Software Review vol.3

クレイジー・クライマー・・・Produced by (c) 日本物産 (\.38 00)

WSのハードスペックが発表になった時、オールドゲーマーの多くが思ったこと・・・それは『クレイジークライマーが出来る』ということ。WSのクローバーボタンは、このゲームの2本レバーを彷彿させるものがあったという訳です。ただ、実際にこのゲームが開発ラインナップに上がった時は笑っちゃいましたけどね (^_^;)。

そもそも、このゲームはオリジナルのアーケードが発売されたのが80年。続編ですら88年と10年以上も昔のゲームです。ストーリー性は一切無く、何故にビルを登らなければならないのか、何故にこんな不思議な構造のビルなのか、住民やキングコングたちが妨害する理由は?などという疑問は一切無視、ただひたすら登り続けるだけ (実際ゲームクリアという概念は無く永久ループが続く) というのが如何にも年代を感じさせますね。

操作系は、当時としてはかなり画期的というか、現在でもかなりアバンギャルドなシステムで、クローバーボタンが各々クライマーの腕に連動していて、これを交互に上下に動かすことで本当に手を動かしているような感覚でビルを登ることが出来ます。一種のヴァーチャルリアリティとも言えるこのシステム。これだけ見れば早過ぎた傑作という評価もうなずけるでしょう。

ただ、雑誌の評価に書かれているようにWSじゃないと出来ないという訳ではありません。無論、携帯機という点では正しいですが、SFC以降のハードならば (SS以外は) 出来るのです。しかも、残念なことにWSのクローバーボタンは小さく操作感が良いとはお世辞にも言えません。実際、このゲームでもその辺りが非常に気になりました (登ったつもりなのにその場で立ち往生)。これは小さいだけでなく、ボタンが独立してる (十字キーのように繋がっていないのでレバー感覚が無い=同時押ししてしまう可能性がある) のも原因の一つのような気がします。何はともあれ、アクションゲームで操作性が悪いのは大きなマイナスポイントですね。特に、窓と窓の間に挟まって動けなくなる (どう操作してもどこにも動けない) っていう現象がしばしば起こったのには辟易しました。

ゲーム内容は、本当にもうってくらいオリジナルに忠実です。電源を入れた時にリセット画面が出るとことか、なつかしのメロディ (笑って笑って60分というテレビ番組で、小松政夫がやってたギャグ曲) にのって現れウ○チを撒き散らすシラケ鳥、強烈なストレートを浴びせるキングコングなどのキャラクタはもちろんのこと、植木鉢などが当たった時の『イテッ』や、ずっと同じ所にいるとかかる『ガンバレッ』って声は、WSのサンプリングヴォイス機能を全く無視した当時の音声合成機能の音そのもので何て言ってるのか分からないところがグーです (^_^;)。

ただ、ゲーム性も含めてですけどWSだから許されてるって部分は大きいですね。何を言ってるかというと、こんなもん他の次世代機とかで出したらボロクソに言われますよ、ってこと (いやマジで)。ローテクだからこそ許されたゲームっていうのかな?ポケットステーションの『ポケットムームー』っていうソフトもそうですけど、ひとつひとつのゲームはそれこそパソコン創世期に出てたようなモノでPS本体で遊ぶようなものじゃないんだけど、ポケットステーションという単純なハードで遊ぶにはちょうど良いっていう。本ゲームは正にそんな感じがしますね。そういう意味では、今後も昔のアーケードのリメイクが出てくる可能性がある訳で非常に期待してます。

昔このゲームで遊んだ人をターゲットにしていると思われますが、それだけではダメだと思いWSオリジナルモードを付けようと考えたんでしょう。ま、考え方としてはそれで間違っていないと思いますがやり方は間違っていると言わざるを得ません。キャラクタが変わっただけで後は何にも変わらないのです。一応、ステージが海の中とか宇宙とかに変わっていますが、効果音や攻撃方法などは全く変化無し。シラケ鳥はあの曲があってこそのシラケ鳥であり音楽だけそのままでカメのグラフィックに変わっても面白くも何とも無いのです。これでは手抜きといわれても仕方の無い話でしょう。ぶっちゃけた話、新しいユーザーに対するセールスポイントが何も無いのだから当然ですね。

なまじっか昔のゲームを知っているから、あるいは期待していたところが多かったから逆にガッカリ感が大きかったのかもしれません。新しいゲームとして、操作感もこんなものなんだというキモチで遊べばそこそこイケルのかもしれません。昔のアーケードの移植の道標を作ったという意味では評価しますが、ゲームの評価としてはこれでもアマイくらいかなぁと思いますね。少なくとも、値段分遊べたとは思えませんでした。

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名探偵コナン・魔術師の挑戦状!・・・Produced by (c) バンダイ (\.3600)

現在も週刊少年サンデーで連載され、アニメの方も長編映画化されるなど根強い人気を持つ名探偵コナンを題材にしたアドベンチャーゲーム。原作付きゲームというのは往々にしてク○ゲーということが多いのですが、ジャンルも含め色々と目に付くところがあったので買って遊んでみました。

まず、目を引いたのがグラフィック。同じハンディ機のGBでもコナンのゲームはリリースされていますが、それに比べてはるかに画面が奇麗です。GBだとどうしてもドットの荒さが目立ちましたが (通常の画面はもちろん、移動時のミニキャラの時は最悪)、ドットが細かい&数が多いWSでは描き込みが凄く、原作の雰囲気を壊すことなく再現しています。

元々、漫画が原作なのでモノクロであっても全然違和感無いし、色々な表情が用意されてるのもナイスだと思います (まぁ、キャラによっては1枚絵の使いまわしですけど (^_^;))。要所要所で、画面全体にグラフィックが表示されることがあるんですが、これもナカナカ出来は良いです。ただ、個人的には短くても良いからムービーにした方が演出上もっと盛り上がったかな?って気はしますね (容量的にそんなに難しくなかったと思うんだけど・・・)。

グラフィックといえば、もうひとつ。絵ではなく文字についてなんですが、丸ゴシックっていうのかな?ちょっと変わったフォントを使っています。個人的には原作がマンガだし親しみやすくて気に入ってるのですが、いかがでしょうか (サスペンスやホラーって訳でも無いのでOKだと思いますが)?

次にサウンドに関してですが、これは雑誌では事前チェック出来ないので (当たり前 (^_^;)) 実際に買ってから聞いたのですが、ちょっとイマイチでした。アニメの音楽を期待するのは酷だと思いますが、もう少し場面場面を盛り上げるような音楽にして欲しかったですね (曲もそうだけど、音自体もうすっぺらで何か力が抜ける)。あと、バンダイさんなら絶対音声も入れてくると思ったんですけど、それも無かったですね。ま、こちらは容量の関係もあるだろうし、うざったくなるだけなので入れなくて正解だったのかもしれません。いずれにせよ、音を消してプレイしても支障の無いゲームですね \(^_^;)ぉぃぉぃ。

さて、肝心のゲームシステムについてですが、一応アドベンチャーゲームということになっています。一応と書いたのは、このゲームの最大の特徴であるマルバツールというシステムに関係あります。このマルバツールというのは、パッと見るとピクロス (あるいはクロスワード) のような画面になっています。縦横に色んな項目があり、ゲーム中で得た証言 (ヒント) を元にこの中に○や×を書き込んでいくと、自ずと正解が分かるというシステムなのです (まるっきりパズルゲームみたい)。

そう、ぶっちゃけた話このゲームではマルバツールを埋めるための証言を得るだけのためにシナリオモードがあり、実際にやることはマルバツールに書き込む=パズルを解くことなのです。これは、このゲームについているおまけモード (用意されているシナリオを全て解くと現れる) でハッキリと明言していると思います (最初からヒントが用意されている=シナリオが無くてもOK)。

こう書くと何のためにシナリオがあるのかと悩むところですが、実際には今までのアドベンチャーのようにむやみやたらに話し掛けてフラグを立てなくても良い、証言は聞き逃しても大丈夫 (あとでマルバツールで確認出来る) なので安心してストーリーを楽しめる、理論的に謎を整理・解明出来るという利点もあり、ある意味アドベンチャーゲームの新しいスタイルを確立したといえるかもしれません (コマンド選択式のアドベンチャーが出た時も賛否両論だったけど、結局浸透しましたからね)。

このマルバツール自体も良く出来ていて、まず証言が揃わなければ起動しません (証言が揃うとコナンの後ろに閃光が走って (アニメのパターンですね) ツールの起動が可能になる)。また、ツールの画面は縦画面なのですが、通常の横画面から変わる時に他のゲームみたいに『縦に持ち替えてください』なんていう無粋なメッセージではなく、コナンの顔が90度回転して知らせるというのもなかなかうまい演出です。あと、カーソルを合わせたところの項目がスクロール表示され、自分がチェックしたいところを見誤る心配がありません。この辺りは遊びやすさを損なわない工夫として評価出来ますね。ちょっと文字が小さいけど、読めないことはないしさすがWSといったところでしょうか (GBだとこうはいかないでしょう)。

ただ、気になったのはセーブポイント。基本的にシナリオは自動的に進み、セーブするポイントが決まっています。基本的に、マルバツールを起動する直前にセーブ出来るようになるのですが、1度マルバツールを起動すると、それを解いて次の証言を集めて次のツールを起動する所までセーブが出来ません。これが結構クセモノで、乗り物の中で遊んでいる場合など、せっかくマルバツールを解いて次の証言を集めている最中にゲームを中断しなければならなくなることがあると思いますが、この場合せっかく解いた以前のセーブポイントまで戻ってしまうのです。ハンディ機の仕様としては、これはちょっとマイナスですね。

先ほども書きましたが、全部で5つのシナリオ (一応全てに関連性があるにはある) を解くとオマケのパズルモード (全30問) が現れます。両方ともオールクリアすると成績評価が出ますが、よほどのことが無い限り悪い評価は出ないでしょう。それぐらい難易度は低いです。本格的なアドベンチャーを期待するとガッカリするかもしれませんが、私のようにパズルゲームが好きならばそれなりに楽しめるゲームだと思います。個人的には、続編を作ってもらいたい (パズルモードだけで (^_^;)) と思ってるくらい気に入ってます。

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TERRORS・・・Produced by (c) バンダイ (\.2980)

WSの開発元バンダイが放つノベルシアター第1弾ソフト。ノベルシアターというのは、まぁバンダイがそう呼んでいるだけで実のところはサウンドノベルと言った方が通りが良いかもしれませんね。

ゲームのシステムとしては古くからパソコンゲームで使われていたものですが (あの To Heart も元はといえばPCで火がついたヴィジュアルノベル、ただ個人的にはその前作の の方が好き)、その存在を広く一般に知らしめたソフトといえばチュンソフト弟切草でしょう。事実、このソフトの発売後には同じシステムを使ったゲームが数多くリリースされました。

弟切草の開発経緯を知っている人は分かっていると思いますが、サウンドノベルというのはプログラム的には全く難しくありません。それこそ、BASICでいうところのIF文だけで作れるようなものです (当時、人員も費用も無かったチュンソフトが重厚長大なソフトの対局として開発したソフトなのです)。

これはハードの性能をほとんど気にしなくても良いことを示しています。無論、PSなどのCD−ROMを装備した次世代機による生音や実写ムービーによる演出があればさらにゲームとしての深みは増しますが、それよりももっと根本的なこと、すなわちゲームのシナリオがどれだけ優秀かが問題となってきます。これは、その後SFCで色々なサウンドノベルがリリースされたにも関わらず、半ば実験的に投入された弟切草 (後期のゲームの方がグラフィックも音も良くなっているにも関わらず) 以上の評価を得られたゲームが皆無であるということからも火を見るよりも明らかでしょう。

さて、前振りが長くなってしまいましたが、何が言いたかったかというとこのジャンルは非常にWSに向いているんだということが言いたかったのです。まず、第一に携帯性が挙げられます。小説=文庫本だと思いますが、今まではテレビの前に座らされて腰を据えて遊ばなければなりませんでした。これでは、小説というよりも紙芝居のようなものです。ソレに比べてWSはそれこそ文庫本のように小さく、外にも持ち出せるし、オートセーブがかかるので本当に本を読むように好きな時に見る(閉じる)ことが出来ます。

このような携帯性を持ったハードには他にGBとNGPがありますが、これらはいかんせん画面のドット数が少なすぎて表現力に乏しい (特に文字が見にくい) という問題があります。WSの2番目の利点は正にここで、モノクロながらも8階調表現が可能というのもさることながら、前述のハードに比べて2倍近いドット数を持つ液晶画面により、グラフィックと文章を1画面に表示しても問題無い (読める&鑑賞に堪えうる) という特徴があります。

弟切草では、グラフィック画面の上に文字を重ねて表示する手法をとっていましたが、この場合画面の明るさによってはちょっと読みづらくなることがありました。それに比べ、本ソフトでは本当の文庫本のようにグラフィック (挿し絵) と文章を独立して表示することにより非常に読みやすくなっています。ただ、このハードの液晶の特性および物語に合わせたダークな雰囲気のグラフィックのせいもあって、暗く見にくい場面があったり、文章の中に誤字・脱字があったりするのは残念なところです。

3番目の利点はWSのROM容量で、SFC並の128MのROMを使うことが出来ます。その利点を生かして、beat mania for WS で全WSユーザーを驚かせたサンプリングヴォイスやPCM音源を使うことが出来、CD−ROMに負けないくらいの演出をすることも可能になっています。まぁ、ここら辺は演出に対するユーザーそれぞれの感じ方ということになるので一概には何ともいえませんが (弟切草のSEも味があって非常に好き)、出来ないよりはマシでしょう (^_^;)。

さて、以上のようにWSが本ゲームシステムに関して如何に都合の良いハードかというのを書いてきたことからも分かると思いますが、個人的にこのゲームにはかなり期待していました。で、実際に遊んでみてどうだったかというと、思いっきり期待を裏切られたということは無かったんですが、もう少し煮詰めれば良くなったのになぁ・・・ってところが多々ありました。

まず、何といってもシナリオ。5つの異なるシナリオがあり、それらを全てクリアするとオマケシナリオが登場します。一つ一つのシナリオは非常に短いです。これは、おそらく何回もプレイしてもらい数あるエンディング (各シナリオ10個くらいのマルチエンディングが用意されていそうです) を見てもらうための配慮 (弟切草とかだと、平気で1プレイ40分以上かかりますからねぇ) だと思うんですが、何回も遊んでみようと思うほどシナリオが濃くないです。

シナリオ自体はホラーというよりも『世にも奇妙な物語』系のちょっと不思議なお話って感じで嫌いではないんですけど (きしむ音なんかは好きですね、個人的に)、ハッピーエンディングにしろ、グッドエンディングにしろアッサリ終わってしまって『この後どうなったんだろう』とか『あの伏線はここに繋がってるのか』という感情が湧きません。また、弟切草では2回目からは文章の書き方や選択肢の増減などが目に見えて分るようになってましたが、本ゲームではそれが無いので何度も同じ文章を読まされてるだけという感じになってしまい、ゲームをしているというよりも作業をしているといった感じが非常に強いです。

また、何度もプレイしてもらうには快適な環境というのが必須だと思うのですが、この手のゲームで必要な文章の早送り機能が付いていません (読み返し機能は付いている)。1度読んでしまった文章、しかもそれが長ければ長いほどキャンセルしたい気持ちは強くなると思うのですが・・・。一応、メッセージの表示スピードを調節する機能は付いていますが、それで最速の設定をしても少しずつメッセージが表示されることには変わり無いのです (一気に1画面分出るようなことはない)。リーフの『雫』や『痕』のように次の選択肢の画面まで一気に飛ばす、ということまでしなくても良いですけど、もう少し何とかして欲しかったですね (そうすればもっとプレイ時間が短く出来ると思うので)。

さて、次に本ゲームのウリのひとつであるサウンド (ステレオヘッドフォンアダプタを同梱するぐらいだからねぇ) に関してですが、これが思いの他ヒドイです (^_^;)。Qサウンドとやらの効果でたしかにステレオで空間の広がりを感じることは出来るのですが、サンプリングレートが低いせいか妙にこもっていて、しかも音が出るたびにホワイトノイズが入るような感じなのです (ページ切り替えの時はプチプチいうし)。もっとヒドイのがエンディングの曲。楽器の音はノイズだらけで割れてるし、ヴォーカルは何言ってるのか全然聴き取れません (唄が下手っていうのもあるかもしれませんが (^_^;))。サウンドノベルという以上 beat mania for WS 並の音質を期待していたのですが、これにはちょっとガッカリでした。こんなことならSFCみたいにPSGの音源を駆使して音を作った方が容量的にも遥かに良かったような気がします。

で、サウンドといえばもうひとつ。このゲームのキャンペーンでたくさんの女の子が出てたのを知ってる人もいると思いますが、その女の子達がゲーム中に登場するキャラクタの声を担当しています。これが素人丸だしの棒読み状態 (^_^;)。っていうか、こういうゲームで別にキャラクタにしゃべらせる必要は無いような気がしますね (ま、せいぜい悲鳴くらいは良いとして)。小説やマンガの原作がアニメになったら全然イメージが違って幻滅ってパターンが良くありますが、まさにそんな感じ。ダークな雰囲気の話が学芸会みたいになっちゃってます。で、音声オフ機能ってのが付いてたんで試してみたら台詞だけじゃなく効果音まで消えちゃった。台詞だけ消す機能を付けて欲しかったですね (いや、本気で)。

しっかし、こんなド素人&ド下手の大森玲子を声優になんて、何考えてんだ>快進撃テレビ・うたえもん。

期待が大きかっただけに、ちょっと評価も辛口になってしまいましたが、このジャンルを否定するつもりはありません。むしろWSで実験的に作った本作でここまで出来たのだから欠点をフィードバックして次回作に望めば、より良いモノが出来るだろうという期待の方が大きいです。あるいは、今後各社から類似のゲームが出る場合にも本作の良いところと悪いところを吟味して作って欲しいと思います。

とりあえずの要望としては、シナリオは1本でも良いです。その代わり、何回もプレイさせてエンディングを見させるという作り方ではなく、1回のプレイで各々満足出来るエンディングを用意し、何回も遊びたくなる (良いマンガや小説は何回も読みかえしたくなりますが、それと同じような魅力のある) シナリオを作って欲しいというのが1点。

文章のスキップ機能を付けて欲しいというのが2点目、片手で操作出来る (Yボタンのみ) ようにして欲しい (左右がカーソルで下が決定で上がスキップ機能) というのが3点目です。いずれも電車の中で遊んでいて思ったコトですが、外で遊ばれることの多い携帯マシンですからこういう操作系に関しても手抜きをしないで作りこんで欲しいですね。

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TURN TABLIST・・・Produced by (c) バンダイ (\.3600)

未だに人気の衰えない、というか既にひとつのジャンルとして確立してしまった感のある音ゲー。当初はアーケードの迫力あるサウンドや、PSなどのCDによる生音というクオリティの高いものが望まれていましたが、最近ではGBやLSIゲームなど音質はちょっと落ちるけど、ゲームとしての楽しさはそのままに持ち歩けるというのがウケて、ユーザーのすそ野も広がってきました。そして、WSは beat mania for WS でも証明されているように、携帯性と音質の高さを兼ね備えたハードであり、本ゲームがリリースされたのは自然な流れだったといえるでしょう。

このゲームのウリは、グラフィックアートの鬼才 TOMI-E がキャラデザイン、DJ界のカリスマ DJ YUZE がサウンド監修、DJ機器メーカー・Vestax が機器設定の全面協力、を担当しているということ。ま、ゲームばっかやってる人間は知らないかもしれないけど、その筋ではカリスマ的存在の人達です。

ただ、こういった作り手のことだけが先走ってるソフトに良いモノは無いっていうのは良くある話。このソフトもそういったモノのひとつになってしまうのかな、という気がしたのですがちょっと違う。というのも、見た目は今までの音ゲーと変わらない感じなのですが、システムの根本が違うのです。どういうことかというと、今までの音ゲーは入力の方法が変わりこそすれ (ギターとかドラムとかマラカスとか)、画面に現れるフレーズに合わせて弾くというシーケンスゲームでしかありませんでした。

これに対し、本ゲームはタイミングに合わせて自分でフレーズを作っていくという、メイキング要素の高いゲームなのです。それこそクラブなどで行われているDJバトル (自分の感性でクールなフレーズを極めていく) そのものなのです。

クローバーボタンに全てにスクラッチやフレーズが割り当てられ、A/Bボタンでフレーズのチェンジやミュートを行い、決められた時間の中で如何にクールなプレイを決められるかを競います。フレーズは対戦相手に勝つことによってゲット出来るモノもあるし、自分で作り出すことも出来ます。使用する機器も実在のモノが実名で登場してるし、正にDJ志向の人間にとってはシミュレーションになりうるポテンシャルを秘めているといえます。

ただ、逆にシステムが斬新すぎて今までの音ゲーに慣れてた人にはかなりツライです。まず、何をしたら良いのか良く分からない (^_^;)。いや、一応チュートリアルもあるし、プレイの基礎も学べるのですが、バトルの採点の基準が良く分からないのです。元々感覚的なもので勝負の決まるDJバトルですから、これをやれば楽勝!とかいうのは無いと思うのですが、逆にそれがネックになってます。

ホント、実際には色んなことが出来るんだと思います。ただ、それを試そうと思う前にゲームが終わっちゃってるって感じですね。最初っから敷居が高すぎるっていうか、もっとゲームの本質を分からせるような展開にしてくれた方が良かったと思います (なんか、初心者無用って感じで突き放されてる気がする・・・私だけかな?)。コンセプトが良かっただけに非常に残念ですね。もう少し仕様を煮詰めてくれたらbmに負けないくらいのゲームになったような気がします。

もっとも、これは私のような音楽的才能の無い人間の意見であって、たとえば渋谷あたりで遊んでる若い連中なんかはすぐに上達してクールにプレイ出来るのかもしれません。そういう人達にはWS本体も含めてマストアイテムになりそうな予感がします。っていうか、是非とも1度そういう上手い人達のプレイを見てみたいですね。訳も分からず遊ぶよりも1回でも良いからそういう人達のプレイを見るのは参考になると思うから。

評価が後になりましたが、サウンドに関してはまったく問題ないです。ステレオヘッドフォンアダプタがあった方が良いのはたしかですが、本体のスピーカーだけでもかなり良いセンいってます。プリセットされたフレーズを聴くだけでも結構遊べますしね。

グラフィックに関しては、好き嫌いのハッキリ別れるキャラですが、ゲームには合ってると思います。フレーズのタイミングを示すバーの流れも気になるほど残像は無いし見にくくは無いのですが、多少凝ったプレイをするとたくさんのマークが付いてゴチャゴチャした感じになります。相手のプレイを参考にしようとする時にはかなり見づらくて困りモノですね。

実際このゲームが売れているのか、また売れていくのか分かりませんが、試みとしては非常に良いコンセプトを持って作られたと思います。ただ、もう少し遊ぶユーザーサイドに立ったゲーム作りをしていれば、もっと多くのユーザーを取り込めたのではないかと思いますね。DJバトルに興味のある人向けのゲームかな?少なくともコナミの音ゲーを期待してるとガッカリしてしまうかもしれません。

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たれぱんだのぐんぺい・・・Produced by (c) バンダイ (\.2980)

WS本体と同時に発売され、WSの出荷に大きく貢献し、自身も多くのファンを獲得することに成功したゲーム・・・いうまでもなくGUNPEYのことである。実際このソフト以外のゲームはあまり遊んだことが無い (買ったことが無い) というWSユーザーも多いと聴きます (ま、これだけで飽きちゃったからというのもあると思うが)。かくいう私もいくつかのゲームで遊んできたが、今では beat mania for WS かコレのどちらかが挿さっているという状態である。

さて、バンダイといえばゲーセンのプライズも含めてキャラクタ商品を扱うことで有名な会社であるが (もっとも、大部分はバンプレストのもの)、そのバンダイが昨年あたりからブームになってる癒し系キャラ・たれぱんだに目を付け、こともあろうにGUNPEYと結び付けてしまった・・・というのが本ソフトである。

電源を入れてデモがスタートすると、もうそこはたれぱんだワールド (^_^;)。画面上のいたるところ (右上のフェイスウィンドウや、次のパネルが出てくる時のマスク表示、スコア表示やメニュー画面)、デモやゲーム中の特殊効果グラフィックなども全てたれぱんだにアレンジされている。特に、デモ画面はキャラクタの動きのトロさすらもたれぱんだっぽく、出てくるメッセージもイイ味出してる。BGMもオリジナルのアップテンポな感じの曲から若干スローな感じに変わっているし、単にキャラクタを入れ替えたってだけじゃなく、上手くアレンジしている点は高く評価出来るだろう。

ただ、メニューが全て日本語になってしまっているので、オリジナルで遊んでいた身としてはどれがどのゲームモードなのかを一瞬で判断出来ないのがまどろっこしい気がする。また、モードによってパネルのデザインが変わるのだが、これは自分で選べるようにして欲しかった (中には見にくいデザインもあるので)。

ともあれ、ゲーム自体の面白さは損なわれていないし、お世辞にも良く出来たキャラだとは言えなかったオリジナルに比べて、キャラ自体の魅力もあるし (好き嫌いはあると思うが)、もし今から買うとするならば本ソフトをオススメしたい (値段が変わらなければという条件は付くが)。なお、たれぱんだ仕様のWS本体 (ミルキーホワイトのハーフスケルトンボディでメニューの記号とかがすべてたれぱんだをデザインしたモノに変わっている) と本ソフトの同梱セットも限定で発売されていた。このWS本体もただ単にたれぱんだのシールを貼っただけじゃないのがミソ。未だ置いてある店があるかもしれないので (近所のファミ屋には6個ほど陳列棚に入っていた) 興味のある人は探してみると良いだろう (ちなみに、私は当然のごとく?セットで購入 (^_^;))。

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