2001年新加入選手大解説

 2001年新加入の選手解説は、MLにも参加していただいている、ゆざさんがこのHPの為にシーズンに入る前に原稿を書いてくれた物です。
更新を怠っていたため、アップがこんなに遅れてしまいましたが、ファーストステージを戦って来た選手を、この紹介と照らし会わせてみると
新しい選手のことが、今以上に理解できるのではないでしょうか?
この場をお借りして、原稿を書いていただいた、ゆざさんに御礼を申し上げます。

・ガンバ大阪より期限付移籍の森下仁志選手追加

ウィル

言わずと知れた「俺王」。かつての敵は今日の友。今期より赤黒の勇者の一員となる。はっきりいって、エメルソンの代役にはならない。と言うよりタイプが違うことを、私達は認識しなければならないだろう。

大分でも、10番を背負い、指示塔であった。パスをFWに出して、こぼれ球を拾いにゴールに向かって行く。

それが昨年22得点になって表れている。ある意味、決定力はエメより上かも知れない。(エメはストライカーとして数多くの打ってどうにかするので)

現時点では、チームへのフィット感がイマイチという情報も聞こえてくるが、外国人選手はスロースターターが多く、ウィル本人も真面目な性格であるので、他の選手とのコミュニケーションがとれてくれば、コンサドーレ札幌J1仕様が完成されるであろう。

スピード系FWの後ろから戦車のごとくゴールをこじ開けることが出来れば、エメルソンがいた頃以上に得点力をチームは手に入れることが出来るであろう。実際、そういったドロ臭いゴールがJ1では勝負を分けることになると思われる。

良くも悪くも、今年のコンサドーレは彼が生命線になることは間違いない。彼がその能力を十分に発揮したとき、「俺王」は「札幌の俺王」引いては「Jの俺王」として君臨するであろう。


和波

「あの舞台でプレーしたい」J1でのプレー経験のある彼は、再びJでのプレーを熱望し、移籍を決意し、この北の大地に降り立った。

前所属のベルマーレでは、35試合に出場。不動のレギュラーであった。

しかし、今年は定位置の保証はどこにもない。彼の加入により左サイドのポジションは他のポジションより何倍も厳しいものとなった。攻撃に重きを置くときは伊藤優津樹(トップ下という話もあるが)。守備に重きを置くときはアウミールで戦うことが予想されるため、彼には是非その両方を兼ね備えたユーティリティーなバランスのとれたサイドになってもらいたい。その上で持ち味であるスピードを生かしサイドを駆け抜けてボールを運んで欲しい。NBAで活躍するユタ・ジャズのカール・マローンはボールを確実にゴールに届けてくれることから「メイルマン(郵便屋さん)」と呼ばれている。彼にもサイドから風に乗ってメイル(ゴール)を私達に届けてもらいたい。

阪神の野村監督が「野村再生工場」と言われるように、コンサドーレもある意味「岡田再生工場」という一面を持っている。伊藤にしろ、大森にしろ、コンサドーレに来て、その才能が大きく花開いた。

特に伊藤は自身がそうであっただけに彼の加入には大きな危機感があり、それが今のモチベーションに高さにつながっているのであろう。そして、私達は彼もまた「岡田マジック」にかかり、この北の大地で美しく大きな鼻を咲かせて欲しいと切望する。

北国ゆえのハンデが多いコンサドーレへに移籍は正直なところ、彼の本意ではなかったかもしれない。それでも、彼はJ1でプレーする事にこだわり続けた。そこにはどんな魅力を持っているのか。私達も彼と一緒にその答えを見つけようではないか。このJ1の舞台で。。。。。。

大黒君

若手育成に定評のあるガンバでジュニアユース〜ユース、そしてトップに昇格した彼は先輩に当たる宮本、稲本などと同じく、ガンバエリートである。その彼が、新天地を求めて、札幌にやってきた。目的はただ一つ、「経験」を手に入れるためである。チーム内のポジション争いが厳しく、そして何より同じ境遇だった播戸竜二の活躍が彼にこの決断をさせたのは言うまでもないであろう。サテライトでの試合で一緒にプレーした播戸はいまや押しも押されぬコンサドーレのエースへと成長をとげた。試合に出続ける事の意義を大黒は播戸に見たのかもしれない。

ユース出身の特徴として、基本技術の正確さがあげられる。試合経験さえ積めば、大化けの可能性は大いに期待できるであろう。

あえて、不安要素をあげるとすれば、彼のポジションにはあまりユース出身の選手が少ない(いわゆる、成功している人が少ない)事があげられる。あくまでも、現段階での一般的傾向ではあるのだが、ユース出身はDF、MF(ボランチ)に多く、主に守備の選手が多い。反対に(ちょっと蛇足になるが)高校サッカー組にはFW、MF(司令塔)が多い。やはり、大会で勝つという目的があるため、高校の指導者はどうしても才能のある選手を前に持っていってしまうことがよくわかる。

ちなみに、この大黒、3人兄弟の兄の影響でサッカーを始め、下の弟もユースで活躍中とのこと。

また、ガンバ時代、クラブハウスが飲食店から遠いため、お母さんにお弁当を作ってもらって1人で食べていたこともあったそうで、なかなかかわいいエピソードの持ち主である。

そんな、住み慣れたチームを離れて、この北の地で、彼は欲しいものが手に入れることが出来るのだろうか。彼の挑戦が今始まる。

瀬戸君(セカンドステージよりガンバ大坂へ移籍)

いい男である。サッカー選手とは思えないルックスの良さが第一印象として残る。しかし、彼のサッカー人生を見るとき、それは良い意味で裏切りであることがわかる。

横浜フリューゲルスに入団後、チームの消滅に伴い、J2アルビレックス新潟へ移籍。その際、J1からのオファーもあったが、「1から上を目指す方が良いと思って」とJ2へ行くことを決める。

新潟では、FWからボランチへコンバートされ、全36試合出場し、チームの主力として活躍。昨年は同じくJ2大分でプレー。激しいポジション争いにスタメン出場の機会は減ったが、スーパーサブとして、チームのリズムを変える役割を果たした。前所属石崎監督もチームを語るとき、若手の成長株として、瀬戸の名前を上げ、事実、去年の天皇杯ではスタメンで出場、確実に進化している男である。

「サッカー選手になっていなかったら」という、質問に対して「ジャニーズJr.」と笑って答えた瀬戸。しかし、そんなユーモアな顔に裏側には、その見かけに寄らず、クレバーなサッカー人生だった事がうかがえる。

J1で厳しい試合が続くであろうコンサドーレにとって、彼のそのクレバーさが必ずや武器になるときが来る。そんな、予感がする男である。

森川くん

移籍組の中で、即戦力として、期待されているのが森川である。実力、実績共にチームの中でも間違いなくトップクラスである。

チームを渡り歩くことが多かったためか、元来のオープンな性格のためか、新加入の選手の中でも、いち早くチームにとけ込み、チームメイトとのコミニケーションに努めている。また、戦術理解度も高いため、キャンプ中は調整の遅れている名塚の代わりにセンターバックの位置に入り、プレーをしている。

同じポジションのベテラン名塚はどうしても故障すると長くなってしまうので、森川の加入はDFラインの安定を考えると大きな補強と言えよう。

もちろん、森川自身はバックアップメンバーで終わるつもりはないし、名塚にもベテランの意地とプライドがあるから、レギュラーを渡すわけにはいかない。左サイド同様にこの位置もポジション争いは熱く激しい。

昨年で、川崎FでJ2降格の苦い経験をした。チームの中で誰よりも降格に対する危機感が強いのも彼であろう。「同じ思いはもうしたくない」

去年の昇格、優勝でともすれば、浮き足だってしまうチームにその苦い経験を生かして、チームに渇を入れる存在になって欲しいと期待する。

ルーキー曽田君

深川や山瀬など、地元出身選手はサポーターの中でもとても人気が高い。やはり、「おらが街のヒーロー」という思いが人気の秘密なのであろう。当の本人は自分と周りとの温度差にとまどいを感じつつも「常に見られている緊張感は僕にとって心地の良いもの」と自身のHPで語る当たり、かなりの強い心臓でもある。高校時代は無名だったが、大学でその才能を開花、大学時代の成績も優勝もしくは準優勝の字がおどる。FWというポジション柄、結果(得点)が出なければ、たたかれる。反面、得点すれば、日ローとしての価値は上がっていく。

かつて、吉原宏太(札幌→G大阪)はチームそして、サポーターに育てられ、大きく成長していった。コンサドーレサポーターは、そういった育てる楽しみを知っていて、現在、次なるヒーローを捜している。

彼が初ゴールを上げ、ゴール裏にやってきたとき、新たなるヒーロー伝説が始まる。

吉川君

DFというポジションのせいか、自身の持つ雰囲気がそうさせるのか。あまり派手な印象を受けないが、今年入った新人の中で経歴はピカイチである。

U−17,U−22と年齢別代表にも必ず顔を出す存在であり、市立船橋時代には、柏レイソルの北嶋と共に選手権優勝。そのときのレギュラーであった。ここでも、たぶんJから声がかかったであろうが、彼は大学進学を選択する。名門、筑波大学においても、キャプテンを務め、今期より万を持してJへの扉を開くことになった。

かつて、共に戦った友、北嶋はチームをそしてJを代表するストライカーへと成長した。そんな姿を目の当たりにして、燃えないと言ったら嘘になるだろう。

大学で過ごした4年間を回り道だと言われたくない。華やかだった過去を捨て、ひたむきに努力すれば、Jのピッチに立つ日もそう遠くはない。「今度はオレの番だ」

奈良君

その風貌に似合わず(失礼)、テクニシャンである彼。今や日本を代表するレフティー中村俊輔を輩出し、高い技術を誇る、桐蔭学園において、エースナンバー10番を背負っていた。

選手権においても大阪朝鮮に一回戦負けを喫するも「やわらかなボールタッチでDFをほんろうする」「豊かな発想、多彩なプレー」と、関係者の評価は高い。体は日々の地道な努力によって作られるものであるが、プレーのアイデアやセンスはその人の才能によるところが大きい。(もちろん経験によるものもあるが)凡人がいくら欲しくても手に入れることが出来ない物を彼はすでに持っているのだ。サテライトを持たないコンサドーレでは若手をじっくり育てると言うことが難しい。しかし、うまく育てば、必ずや将来頼もしい赤黒の勇者になるであろう。彼に、チームは先行投資を惜しまずしてもらいたい。

今野君

U−20での、彼のプレーを見て、驚いた。DFもボランチもそつなくこなし、そのユーティリティーさを見せてくれた。プレー自身も落ち着いているし、常にセーフティーな判断が出来る印象をうけた。

彼本来のポジションはボランチである。まだ、1試合しか彼のプレーを見ることができず、判断材料に乏しいのだが、現代サッカーにおいて、ボランチは攻守に渡り、チームの要となるポジションである。

彼が今後どういった成長をするかは、将来のチームにとって、とても重要な鍵となるだろう。幸い、コンサドーレにはJの中でもかなり優秀なコーチングスタッフがいる。彼の才能をからすことなく大きく育ててもらいたい。

今年は、U−20の世界大会があるので、是非メンバーとして出場してもらいたい。そして、チームでは絶対に体験することの出来ない、「世界」を体全体で感じ、自分のサッカーへの栄養としてほしい。

彼の入団により、将来、今野−山瀬のホットラインが見れるのかと思うと、今からワクワクがとまらない。

2001年3月 ゆざノートより

森下選手 (契約期間:2001年 7月25日〜2002年1月末日)

「日本海をバックにフンドシ姿が似合いそう」森下に関する資料を見ていて持った感想がこれである。

プロ入りしてから、ガンバ一筋。豊富な運動量でチームの汗かき役に徹する職人タイプ。ポジションはMFならどこでもということだが、コンサドーレでは右サイドが濃厚であると見られている。そう、コンサの職人、田淵龍二のポジションである。

層が薄いと言われるコンサドーレでもやはりポジション争いはそれなりに厳しい。その中にあってこの右サイドのポジションは田淵の「指定席」と言える状態であった。

もちろん、怪我やイエローの時の要員とも取れるが、この二人、体格、プレースタイルも似ているので、今後の右サイドのポジション争いは面白くなりそう予感でいっぱいである(実際、田淵のバックアップの中尾あたりは危機感を感じていて、毎日、居残り練習の日々である)。

職人タイプは外にアピールはしないが、チームから与えられた自分の仕事を「プロ」としてこなすことに自分の美学を見いだす。岡田監督がセカンドステージに向けて放つカンフル剤、それが森下である。

自身も「札幌には永住するつもりでやる」と早くも熱い宣言が飛び出している。ガンバ時代、どんなに寒くても半袖短パンで練習するだけの熱い魂は北国の寒さを吹き飛ばせるのか。。。。

2001年8月 ゆざノートより

堀井岳也選手 (契約期間:2001年9月9日〜2001年1月1日)

一救世主(メシア)降臨。
セカンドステージ初勝利をもたらした彼のゴールに札幌ドームにいた三万五千人の観客は誰もがそう思ったに違いない(大げさ?)。

チーム合流5日目、背番号31のデビューはそれほど衝撃的なものであった。
交代直後より、思い切りに良い飛び出し、前線でのボールキープ。どれも気持ちのこもったプレーを見せてくれた。
そして何よりFWの証明である「ゴール」。
しかもそれが試合を決めるVゴールと言うことで早くも赤黒の一員として認められることとなった。私自身の情報不足により彼を見るのはその日が初めてであったが、とにかく一生懸命で見ていて気持ちのいい選手、そんな第一印象であった。

「スピードが武器」そう聞いて、彼を見たことのない私はエメルソン(浦和)や岡野(神戸)を想像していた。
しかし、実際プレーを見て、それは、間違いであることに気が付く。確かに上記の二人は速い。エメはFWとして初めの一歩はJで屈指であるし(くやしいけど)、岡野は純粋に速い。
しかし、堀井選手は早さにくわえて、次のプレー(トラップ、ドリブル、シュート)を考える”頭の良さ=うまさ”があるのである。また、前線でのボールキープ力もなかなかで、今までの札幌FW陣にはない魅力の持ち主である。

天才中田英寿を輩出した韮崎高校、その後青山学院大を経て、J2甲府からプロ生活スタート。昨年は同じくJ2山形でプレー。
35試合7得点を上げ主力として活躍。
今期もシーズン途中ながら31試合10得点。チーム得点王として「山形のスピードスター」に名を欲しいままにした。

彼の年代くらいだと、高校卒業後、即、プロという選手も多い中、大学、J2、そしてJ1へと、地道な選手が多い札幌の中にあっても、彼のサッカー人生は本当に一歩一歩プロへの階段を登ってきたという感じがある。
「ひたむきに、がむしゃらに」が彼のモットー。
プレースタイルもさることながら、この気持ちこそが彼のサッカー人生を支えているのは言うまでもない。

26才、選手として油の乗り切った最高の状態でついにJ1の舞台へと上がる。
昇格の可能性もある中、彼のキャリアを大切にし、快く送り出してくれたチーム、そしてサポーターの想いを胸に彼は赤黒のユニフォームに身を包む。

仕事はただ一つ。ボールをゴールへ、ひたむきにがむしゃらに。。。。。。

2001年9月 ゆざノートより

アダウトくん。

新外国人獲得の発表があった時、ブラジル人特有の足技のある選手なのかと、勝手に想像していた。

しかし、実際プレーを見ると足技はそうでもないが、スペースへの意識が高い選手だなぁという印象があった。
残念ながら、言葉の問題などで現時点での戦術理解度が低く、周りとの連携がイマイチではあるが、今後、チームにフィットしてくればと期待は高まるばかりである。

魅力はなんと言っても攻撃力。
チャンス時のフィールドの使い方が非常に広く、スペースへの走り込みやパスには彼のサッカーセンスが随所に感じられる。
また、パスの出しの際、ボールを止めて受け手を探すのではなく(札幌の悪い癖の一つ)常にボールを動かしながら(ドリブルしながら)ボールの出し手を探すので、試合の流れを切ることなくスムーズにフィニッシュまで持っていくことが出来る。
カウンターが信条の札幌サッカーにはサイドの選手のスピーディなボール運びというのが1つのポイントなので、まさにピッタリの選手である。

また、コーナーキックやフリーキックを任される事からもわかる様に精度のあるセンタリングも大きな特徴の1つ。
時には強く、時にはソフトに質の高いボールを供給する。ワンプレーに対する集中力の高さがうかがえる。

外国人選手は勝利に対するモチベーションがとても高い。
アピール(=ゴール)しなければ、明日はない。
サッカーが生活の一部である国で育ち、そして名門でライバル達としのぎをけずってきた彼のプレーを見ていると、サッカーは点を取ったチームが勝利を、そして点を取った者がヒーローになる。当たり前だけど1番大切な事を私達に気づかせてくれる。
「ボールを少しでもゴールに近づけたい」1つ1つのプレーがそんな気持ちであふれている。
そんな彼だからこそ持ち得る「ハングリー精神」がチームに新しい血としてそそがれる。

岡田監督は、外国人選手に関しては宝くじのようなものであると言っている。
果たして、アダウトは大当たりなのか、ただの紙切れなのか、これからの彼に注目である。

2001年10月 ゆざノートより

2001年10月18日