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少年サッカー指導コラム
アーセナルvsボルトンを振り返って

 もうすでに2年も経過してしまったことではありますが、私が新婚旅行で行って来たロンドンで、アーセナル対ボルトンの試合を観戦することが出来ました。当時は9月11日のテロ事件直後ということもあって、厳戒態勢の中、飛行機に乗って行って来た訳ですが、振り返ってみて、いろいろと気がついたことがありました。それらについてお話してみたいと思います。

・スタジアムの感想
 座席とピッチとが非常に近い距離で、あいだを隔てている看板の向こう1メートル先で選手がプレーしているのはとても新鮮でした 。アルウィンも球技専用スタジアムですが、それよりも、また、日本のどんなスタジアムよりもはるかに近くでプレーを見る事が出来て、非常に面白かった印象がありました。最前列から2〜3列目は腰の位置 や、座席の位置がピッチよりも低くなっていたので、ちょうど自分の目線が選手の足腰の位置となり、選手の足の動きの躍動感、息づかいをリアルに感じることができました 。

・試合の感想
 当たり前のようですが、日本でJリーグ見るよりも面白かったです。当然、技術・スピードなどを比較すれば明らかに上のレべルであることは明白なのですが、それとは別のある要因に気が付 きました。それはおそらく、観客がサッカーの内容をよく知っていて、選手の良いプレーに対して、すかさず大きな拍手を送っていた事なのだと思われます。応援も ずっと連続して必要以上に続けるのではなく、チャンス・ピンチに応じて選手を鼓舞するようにしているので、見ている観客も、自然とゲームの流れをつかむことができ、女性も (おばちゃん、お年寄りのおばあちゃんなどまでも)、子供も、その応援と拍手から、サッカーを知り、学ぶことができるような環境が整っているように思われました。
 よく海外のサッカー中継でしゃべっているテレビ解説者などが、「イングランドの観客はサッカーに対する目が肥えている」と言っていることがありますが、そういう判断も、そうした サッカーをより良く観戦する環境が育てているのではないかと思われます。
 試合の間、終始太鼓をたたき、声援を送り続けるJリーグのサポーターを全否定する訳ではありませんが、そうした背景を考えると、これからのサポーターの有り方、応援や拍手のかけ方も 、サッカーをより良く観戦するためには変わっていく必要があるのではないのではないでしょうか。

・その他
 一緒に行った嫁さんが面白いものを見かけました。スタジアム内は禁煙ではなかったのか、私たちの座席のすぐ近くのおじさんが、たばこを片手に一心不乱にゲームを観戦していました 。そのたばこを持つ手が、ゲームに陶酔してカタカタプルプルと震えていたのです。なんだか、サッカーの母国の観客ならではの光景だったように思われました。



コラム2004年1月3日 アーセナルvsボルトンを振り返って

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