小林
神奈川県廃棄物処理計画が平成14年3月付けで発表されました。過去、誌面で問題と指摘していた「ごみ処理広域化計画」が盛り込まれていました。そればかりではなく、県が極秘で企業と進めていた全体構想(廃棄物処理を環境ビジネスとして進める構想)も盛り込まれました。
結論から言いますとこの廃棄物処理計画は、
(1)県民意見が反映されていない。
(2)EPR(拡大生産者責任)、PPP(排出者責任)、廃棄物処理法第3条(事業者による処理責任)に反する。(横須賀市芦名、産業廃棄物最終処分場計画)
(3)発生抑制が具体化されていない。
(4)リスク対策が後回し‐焼却は危険!
(5)広域化計画による自治権の剥奪
以上があげられます。なぜこうまで問題の多い廃棄物処理計画を県は進めているのでしょうか?
その答えは、全体構想の中にあります。全体構想の詳細は、県が今年2月12日に東京都千代田区で開催した「廃棄物総合処理モデルの研究・事業推進に関する報告会結果概要」を情報公開請求することによって見ることができます。それによりますと、主催は神奈川県、(財)地球環境戦略研究機関、NPO環境テクノロジーセンター、環境技術研究会、共催は、国立環境研究所、東京大学(登坂研究室)とあり、出席者数は350名という大規模なものでした。環境技術研究会は、石川島播磨重工業(株)、(株)エヌ・ティ・ティファシリティーズ、(株)荏原製作所等、有名企業38社で構成されています。開催趣旨には、「今後、神奈川県を実証フィールドとして、可能なものから事業化を図り、本構想を実証していただきたいと考えておりますので、関係各位の一層のご支援並びに、ご協力をお願いします。」p2では、「システムが一般化できるように、100万人モデル・システムを神奈川県の実態を踏まえながら構築していく。」とあります。また、100万人モデル都市の一つが平塚市です。p3には、事業の担い手について「その為、既存事業者、自治体、新規の民間事業者のそれぞれの役割を明確にしたうえで、新たな環境産業として取り組む必要がある。」と述べています。p4には、「民間による事業化の開始。」とあり、「『神奈川県廃棄物処理対策―全体構想―』チャート」、「廃棄物・リサイクル品総合処理フロー(検討図)」、「環境テクノロジーセンターと環境技術研究会について」、その後、当日の発表が紹介されています。
「廃棄物・リサイクル品総合処理フロー(検討図)」を見ると、家庭ごみも産業系ゴミもすべて、同じ流れでリサイクルセンターや有機資源化センター、パワーセンター、クリーン化センターに集結されることがわかります。つまり、一般廃棄物と産業廃棄物の区分がなくなることです。
さて、その先はどうなるのでしょう。みなさん、資料を取り寄せ疑問な点は県に質問し考えてください。そして、小林までご意見をお寄せください。
神奈川県/廃棄物処理計画のページ
首相官邸/東京圏におけるゴミゼロ型都市への再構築に向けて
環境省/廃棄物・リサイクル制度の基本問題に関する中間取りまとめ
環境法令データベース→廃棄物処理法
地方自治法(工事中)
経済産業省→環境関連資料→OECD拡大生産者責任「ガイダンスマニュアル」について