『Over the Rainbow -虹の彼方に』
稽古場リポート

 12月某日 メタモルホールにて、『Over the Rainbow -虹の彼方に』の稽古が行われた。
 当日の稽古参加者は、楠本、上月、小泉、下村、向井、山口のパフォーマー全員。また、前日の音楽顔合わせに続いて、音楽担当の山本公成さんも参加して下さった。加えて、関西テレビによる映像取材も入るという賑やかな稽古場となった。
 今作の舞台となるのは、放射能で廃墟と化した惑星。それぞれ異なる惑星から疎外された者達が捨てられてくる・・・という場面から始まる。互いに異なる身体性を求められる上に、生き残れるかどうかの瀬戸際を身体一つで表現しようと文字通りパフォーマー達がもがき苦しむ様子は、傍から見ていても、息のつまるような緊迫感だ。
 また演出の金滿里が、「え、そこまでやって大丈夫?」とこちらが心配になるような試みも、「できるやろ。やれ!」とばかりに、どんどん進めてしまう。さらに場面を通しながら、個別のダメ出しが次々と飛ぶ。正に七転八倒の生みの苦しみ。
 今回は、特に演出がパフォーマー達に、相互の働きかけや、場面の解釈について互いの補足や解説を求める場面が多くみられた。パフォーマーに、「捨てられる側」としての強い意識が求められる今作では、個々がより一層、作品とがっちり向い合う事が必須なのだろうなと思いながら、内心、こちら側(観る側)に座っていられて良かったと胸をなでおろした次第だ。演じる側はタイヘンだ。
 ・・・しかし、稽古中で詳細がかけないのが残念だが、3時間程の稽古に立ち会う間に、私の眼には、稽古開始当初とは、全く違う風景が見えて来るという体験をした。身体表現が物語を紡ぎだす瞬間に立ち会ってしまった気がした一日だった。
 とは言え、本番までは2カ月以上。演出の金満里によれば、まだまだ作品は制作途中との事。『Over the Rainbow -虹の彼方に』、この作品で、また態変が作り出す新しい場面に出会えそうだ。(K.K)

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