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少年サッカー指導コラム
長野県で優勝出来るチームの全国レベルとの違い

 さて、今回のコラムでは、長野県内で優勝するチームと全国レベルとの比較をしてみましょう。
 もう一昨年前の事になりますが、全日本少年サッカー大会長野県予選では、岡谷東部が優勝して長野県代表になりました。また、昨年は松島F.C. Jr. が県代表として健闘しました。私は幸いにも 直接チームを見ることができ、久々にいい勉強になりました。県内では、なかなか見られないいいチームでしたので、私も非常にいい刺激を受けました。

 岡谷東部の「良さ」を私なりにまとめてみました。

1.全体的に基本技術がしっかりしている

ボールを止める、蹴る、運ぶといった基本の技術が、(得意な足だけでなく)両足良く出来ていました。取られないためのスクリーンプレー、すなわちボールキープの技術もありました。

2.全員が「空いているところから攻める」ということに集中していた

ボールがあっても、なくても、常にアンテナを張り巡らして、「つぎにもし、ボールが来たら、ここへパスしよう、ここへドリブルしよう」という考え方が出来ていました。だから、ダイレクトのパスが2回、3回繋ぐことが出来て、必ず、空いている選手に渡っていました。そこからは、勝負も簡単だし、シュートも狙いやすいですから、ゴールの確率も高くなります。

 

3.むやみやたらに「前へ、前へ」という攻め方をしていなかった

彼らのバックパスはほぼ100%成功していました。つまり、他のチームがそれだけバックパスに慣れていなくて、「前へ、前へ」と攻めていたということです。そして、ダイレクトでFWの選手が、バックパスをして、前を向いて楽にプレー出来る中盤の選手に確実に預けていたのは素晴らしいプレーでした。

一方で、全国と比べた場合、どこが厳しかったのでしょうか。
 これまた私なりにまとめてみました。

1.中盤からディフェンスラインにまだ「ムダげり・ドカげり」がある

センターバックはよく狙って味方にフィードしよう、味方に蹴ろう、としていましたが、まだパワーだのみのキックをしていた感じがします。これが繋がらなければ、相手に逆襲・速攻を喰らうことになります。

 

2.サイドバックが(守備においても、攻撃においても)弱点

全国に行くと、サイドバックは一番足が早くて、一番体力があって、それでいてキック・ボールコントロールといった技術もある選手がプレーしています。ところが、長野県内では、まるでポジション蔑視とも思えるほど、サイドバックは11人の中ではどちらかといえば技術的にも体力的にも弱い選手がやるチームがとても多いのです。今回の岡谷東部のサイドバックも、ムダげりが多く、攻撃的なプレーは見かけませんでした。このチームの中盤から攻撃にかけての選手はパスワークもよく、得点力があるように思えますが、このくらいの攻撃力だと、ディフェンスラインに技術力があれば、押さえられる場合があります。その時に必要なのが、サイドバックのフォローや、オーバーラップ(追い越して攻め上がる)攻撃なのです。それが見られない点で弱点だと言えます。そして、逆にそういうオーバーラップの攻撃を岡谷東部が受けた場合、まずサイドが破られることでしょう。したがって、守備でも攻撃でも、サイドが弱点だと言えます。

 

3.テクニックにもう一つ上乗せが欲しい

パスワークがあまりに綺麗だったので目に付かなかったかもしれませんが、いざというときの1対1は強い感じがしませんでした。というのも、身長、スピードで上回っていて、その体格を利して振り切っている感じがしていたからです。つまり、確実(かくじつ)に抜ける緩急の使い方、あるいはフェイントの技術を一つ持たないと厳しいかな、というように思いました。

  実際の結果は・・・と言いますと、第1ラウンドで、第9組の4チーム中、1分け2敗の4位で予選敗退でした。勝利至上主義を批判している私が、結果だけを見てしまってはいけないと思っております。試合内容できちんとした技術が発揮出来たのか、その点は正直なところ、実際に見て評価したかったです。ただ、県内でいいチームと評価できる岡谷東部でさえ、全国のチームと対戦すると、こういう結果に終わってしまうのです。



コラム2003年4月17日 長野県で優勝できるチームの全国レベルとの違い

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