川原湯温泉湯かけ祭り

寒中に行われる温泉にまつわる奇祭、川原湯温泉の湯かけ祭りを見に行った。下帯姿の若者が互いに湯をかけ合うお祭りである。お祭りの様子を紹介する。(2002年1月)

湯かけ祭りの由来

群馬県長野原町にある川原湯温泉は、800年前の鎌倉時代の発見と言われている。川原湯温泉の名物は毎年大寒の頃、1月20日未明に行われる湯かけ祭りだ。湯かけ祭りの由来は、400年前に、川原湯温泉のお湯が急に出なくなった。このとき困り果てた村人が、祈祷師のご託宣で、温泉の匂いと似ているタマゴを産む鶏を供えて祈った。すると再びお湯が湧き出したので、これを祝ってお湯をかけ合った。これが今に続いている。


夜明け前なのに大賑わい

湯かけ祭りは1月20日朝5時から始まる。少し遅れて到着すると、温泉街の中央にある共同浴場「王湯」の前にはすでに300人近い人が集まっている。温泉街の一本道は人でいっぱいだ。王湯の向かい側は狭い階段のある崖地だが、そこにも人がいっぱいだ。

大湯の隣にある舞台には、祭壇が設けられて、神主さんが祝詞をあげている。そのうちに下帯姿の男たちが現れてたらいに汲んだ温泉のお湯を奉納した。男たちが拍手を打って、松明を先頭に温泉神社にお湯を納めに走り出す。

残された神主と巫女さんは酒樽の鏡割りをして、観客に振舞ってくれる。 もちろん人ごみを掻き分けてありがたく頂戴した。外の気温はマイナス5度、じっとしているとずいぶん寒い。そうこうしているうちに、下帯の男たちが帰ってきた。

湯かけ祭り本番

裸の男は総勢30人以上、中には小学生の女の子も混じっている。みな鉢巻、下帯、足袋、手には新しい手桶といういでたちだ。赤組と白組に分かれて気勢をあげる。お湯で体を暖めているとはいえ、真冬の早朝に裸の姿は勇ましい。

掛け声とともに舞台下、王湯の1階の浴室に駆け込み、手桶にお湯を汲んで駆け上がってくる。いよいよ始まりだ。王湯の隣の舞台前が広く開けられる。赤組白組の裸の衆は舞台前にきてにらみ合う。おもむろに「お祝いだー!」と掛け声をかけてお湯をかけあう。バッと盛大に湯気が立ち上る。

川原湯音頭が鳴り響くなか、「お祝いだー。お祝いだー。」と気勢をあげながら、景気良く湯をかける。何度も王湯の湯船からお湯を運びあげる。だんだん盛り上がってきて、周りの観衆にもとばっちりのお湯が飛んでくる。テレビカメラにも容赦ない。

観客もお湯がかかると福が来るという。女性もキャーといってはしゃいでいる。カッパを着たカメラマンもずぶ濡れだ。クマオも前列に見に行って頭から湯をかけられて福を授かってきた。


湯かけ祭りのムービー画像(299KB)


祭りのクライマックス

いよいよ祭りのクライマックスだ。裸の男が全員集まった。王湯の前の高いところに吊るしてあるくす球を、お湯をかけて割るのだ。一斉に勢い良くお湯がかけられる。このとき遠くからみていたので、もうもうとした湯気でなにが起きたか分からなかった。後で聞くと、くす玉のなかには鶏がいた。今年は赤組が勝ったそうだ。

白白と夜が明ける頃に裸の衆の手締めでお祭りが終わった。帰る道には流れたお湯が凍りかけてシャーベットのようになっている。真冬の寒さがぬれた服を通して沁みてくる。それでも、勇壮なお祭りを見て気持ちはとても晴れ晴れした気分になった。

<DATA>
日時 毎年1月20日5:00−7:00
群馬県長野原町川原湯温泉
観光協会 0279-84-2047


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