地層の一皮の表裏の世界としてあの世とこの世の出たり入ったりを、地球を窓に、宇宙を隔てる人の皮膚にも似て、小宇宙から大宇宙を行き来するお話。地球が我らを宇宙に隔てる最初の皮膚なのか、我ら自身の心が隔てるのか。地球にへばりつきながら宇宙遊泳を、地球のマグマに引っ張られ、永遠の宇宙に飛ぶものを描く。
なれど全てが重力にしっかりと根付くもの。よって、重力・引力と戯れ遊べるものを、最大の喜びとす。それは、木々にも似た肉体として、地表に根を張り地層に届きマグマまでも続き浸る。
木の根が蔓延り、地球を食いちぎり、鷲掴みにし壊す。我らは粉塵となれり、初めて無として宇宙に意志のある、一片の存在と化す。それが宇宙に記憶する、我らが肉体の織りなすもの。
私が旗揚げ作品『色は臭へど』以来、態変として長年やりたかった、肉体の森羅万象の物語がいよいよ立ち上がる。
2005年11月19日 金満里