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少年サッカー指導コラム
海外サッカーなどなど・・・
サッカーテレビ観戦の楽しさ・楽しみ方

 今回は海外サッカーのことを絡めていろいろお話ししたいと思います。実家に戻ってからというもの、実は私、スカパーに入りまして、テレビについてはサッカー三昧の日々を送らせていただいているのです。海外のリーグの試合はもちろんのこと、各国の代表マッチも見られますし、Jリーグも、1部だけでなく、2部の浦和、湘南といったところの試合まで見られるので、とても面白く、楽しませてもらっています。
 海外リーグでは、中田のセリエAも確かにすごいですが、僕が見ていて面白さを感じたのは、どちらかと言えば、スペインリーグ(リーガ・エスパニョーラ)や、イングランド・プレミアリーグです。特に、プレミアリーグは面白いですね。

 イングランド・プレミアリーグの面白さについてですが、かつてはパワープレイ、キック・アンド・ラッシュ的な内容が多く、大味なゲーム運びでストライカーの能力でゴール前勝負するという感じがありました。まだ、「三菱ダイヤモンドサッカー」が放送されていた頃のことです(笑)。それが今では、キック・アンド・ラッシュは影を潜め、非常にスキルの高いプレーや、ダイレクトパスの見事な連続が見られるようになりました。下位チームには依然として面白みに欠けた内容の試合もありますが、それでも技術的な高さを面白く表現出来る選手・チームがとても多いので、見ていて飽きることが余りありません。選手たちも「魅せる」ことを分かっていて、ゲームの中でさまざまなテクニックを発揮してわざわざ見せるような雰囲気を感じることがあります。
 また、選手だけでなく、見ている観客も非常に目が肥えていて、試合結果に現れずとも、その時その時でいいプレーには大きな拍手で称えられます。たとえば・・・

 ファインゴール、GKのファインプレーなどにももちろん拍手が出ますが、実は難しいことをいとも簡単に、何事も無かったかのようにこなすプレーも、良く分かっていて、大きく称えられるのです。
 ただ単に、結果ばかりにやきもきする日本の少年サッカーの世界とははるかに違います(笑)。確かに、批判もブーイングもあるのですが、私には、どことなく、「見守る」という雰囲気がしきりに感じられるのです。
 こうした技術志向の雰囲気づくりは、サッカー場の設備にもさまざまに現れているようです。特に顕著なのはサブグランド、練習グランドを含めた、芝生の整備された環境でしょう。とにかく芝生が非常に整備されていて、サッカーの技術的な面白さを十二分に選手たちが発揮出来ています。

 話は若干変わりますが、先日の韓日戦、敗れた日本チームには確かに失望した面がありましたが、韓国ナショナルスタジアムであるチャムシル競技場の芝生がイレギュラーバウンドするほどひどい状態なのにも正直言って失望しました。韓国のパワープレイで勝つ姿ではなく、技術的に日本を凌ぎ魅了する姿が見てみたかったのですが、恐らくあのグラウンド状況では、日本にしても、韓国にしても、技術的な見所はどう考えても出てこなかったのではないでしょうか。負け惜しみと言うのであれば、それはそれでそういう考えがあるのは結構なことですが、果たして世界的な選手たちが試合をしたいとあのグラウンドを見て思うでしょうか。「ぜひここでプレーしてみたい」というようなすばらしいグラウンドを世界の選手たちに提供出来ることを韓国の皆さんにはお願いしたいものです。

 ひるがえって、日本の子供たちのサッカーの環境について考えてみましょう。やはり学校の校庭を基準にしている状況からして、いつもが土ベースのハードコートグラウンドでのプレーになります。なかなかボールも落ち着かず、イレギュラーバウンドもしばしば。せっかくの技術練習も、子どもたちにとっては、欲求不満のたまる難しい練習になってしまいます。ここを耐え忍んで、子どもたちに説得しつづけながら指導出来るコーチが、果たしてどのくらいいるでしょうか。
 そして、もうひとつ、ハードコートのグラウンドでは、ゴールキーパーをやりたがる子どもが少ないと言う状況が生じます。これは、少年サッカーに特有の勝利至上主義的な指導のチームではさらに顕著なのですが、ゴールキーパーを思い切ってプレーしたくとも、ケガの恐れがあるという点、そして、ミスが失点に直接結びつくと言う点、その二重の負担に萎縮し、いいプレーが出来ない、プレーしたがらない、という状況を引き起こしやすいのです。専門的にキーパーを育てる必要は少年年代にはあまりないのかもしれませんが、なかなかどの学年もキーパーを楽しんでプレー出来るという姿を見かけることは少ないものです。こうした、ゴールキーパーをきちんと評価出来ない状況も、芝生の少ない練習グラウンドの貧弱さが生み出す悪影響なのかもしれません。
 実は芝生のグラウンドというのは、小学生レベルでは、なかなか技術的なチームには結果の出しづらい状況があります。ドリブルも進まないし、パススピードも殺されてしまいます。体力的な個人差が出てしまいがちです。それに反して、ロングキックはしやすいので、パワープレイにはもってこいになってしまうのです。私も、かつて多摩市の少年大会で決勝で何度か泣かされたことがありました。でも、やはり個人技を楽しんで発揮するには、もっともっと子供たちにボールの扱いやすい芝生でプレーする環境を提供していきたいものです。

 さて、話も終わりになりますが、質の高い海外サッカーを見るにあたって、子どもたちにまねして欲しい、学んで欲しいプレー、そして学ぶ必要のないプレー、学んで欲しくないプレーについて確認をしてみましょう。
まず、子どもたちに見て欲しい、まねして欲しい、学んで欲しいプレーですが、

 逆に、学ぶ必要の無いプレーは・・・

ほかにも、取捨選択すべき内容はあるかもしれませんが、まずはこのくらいでしょうか。

次回は、ショート・ショートコラムを数点、掲載したいと思います。


コラム6月12日 海外サッカーなどなど・・・ サッカーテレビ観戦の楽しさ・楽しみ方

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