小林
2005年3月1日平塚市は、「湘南西ブロックごみ処理広域化実現可能性調査最終報告書」を公表した。しかし市民への周知はホームページと情報コーナー、環境課などに置かれた報告書の閲覧のみだった。市民が考える術も機会もないこのような方法は、住民無視である。
ごみ処理広域化計画は、1997年の厚生省課長通達に端を発し法的根拠を持たない違法計画である。市町村の廃棄物処理は自治事務だが、神奈川県が先導している。背景として、ダイオキシン発生を避けるため高温連続によるガス化溶融炉の導入がある。そのため大量のごみが必要となり、広域から大量のごみを集める必要から広域化を進めているのである。しかし焼却による有害物質はダイオキシンに限らず、SPM、重金属、有機化合物などが発生し、未完成な技術による事故も多発している。国は問題を国民に知らせず、逆にダイオキシン対策をビジネスチャンスと考え、企業救済のために大規模焼却施設建設や民間委託(PFI、指定管理者制度他)による金儲けを目指しているのである。言い換えれば、国民の健康を企業に売り渡しているのであり、企業が国を動かしているのが日本の現状である。
最終報告書の問題点
(1)文言が意味不明:報告書では住民の意見を踏まえとあるが、二宮町大磯町のごみ焼却、処分を平塚が引き受ける方向にあり、既に大神で地元説明会を開いている。調査報告が実施となっており整合がない。
(2)住民無視:市民の意見を尊重するのであれば初めから市民参加を求めるべきで、検討終了後に意見を聞くのは行政の実績作りへの市民利用である。
(3)政策がない:市町村の自治事務であるから、市町村の処理計画が優先されるが平塚市に廃棄物処理計画はない。二宮桜美園や土屋では、焼却施設や処分場により健康被害が起きているが検討していない。
(4)無知:ごみ問題の危険性や関係情報を把握していない。
(5)周知しない:広域化の問題、危険性を市民に知らせずに進めるのは犯罪である。
(6)不適切な検討項目:「減量化・資源化」「環境保全」「公平分担」「経済性」を検討方針に掲げているが、ごみ問題の重点は命を守ることである。リオで開かれたアジェンダ21には、有害廃棄物の発生防止、発生量の最小化を明記している。そのためには製造責任が問われるが、企業責任は一切ふれていない。有害物質の管理と健康被害を最優先させるべきである。
(7)ごみ処理=焼却ではない:家庭から排出されるごみは、紙、布、プラ、皮革類、木、竹、わら類、厨芥類、がほとんどを占め、焼却に頼る必然性はない。また報告書では焼却施設が340t/日が見込まれているが、平成12年平塚市廃棄物循環型社会基盤施設整備事業計画p68には新設焼却施設341t/日とあるからこの時点で平塚市、大磯町、二宮町の行政は裏で合意をしていると考えられる。
(8)PPP,EPR無視:アジェンダ21では、PPP(汚染者負担原則)に則った施策展開を求めている。企業は公害発生防止の責任義務として、環境負荷の削減が求められている。またEPR(拡大生産者責任)では、製造者が廃棄過程まで責任を持つ国際的な合意が図られているが、日本では企業責任の仕事(収集、保管、処理)を市町村に押し付けている。また1997年(H9)前吉野市長、現落合助役、当時の環境課山口氏はドイツに廃棄物処理の視察に公費で出かけている。ドイツはEPRによるデュアルシステムを実施している。その結果を平塚市の政策に生かさないのであれば、旅費は平塚市に返却するべきである。(前市長1,291,873円、落合725,313円、山口721,813円)
(9)エコループプロジェクトが書かれている:市民説明のない計画を加えるのは問題。
国、県の誘導する広域化計画を進める前に、きちんと市民と向き合い、地域レベルでの問題解決を図るべきである。平塚市民の命を預かる大蔵市長は現場責任を自覚するべきである。