「人間として成長する」とはどういうことか?


人は一人では生きてゆけない。

●例えば、無人島に一人取り残されたらあなたは生きて行けるだろうか。電気もガスも無い。水道も電話も無い。着るものも食料も全部自分一人で何とかしなくてはならない。魚を釣るにも釣り針を作らなくてはならない。石を削って矢じりをつくり、ツルを探してきて弓矢を作れたとしても、それでうまく狩猟ができるだろうか。はたして着るものが自分の力だけで作れるだろうか。のこぎりもくぎも金槌もなくて家が建てられるだろうか。

●こうして考えてみると、私たちはいかに恵まれた社会に暮らしているかがわかるだろう。ちょっと店に出掛ければ、食べる物でも着るものでも簡単に手に入れることができる。それだけではない。様々な娯楽もある。

●それは人間が様々な仕事を分担して行うという分業体制の社会を作ったために可能になったことがわかるだろう。人のためになることをすれば、その対価としてお金がもらえるという仕組みである。

●世の中には実に様々な職業が存在する。その中でも自分に最も適したものに就ければ幸せである。やりたいことをやってそれでお金がもらえるならこんな嬉しいことはない。もちろん「やりたいこと」と言っても、それが人のためになること(生産的なこと)でない限り、職業としては成り立たないが。

社会の中で暮らしてゆく限り、必ずそこには人間関係が生まれる。

●社会に出れば、職業によって違いはあるが、多かれ少なかれ様々な人と接触することになる。その中には「こんな人とは付き合いたくないなあ」と思うような人もいるかもしれない。しかし、それでもなんとかうまく付き合って行く必要があるわけだ。

●クラスという集団は偶然集まった集団だから気の合う人もいるだろうし、そうでない人もいるだろう。それでもお互いなんとかうまくやっていく、つまり「人とうまく付き合う方法」を学ぶことも大切な学習の一つなのだ。

●さらに、お互いの違いを認めあいながらも、共通の目標に向かって協力して行く時に生まれる、集団の力を知れば(合唱コンクールを思い浮かべて欲しい)、人間が協力しあうことの大切さもわかると思う。

●お互いにうまくやってゆくには自分中心の考え方ではだめだ。相手の身になってものを考えられるようにならなくてはならない。「思いやり」が大切なのである。

●また、掃除をさぼってばかりいる人はやはり嫌われる。無責任な人間は信頼できないからだ。

つまり「人間として成長する」こととは「社会の中でいろんな人とうまくやっていく能力を身につけることだ」と言ってもいいだろう。


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