自然観察入門 No.8

たのもし貝談2 ;イカ・タコ談議; 2004/08/02


福田 



                                                        
     ● イカ・タコは貝である
 
 わたしたちの食生活のなかで、貝のなかまの軟体動物の占める割合は、大きく、食生活に欠かせないものとなっております。
 狩猟生活の時代から深くヒトとかかわり、古代遺跡の貝塚からも、食生活の証がみられます。 さて、殻を見かけ上もっていない?。イカ・タコは貝の仲間って知っていましたか?。スルメや、イカの煮付け、イカのリング揚げなどを食べると骨のような筋が口にあたります。この骨のような筋や、コウイカの甲は貝殻なのです。

     ● カラストンビの食わせ物

 イカ・タコの口は烏鳶(カラストンビ)といわれます。なんで・どうして?。烏(カラス)のクチバシは太く短くまっすぐであるのに対し、鳶(トンビ)のクチバシはカギのように曲がっています。イカ・タコの口にある顎板が烏のクチバシと鳶のクチバシを合わせたように片方はまっすぐで、もう一方がカギのように曲がっています。このことからイカ・タコの口は烏鳶(カラストンビ)といわれています。このカラストンビの中に口球という器官があって歯舌(しぜつ)があります。歯舌は舌状の板の上に大根おろしをつけたような器官でイカやタコは烏鳶(カラストンビ)で獲物をくわえ、歯舌でけずりとって食べます。歯舌は皆さんおなじみのアワビやサザエにもある器官です。だからイカやタコも貝の仲間というわけです。

     ● イカ・タコの前後不覚

 イカやタコの頭と言ってたところに内蔵がつまっています。だからこちらが胴体です。となると足のあるほうが頭で、頭に足が生えていることになります。(頭足類)そして早く泳ぐときは頭の方でなく、胴体の方へ進みます。ですから早く後ろ向きに泳いでいることになるのです。また、口の周りに足があり、消化器官が胴体をめぐり首の辺りにお尻の穴が開いてます。ミミズでもヒトでも口→消化器官→肛門の順に並んでいるのにイカやタコは口→肛門→消化器官とならんでいます。ヘンテコな体のつくりをしてます。  

     ● イカ・タコも噛めばかむほど味がある

 それにつけても、店先に並ぶイカの姿・三角のひれ、太い筒の中から大きな目玉を出し10本の足ゲソが口の周りを覆い隠している。その横で火男「ひょっとこ」の口のようにとがった漏斗(ろうと)をつきだして、筒の赤い色素胞がきらきらかがやき、足の先の吸盤にはプツプツと鋭いカギのついた王冠がならんでいます。何ともグロテスクな形、それに劣らずタコというのも奇妙な形をしているではありませんか。今にも吸い付きそうな大きな吸盤、口の周りを8本の足が取り囲み、つるつるの頭、くりくり目玉がこちらを睨んで今にも墨をはきそうに漏斗(ろうと)をむけています。でも食膳にのぼるとキューット一杯ひっかけたくなります。イカ・タコの薀蓄を肴にあなたもどうですか。姿、形で判断するより、イカ・タコも噛めばかむほど味がありますよ。

 考書:イカ・タコガイドブック,TBSブリタニカ,2002:、
神奈川自然誌資料(23);p34〜42,2002平塚市および大磯町の海岸に漂着したイカ類, 山田・浜口 


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