なぜ勉強しなくてはいけないか?


それは二つあると思う。一つは「自分が幸福になるため」であり、もう一つは「全ての人を幸福にするため」である。


●自分さえ良ければ人はどうなってもかまわないという考え方は許されない。もしもそういう考え方を許したら、あなたが他人から同じように扱われても文句は言えないということになるはずだ。

●自分が幸福になりたいと思うのと同じように他の人も幸福になりたいと思っているわけだから、自分も幸せ、みんなも幸せであるならば文句なし、最高なわけだ。そういう世界を作ってゆくことが人類の目標なのだ。さりげなく言ってしまったが、「人は何のために生きているのか」という問いに対する答えもここから出てくる。つまり、「自分も含めて全ての人々の幸福を実現するために生きている」のである。

●では一体どうすればみんな幸せになれるのだろうか。これが難問なのだ。

●一つのヒントは歴史の中にある。人類の歴史はいかに多くの人が幸せに暮らせるようになるかを追い求めてきた歴史といってもいい。例えば、平安時代は貴族の時代だった。貴族の人達は殿上人と呼ばれ、まさしく雲の上の人のように優雅な暮らしをし、文化レベルも高かったが、それはほんの一握りの人達だけで、9割以上が農民だった。ほとんどの人は毎日畑仕事に追われて、取れた作物からはたくさんの税金をとられて、貧しい暮らしに甘んじていたわけだ。それは江戸時代になっても貴族が武士になっただけで基本的には変わりがない。なぜなら基本的な生産様式が変わっていないのだから。

●これを劇的に変えたのは産業革命である。産業革命とはエネルギー革命であり、それによって生産様式を農業中心から工業中心へと大きく変えたのである。その後の進歩によって、ほとんどの市民が曲がりなりにも文化的生活ができるようになったわけである。だから産業革命の意義はいくら強調してもしすぎることはないと思う。(しかし、私が中学生だったとき、なぜ社会の先生がこんなことを強調するのかその理由が全くわからなかったことを思い出す。)

●この歴史から何がわかるだろうか。それは生産の効率化によってより多くの人々を幸福にできるという思想である。この生産の効率化のために今まで様々な企業がしのぎを削ってきたのである。そのために積み重ねられた様々なアイデアや研究成果、それらはすべて私たちの文明を支えている知識なわけだ。この膨大な知識やノウハウを受け継ぎ、さらに発展させて行くことが君達に求められているわけだ。これが勉強をしなくてはならない理由の一つだ。

●さらに現代は情報革命が進行中である。「知は力なり」ということわざがあるが、現代では情報が莫大な力を持つことが証明されている。様々なノウハウやアイデア=情報が企業の生きるか死ぬかを決める鍵なのである。今や情報そのものが金になる時代なのだ。アニメのキャラクターしかり、ゲームを始めとしたコンピューターソフトしかりである。こうした新しい時代の要求に応えてゆくためにもやはり勉強は必要だ。

●また、解決しなくてはならない様々な社会問題がある。例えば、

●石油が枯渇したらどうするかというエネルギー問題。

●食糧難でたくさんの人が餓死してゆく国があるのに、片やぜいたくな食事をし、たくさんの食料を捨ててしまう国があるという富の偏重。

●人口爆発によるさらなる世界の貧困化。

●地球の砂漠化や温暖化、オゾン層の破壊に酸性雨、といった環境破壊。

●いまだに治療法の見つからないガンその他の難病の予防や治療法。

●大規模地震に対処するための予知や耐震設計の都市計画。

●宗教や民族の違いによる国際紛争。

●これらの問題の解決にもやはり知恵を出し合う必要がある。ここでも勉強が必要だ。

●というわけで思いつくままに私の考えを述べてきたが、もちろんごくありふれた日常生活の中でも、様々な知識が必要であり、そのためにも勉強が必要なのは言うまでもない。

つまり、自分も含めて、より多くの人の幸せを実現するために勉強が必要なのである。


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