3月5日 講演会より

ディーゼル車運行規制で話題のSPMとは何でしょう?


神奈川県環境科学センター 小山




 浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter ,SPM ):

 大気中に浮遊する粒子状物質のうち粒径10μm(マイクロメートル、μm=1000分の1mm)以下の粒子は、人の軌道や肺胞に沈着して呼吸器に影響を及ぼすことから、特にこれを浮遊粒子状物質として昭和47年1月に環境基準が設定された。全国の一般大気測定局や自動車排出ガス測定局で常時監視測定が行なわれている。
 米国は1997年環境大気基準の改正で、これまでのPM10粗大粒子を含むものに加え、PM2.5(粒径2.5μm以下の微粒子)を指標とする基準が設定された。

 1.浮遊粒子状物質の性状

 (粒径・化学組成・発生源)
 大気中の粒子状物質の重量濃度による粒径分布は、粒径1〜2μmを境とする二山型(バイモダル)の分布を示す事が知られる。粗大粒子側は、土壌、海塩などの自然起源に由来するものを含んだ一次粒子と考えられる。微小粒子側は、燃焼過程から排出される一次粒子、ガス状汚染物質などから二次的な反応により生成された粒子、さらに蒸気化後の再凝結による粒子等であり、主として人為的起源によると考えられる。

 2.「SPMの環境基準」とその評価

 (環境基準)
 1時間値の一日平均が0.10mg/平方メートル以下、かつ1時間値が0.20mg/平方メートル以下
 (長期的評価)
 @ 1日平均値である測定値について、高い方から2%の範囲にあるものを除外して評価を行なう。
 A 1日平均値につき環境基準を超える日が2日以上連続した場合には、このような扱いは行なわない。

 3.ディーゼル排気粒子(DEP)の特徴

 ディーゼル自動車から排出される粒子は、概ね1μm以下。細かな0.1μmのものが核となり集合し大気中に浮遊。VOCという有機性の有害物質が含まれる。DEPはガス状汚染物質を吸着させて大気中を浮遊していると考えられる。
 粒子状物質減少装置(DPF)装置で粒子状汚染物質はよく取れるが、ガス状汚染物質はとれない。また酸化触媒だとガス状汚染物質はとれるが粒子が削減できない。一方をつければいいことになっているが、両方取り付けた形でと提案している。最近は両方兼ねた装置も出ている。

 4.浮遊粒子状物質の発生源割合MB法:

 各種発生源からの影響を推定するための方法として広く用いられている。大気中の粒子状物質と各種発生源から排出される粒子状物質の成分組成を明らかにし、発生源を識別するために適切な代表的元素等を組み合わせることにより、発生源と環境のデータを照らし合わせ、環境中の浮遊粉じん汚染について、各種発生源からの負荷のようすを定量的に評価します。

 5.ディーゼル車の運行規制に伴う大気中PMの低減効果

 環境科学センターNEWS 2004.12.通巻11号
 ディーゼル車の運行規制に伴う大気中の低減効果を、規制以前2002年9月〜2003年10月、規制以降2003年11月〜2004年4月国設厚木において簡易サンプラーによりPM2.5を採取しDEP濃度を比較した結果、規制の実施に伴うDEP濃度の低減率は31.6%と推定された。

 基本的には、人体への影響の大きい微小粒子を減らさないといけない。微小粒子を構成するディーゼル車の排気粒子と二次生成粒子、高温ガス状汚染物質から生成されたものをいかに減らしていくかということで一番目の微粒子ということで今回の運行規制が施行されている。現状ではどれをどう減らすかがポイントとなり、二次生成粒子をどう減らすかにつながる。二次生成粒子は、生成過程が難しく、季節による変化、前駆物質の量と二次生成の粒子量が対応しないなど難しいが達成することが重要。
 


 

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