ビリヤード


ビリヤードは私の趣味の中でもかなり長く続いているものの一つです。


●私がビリヤードというものを初めて知ったのは高校生の頃でした。あるとき、弟が近くのビリヤード場へよく出かけるようになりました。当時の私はビリヤードに対してあまりいいイメージを持ってなかったものですから、弟に誘われてもほとんど行く気がしなかったのを覚えています。

●しかし、「そこにはうまい人がいて、引き玉を使って何度も連続して取ることができるんだ。」なんて話を聞いて、ただ角度と反射だけの単純なゲームじゃないんだということを初めて知りました。

●自分でもビリヤードをやり出したのはたぶん浪人時代だったと思います。しかし、そのおもしろさのとりこになったのはおそらく大学に入ってからです。私は高田馬場から大学まで歩いて通っていましたが、高田馬場駅の近く、路地をちょっと入ったところに「楽園」はありました。

●私はそこへ週に2〜3日は通ったでしょうか。大学の帰りや時には授業の前にちょっと寄ることもありました。

●1階に2台、地下に3台の4つ玉テーブルがあって、上ではいつもうまい人が撞いていました。当時は赤々は3点、赤白は2点という点数法だったと思います。みっちゃんというお店の人が「みっつ」などと点数を数えてくれる台が一番うまい人が撞くテーブルで、そこで撞く人は毎日のように来ている常連でした。その人達の撞く玉の動きを見ているだけでも充分楽しめました。すべての玉の行く先を計算し尽くしたような、それは実にほれぼれとするような玉を撞くのです。

●4つ玉ではいかに連続して撞くかが得点に結びつくゲームです。そのためには、ばらばらだった玉を1箇所に集めると有利です。これを寄せ玉といいますが、うまい人になると見事に玉を寄せていって何十回も連続して点を取ることができます。寄せ玉ができるようになれば一人前というところでしょうか。

●また、うまくなるとセリーといって、クッションのそばで三角形を保ちながら事実上無限に撞けるようになるので、テーブルに線を引いて同じエリアでは2回しか撞けないという制限を付けたボークラインというゲームをする人もいました。しかし、このボークラインでもセリーと同じようにライン上で玉を三角形に保ったまま何度も連続得点する人がいました。ラインナースというのだそうですが、まるで神業のようでした。

●私も、何とか寄せ玉はできるようになりましたが、セリーまではできませんでした。セリーを続けるにはマッセをマスターしなければなりません。マッセと言えば「あの、ストンと入るときの感触が何とも言えないんだよなあ。」という大宮さんの言葉がすごく印象的でした。大宮さんというのはいつも紫の丸いサングラスを掛けている老人で、何ともいえない品があって素敵な方でした。

●若い人でも常連が何人かいました。その中に、名前を忘れてしまったのですが、ジャンプボールを見せてくれた方がいました。ある日、その人は、スリークッションをしていました。スリークッションというのは3つの玉を使い、自分の玉を他の2つの玉に当てる間に、3回以上クッションに入れなければならないというゲームで、相当難しいゲームです。普通は台を目一杯使って手玉を走らせなければならないのですが、そのとき見たのは、短クッションしか使わない実に曲芸的な取り方でした。手玉が最初の玉に当った後ジャンプして、クッションの上で数回バウンドしてから次の玉に当たったのです。失敗すると、玉が台を飛び出してしまいますから、相手の人が席を立ってよけていました。3回クッションに入るというのはそういうのもあるのかと目から鱗が落ちる思いをしました。

●大学を卒業してからは、めったに玉を撞くこともなくなってしまいました。一時、ポケットがはやった時代がありましたが、ポケットはどうも単純すぎてあまり好きになれませんでした。

●最近は、たまにスリークッションをやります。まだまだ下手ですが、頭を使うゲームで、何となくスマートに見えるところが気に入ってます。ようやく、念願の自分のキューを持ったのですが、しかし、今になって基礎ができてないなあと痛感することしきりです。ストロークが安定していないのでしょう。ちゃんと狙った所に玉が行かないのです。反射角の勘も鈍ってしまいました。まだまだ、ビリヤードの道のりは遠いようです。


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