
とりあえずビール 2002
First of all, beer! 2002
組曲第二番
- 2002年2月3日、冷たい雨の中をいつものように散歩した。この季節に咲く花は少ないが、蝋梅や山茶花、椿に加えて梅が咲きはじめた。散歩途中の境川の畔に生っている金柑の実を齧ってみた。
帰り道にある楽器店でバッハの「管弦楽組曲第2番ロ短調」の入っているCDを見つけて聴いてみた。
以前から探していた、ピエール・ランパルが1961年にジュネーブで録音したもので、この曲はこれ以外の演奏は体が受け付けない。
単純な理由がある。故郷の中学3年のときに30キロほどはなれた豊後高田のレコード店まで自転車で行き、フランスの古城の写真のジャケットが気に入って買ったレコードがこの演奏だった。英語の勉強のために父が買ってくれたレコードプレーヤーで全曲を諳んじるまでに繰り返し聞いた。1965年だから、ランパルの演奏から4年後にあたる。他の演奏を受け入れないのは繰り返し聴いて摺り込まれてしまったわけで、私に審美眼があるわけではない。
なかでも3曲目の「サラバンド」は切なくて特に好きだ。今日買ったCDは1000円の廉価版だが、15歳の時のEP盤は500円だったと思う。父の給与が一万円ちょっとの頃だから、安くはなかった。英語はだめだったが、この曲はずっと心に残った。親不孝というべきか。
土筆
- 2月17日、今年初めて土筆を見つけた。昨日か今日、土から出たばかりで、それとわかるのに少し時間がかかったが、今年は顔を出すのがかなり早い。黄梅やマンサクの黄色の花がところどころに咲いている。沈丁花の鞠状の蕾も膨らみはじめ、風はまだ冷たいが、春は近い。路傍の馬酔木と椿。
桃の花
- 3月11日、暖かい。気温は20度近く、いよいよ春本番だ。桃の花がふくよかに咲いていた。梅の清楚とも桜の華麗さとも違う、無防備とも思える愛らしい少女の趣がある。例えていえば、天平勝宝2年3月1日に大伴家持が任地の越中で詠んだ歌、「春の苑くれなゐにほふ桃の花した照る道に出で立つをとめ」(万葉集巻十九)の乙女のようだ。
春の帰省
- 4月29日、大分に帰省した。昼過ぎから強まった風は夜になった今も吹き荒れて、古い家を軋ませている。春の嵐といったところだ。休みの間には友人も来てくれることになっていて楽しみにしている。好きな文殊仙寺も訪れたいが、隣家の法事や地区の行事もあり、結構忙しい。さてどうなるか。
30日、以前蜜柑を植えていた東の山の畑に行ってみた。孟宗竹の林に変わっている。40年ほど前に蜜柑の防風のために周囲に植えた檜がかなりの大きさに育っていた。幹にしっかりと絡んだ蔓を一つ一つ鉈で断ち切る。最後の60本目にはさすがに右手の握力がなくなり、息があがった。
- 今日から5月。未明から雨。午前3時に雨音で目が覚めた。夜が明けるまでの夢で中学時代の友人に会った。雨は午後まで降り続き、千灯岳が物憂そうに姿を現したのは夕方近くだった。
2日、バイクで町まで買い物。午後旧千灯寺奥の院の岩場まで歩く。ミツバチが飛び交い、薊の花にもとまっている。夕方待っていた友人二人が来る。時間はいくらあっても足りない。学生時代に戻ったかのようだ。
3日朝7時、東京に仕事のメールを送り、9時に最近奥様をなくされた中学の恩師宅を訪ねる。その後友人と三人で寺巡り。岩戸寺ー文殊仙寺-成仏寺ー(昼食は国東「米屋」の蕎麦)-泉福寺ー両子寺ー富貴寺ー歴史博物館で五時、驟雨。友人と別れ自宅へ帰り、6時から母の名代で地区の「妙見祭」の直会(なおらい)に出席、ご近所の皆さんとの話が弾む。
4日、一族でもある隣家の法事に出席した。2時過ぎに辞去。夕方、雨の中を思いがけなく小・中学校の同級生だったMさんがお母さんとご一緒にお見えになった。Mさんとは同じ年にそれぞれの父を亡くした。短いご訪問だったが有難く、心に沁みた。明日の朝は大分を発つ。
5日、濃霧の瀬戸内海を竹田津から徳山に向かう。視界は時に100メートルほどにもなり、フェリーは15分ほど遅れた。故郷に帰るのはある意味でつらいが、離れるのはなおつらい。こういうことを15歳から今まで繰り返している。
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国東町鶴川 米屋 |
開放感
- 5月16日、昨年来の仕事が無事終った。終生忘れられない日となった。18日、久しぶりに散歩。雨の中でグミの実が赤く色づきはじめた。噛むと甘酸っぱさが広がり、しばらく味わったことのない開放感を感じながら歩いた。
夏の帰省
- 8月10日から大分に帰省している。今回のテーマは「家事手伝い」。
10日、同級生からMailが届いていた。長い間会っていないが、会えばどう見えるだろうかと。そういえば私の白髪もかなり増えた。浦島太郎そのものではないか。
11日、親戚の初盆に出席。直会の酒がやや過ぎた。いつまでも「学習」できない。帰って母屋の屋根裏を探検し、壷3個を階下に移す。
12日、午前中窓ガラス、網戸などの清掃。家の外回りの整備と粗大ゴミ処分。
13日、午後、ご近所のSさんから砂利を貰い、家の北側の軒下に敷きつめる。いい感じになった。
14日午後、竹田津のT氏においでいただいた。氏とは初対面だが旧友のような気分で楽しくお話できた。
15日午前、家から4キロ余りのところにある赤根の旧分教場まで歩く。山あいの分校は今は公民館になっており、ちょうど戦没者慰霊祭が行われていた。校庭跡に祭壇が作られ、20名ほどの方々が静かに参列していた。
横浜散歩
- 10月14日、横浜桜木町から元町まで歩く。目的は例によって華正楼の中華饅頭と大月餅。港には護衛艦が2隻とチリ海軍の帆船が停泊していた。赤レンガ倉庫跡を歩く。開店前なのでカフェテラスに人影はない。陽射しはまだ夏のようだ。

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