クライバン・キャットが選んだ名曲名演
「大きな曲」



◎R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」

>>R.ケンペ/ロイヤルP.O. (CD:Chesky Records CD88)

 確か1千円しなかったと思います。

 選択理由
  1.かっ飛びのテンポで気軽に楽しめる
  2.シンバルやハープが派手にはいってる
  3.大どんでん返し!って感じがする
 以上。




◎ガーシュイン/ラプソディ・イン・ブルー

 この曲にアドリブが入っていたら、もっと良かったのにねー、って感じるのはきっ と僕だけじゃないと思う。
 後半、心安まるメロディが流れるところの直前に、クラリネットとピアノとでアド リブの受け渡しがないのは、どうも物足りない感じです。

 '50年代前後のJAZZって、まず、主題の提示があって、メンバーが次々にア ドリブして、最後に主題を再現して終わり、という簡単な構造なんですが、アドリブ のところで一発勝負。自分をさらけ出して、「こいつが俺の音楽さ」と言ってるのが とっても好きです。

>>バーンスタイン/ロサンゼルスP.O. (CD:DG 431 048-2他)

 「重厚すぎて楽しめない」、「コロンビア響との演奏にはパワーがあったのになぁ 」、なんて声も聞こえてきそうですが、確かに重い演奏です。

 でも、不評をおそれず、奥の方まで自分の音楽を人前にさらけ出している、そうい う意味では、とってもJAZZしてるのでは。 (それに、冒頭のクラリネットの音程のはずしかたも、気に入ってるのです)

 JAZZ畑でも活躍しているプレヴィンの演奏は、かえってクラシック的かな。  良い演奏ですが、整い過ぎなようにも思えます。




◎シューマン/交響曲第4番

 もう、この曲はフルトヴェングラー/BPOのDG盤で決まりだよなって思ってい たのですが、ふと気になって別のディスクを聴いてみました。

>>コンヴィチュニー/ゲヴァントハウス管 (ETERNA)

 優しい女性的な演奏です。夢みるようなロマンの音楽は、やっぱりコンヴィチュニ ーが良いですね。




◎ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番

 今日はとても夕日が美しい日。北浦の湖面が真っ赤に燃えていました。

>>バックハウス/ベーム/VPO (CD:Disques Refain 1965 Live)

 バケツを叩いているようなピアノの音ですが、魂が熱く燃えたぎっているのが伝わ って来ます。ベームも若さを失っていない。  夕日は水平線の下に落ちた後、再び静かに紅く空を染めますが、この演奏はいまだ 落ちきらずに一直線に湖面を照らす大きな太陽。鍵盤の獅子王の面目躍如。




◎チャイコフスキー/序曲「1812年」

 合唱のない「1812年」なんて・・・

>>ストコフスキー/ロイヤルP.O. (CD:LONDON '69)

 「皇帝賛歌」のところに歌が入っていない演奏は受け付けられません。

 大砲の音はもちろん実射。右から左、左から右へと飛び交います。  鐘も3種類をブレンドして、高らかに勝利を言祝ぐのです。  音楽が消え去ってからも、永遠と鳴り渡る平和の鐘。  うー、独裁者ナポレオンは敗れ去ったのだー!  涙。




◎ショスタコーヴィチ/交響曲第12番「1917年」

★内容
 ショスタコは苦手です。
 美しいメロディを幾らでも書けるくせに、途中で屈折せずにはいられないところが どうもね。シャイなんですかね、ショスタコさんは。

>>ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル (CD:MELODIA '61)

 青白い冷気が吹き出しています。魂を持って行かれそう。




◎ベートーヴェン/交響曲第9番

>>シェルヘン/ルガーノ放送響 (CD:ACCORD 201002 '65)

 酔狂で選んだ訳じゃないことを、まず、申し添えます。  テンポが激変するためアンサンブルがところどころ崩壊しています。  歌もうまくなく、敢えて言うなら「へたうま」と表現して良いかも。

 崇高で偉大な芸術作品を我々聴衆に分け与えてくれる、といった演奏ではなく、平 土間でオーケストラを取り囲みながら聴く、新宿駅でのパフォーマンス、そんな雰囲 気を持つ演奏。

 「ぼくらが求めているのは、こんな音楽じゃない!」  乱れるほど、声がかすれるほど、「歓喜の歌」が伝わってきます。  人から人へ、魂から魂へ。

 既に30年前、この演奏をやり遂げた指揮者に脱帽。  初めて聴いたときにあきれて笑ってしまったことへの罪滅ぼしとしてご紹介します 。




◎ブラームス/交響曲第4番

>>ワルター/コロンビア交響楽団(CD:SONY)

 フレージングの正確さ、跳躍する音形にもかかわらずアクセントに少しも力みが無 いところ。一生懸命な演奏ですねぇ。背筋を正して聴かねばなりません。  そして、第二楽章。30小節目のヴァイオリンと41小節目からのチェロ(第二主 題)のところで、不覚にも涙が出てきそうになってしまう。






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