神宮寺の湧水
Spring of Jingu-ji Temple

若狭神宮寺は奈良二月堂への「お水送り」の寺だ。
和銅7年(714)創建の若狭神願寺が鎌倉時代に改称されたとのこと。本堂に向って左側に、かの香水が涌き出ている。もちろん飲めるし、旨い。
3月2日にこのお水を竹筒に汲み、ここから2kmほど離れた遠敷(おにゅう)川上流の白石の「鵜の瀬」に注ぎ、「お水送り」をする。

若狭は朝鮮語ワカソ(往き来)から、奈良も同じくナラ(都)に由来しているとの説があり、半島からの文明が若狭を経由して奈良に伝わったことを暗示する。また、かの良弁は白石の神童として生まれ奈良の義淵に託され、東大寺開山となったこと、その後若狭神願寺に渡来したインド僧実忠が良弁を補佐し、お水取り行法を開始したことからも、水取りのルーツがこの地にあったことがうかがえる。東大寺になぜ「若狭井」があるか。それ以外の名前はつけようがないからだろう。
ここの水が鵜の瀬の鵜に導かれて、10日後の3月13日未明に東大寺の「若狭井」に達し、二月堂の「お水取」が行われる。