寄稿

知っていますか 平塚の空気の汚れ
- 大気汚染測定14年


 大気汚染測定運動平塚の会 田中


                 
全国的に広がっている大気汚染測定運動が平塚で発足し14年が経過しました。
 平塚海岸の国道134号線の上に渋滞解消のためにと、自動車専用の高架道路(新湘南国道)を建設するという計画が持ち上がりました。この計画は美しい平塚海岸の景観がコンクリートの壁によって損なわれ、排ガス、騒音公害など、緑や住環境の破壊が進むとして反対運動が起こりました。
 しかし、国・県・市は住民の声を無視してこの計画をすすめました。
 この運動の中で海岸地域のNO2の調査が行われました。その結果わかったことは、なんと私たちが感じている以上に空気が汚染されていたのです。ちょうどその頃、保険医協会からの資料で平塚でも呼吸器疾患が増えているということがわかったのです。山あり海あり自然に恵まれている、と思っていたこの平塚の環境は一体どうなっているんだろう。海岸地域だけでなく、私たちが普段吸っている平塚市内の空気はどれくらい汚れているんだろうか。というのがきっかけで何人かの方に声をかけ「自分たちの住むまちを住みよくしたい」「きれいな空気と大切な緑を残したい」という思いから平塚の大気汚染測定運動が生まれました。
(これより前に新日本婦人の会が空き缶を利用して全国的にNO2の測定を行い平塚支部でも取り組んだという話を聞いています。)
 このNO2の測定は、天谷式簡易測定法で親指くらいのプラスチック製のカプセルを使ったもので誰でも簡単に測定できます。毎年6月と12月に全国一斉に行われています。
平塚では新日本婦人の会の皆さんをはじめ、子どもからお年寄りまで幅広い参加で行われています。 この測定で、夏より冬の方が高いという全国的な傾向と平塚でも一致していること。
道路から10m以内では、いつも環境基準を大幅に超え汚染がかなり進んでいる箇所があること。道路から10m以上の非車道、住宅地や学校付近などでもかなり濃度が高い箇所があること。また周囲が畑や田圃でも環境基準を超えることがあること、などが見えてきました。みんなで測定することで、自分の身近な地域の汚染度がわかります。
 平塚市では大気汚染常時監視測定局が9局あります。そのうち2局は新湘南国道の反対運動の中でNO2調査が行われた結果増設されました(下の図1と3)。平塚の測定局数は、県内では多い方で、環境部の方もいつも多いとおっしゃいます。しかしたったこれだけの数で地域の実態が把握できたと言えるでしょうか。是非もっと測定局を増設して頂きたいものです。
川崎・尼崎・名古屋など各地で公害裁判が画期的な判決を勝ち取りましたが、全国的にも汚染は増大し、喘息、肺ガンなどの患者も増え続けているといいます。高速道路網の建設見直しや、公害対策を徹底させるなど、課題はたくさんありますが、胸いっぱいに安心して空気が吸えるよう、もっともっと測定運動を広げ、データーも活用し地道に活動を続けて行きたいと思います。

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