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白点病虫
先般「原生動物図鑑」なるものを入手致しました、この中に白点病虫のことが記載されています。これから白点病に立ち向かう方への参考になればと思い、要点を書き出してみました。尚、名称等は誤解を招かないよう本に記載されている言葉を用いていますが、図は著作権等の絡みがありますので、イメージを捉えられる程度の模倣描写です。
この本で解説されているのは、淡水魚に寄生する Ichthyophthirius multifiliis というものですが、海水魚に寄生するCryptocaryon irritcns は、大核(*1)が馬蹄形ないし「へ」の字形でなく、四連珠形であることを特徴とするが、他の形態、大きさ、生態 などは、淡水魚に寄生する Ichthyophthirius multifiliis と類似する、ということです。

a(寄生期)
  球形ないし卵形で、大きさは通常 0.5〜0.8×0.4〜0.6 mm
  白点様に見えるのは、体内に無数に充満している小顆粒による乱反射のため。
  c(仔虫)で魚体に付着し表皮と真皮の境界に定着、1週間後に成熟し魚体から離脱(20℃)
  発育の為の摂取は、魚体表皮の上皮細胞や破壊物、真皮の毛細血管から漏出した血球。
  発育可能水温は 5〜25℃(至適水温は 14〜17.5℃)
  脱落固体は水中を遊泳して固形物に付着、あるいは水底に沈下して b(シスト)(*2)形成。
b(シスト)
  球形で、直径 0.4〜0.8mm
  シスト形成後 18〜20時間(至適水温)で、等割分裂により多数の西洋梨形仔虫の形成が完了。
  形成される仔虫の数は水温に支配され、25℃で 2000〜3000個、5℃で 50〜100個。
  水温によって仔虫の大きさも異なり、20〜22℃で 0.027〜0.036mm、7℃で 0.05〜0.06mm。
c(仔虫)
  シストから脱出した仔虫の水中遊泳能は 4〜6時間で消失。
  時間内に宿主に到達しなければ、仔虫は1日以内に死滅する。
*1 繊毛虫のもつ栄養核( 図aの中央付近 )
*2 嚢子、胞嚢、包嚢、被嚢体。体表の周囲に分泌された物質で膜や壁が形成され、一時的な休止状態あるいは増殖期にあるものを一般にシストと呼ぶ。
「原生動物図鑑」 猪木正三 監修 講談社 発行 第1刷発行 1981.8.20

寄生虫
海で採集してきたお魚には、ごく希に、寄生虫が付いていることがあります。希にというのは、年1回有るか無いかということです。 寄生虫は、宿主であるお魚を死に至らしめることはありませんが、お魚にとって良いわけがなく、また、寄生虫を付けたまま泳いで いるのは、見ている側としてもあまり気持ち良いものではありません。 これまでに、私のところで処理した寄生虫は、下の図に示した3種類です。他に顕微鏡(少年少女向け顕微鏡セット)でしか見えな い”もの”もいますが、何だがよくわからないうちに忘れてしまいました。 寄生虫の図は「こんなもんだったなー」というイメージ図で、決して正確ではありません、悪しからず・・・・・・・・
a: エラの内側、赤い部分(血液が透けてみえるため赤い、呼吸器官)に しがみついています。 大きさは米粒大。 エラがきちんと閉まらないので、すぐ判ります。
b: 背ビレや各ヒレに付いていて、まとわりつくゴミのように見えます。 米粒をつぶした大きさ。 ヒラヒラしてるので、お魚をよーく見てると、すぐ判ります。
c: お魚の体、腹の上部あたりにくっ付いていました。 お魚が黒系統色だと判りづらく、お魚の正面や背面から透かし見るように 見れば、なんとか判ります。 まさに、細めのシャクトリ虫ふう、20mmぐらいの長さ。 岩に付いてたやつは、こんなふうに→体をピンと伸ばして 側を通るお魚に、精一杯体を延ばして狙っていました。 一見、小枝ふうです、動かなきゃ判らないのに・・

除去の方法
a: 寄生虫をピンセットでつまんで引っ張り出そうとすると、寄生虫がしがみついてるエラの内側の呼吸器官のほうが、裂けたり、 切れたりしてしまい、お魚の生死に関わるので止めた方が無難です。 お皿に、ヒタヒタの海水を入れて、そこにお魚を横たえるのですが、ヒタヒタの海水の程度は、横たえたお魚のエラや体の一部 が少しだけ海水から露出するぐらいに加減します。 ここに、寄生虫の付いているエラの方が上になるようにお魚を入れると、お魚は辛うじて呼吸ができるが、海水から露出してい るエラのほうには海水がいかなくなるので、危険を感じた寄生虫はスタコラサッサと逃げ出します。 逃げ出した寄生虫をサッと摘まんで、終了です。しかし寄生虫はかなり素早いですよー。
b: 一般的にイカリムシと呼ばれているものだと思います。ピンセットを近づけると、ササッと体を移動させ、ヒレと同一化してし まって見分けがつかなくなってしまう、忍者ですな。 残念なことに、お魚が生きているうちに、寄生虫を取り除くことが出来ませんでした。私が少しばかり無茶をしたようです。 その後、寄生虫も死んでしまいましたが、いくら引っ張っても寄生虫は抜けません。どうやらイカリの部分と体は表皮一体と なっているようです。こうなったら、刺さっているイカリの個所をよーく確認して、細いハサミでイカリの柄の部分を切断す るしか手がないように思えます。イカリが抜けなきゃ逃げることも出来ないもんね。また機会があったらチャレンジしてみま しょう。
c: シャクトリ虫ふうのこの寄生虫は、動きもまさにシャクトリ虫ふうで、見つけさえすれば取り除くのに手間はかかりません。 お皿にヒタヒタの海水を入れ、お魚を横たえて、ピンセットで寄生虫を摘まめばよいのです。強力にお魚に食らいついてるも のではありませんから。(これ、お魚の食料にはならないんですかねー・・)

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