と甘味がある。細かい湯花もある。泉質は食塩泉、柔らかい良いお湯だ。 3つの湯船は温度が違うように調整されているようだ。鄙びた浴室がかえってうれしい。旧館浴室は混浴だが、女性は新館浴室に案内されるようだ。 湯上りにご主人に昔話を聞いた。昔は旧館には今でも隠し部屋がある。明治・大正の昔は、魚で大儲けした漁師が湯治に来ていて、隠し部屋でバクチをやったそうだ。 北海道はあまり多くない鄙び系のお湯が好きな人には、とても楽しめるところだ。 |
■営業
■交通 |
■森地熱発電所 濁川カルデラの北側の高いところに地熱発電所がある。1982年にできた出力5万kWの発電所だ。盆地のどこからでも見える。発電用の蒸気は盆地のあちこちに井戸を作って集めている。田んぼの中にあるあちこちの蒸気収集用井戸から煙が立ち昇っている。 |
■自家用温泉 最初はなにか気が付かなかったが、聞いてみると、濁川盆地の農家はたいてい自家用温泉井戸を持っている。赤茶色になった土管を2本重ねた井戸が農家の庭先にある。盆地の中はどこを掘っても温泉が湧くらしい。温泉ファンには夢のようだ。 |