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少年サッカー指導コラム
高校サッカー選手権大会
長野県の高校サッカーに影響していること

 さて、前回最後にお話ししました通り、昨年末から今年正月にかけて行われた高校サッカー大会についてお話ししましょう。長野県の代表は松商学園でした。ここ数年、県の高校サッカーを引っ張っているのがこの高校です。数年前には、全国的に有名な高校とも技術・戦術とも互角に戦える試合を見せていたように思います。当然、今年もそれなりにやってくれるものと思っていました。ただ・・・、相手は強豪・鹿児島実業でした。
 結果は・・・、4-0の完敗でした。内容的に見ても、個人技・戦術とも圧倒的に鹿児島実業が上回っていた試合でした。結局、鹿児島実業はこの大会で準優勝という結果を残しますが、優勝した市立船橋と比較しても、選手一人一人の技術など、将来性はむしろ市立船橋を凌ぐのではと思わせるほどでした。

 結果から感じたことですが、やはり、スキルの低さ、ポジションに拘束され、各選手の指導者からの指示の枠を超えたいいプレーが出てこない点は、小学生、あるいは中学生年代での技術軽視の勝利至上主義的なサッカーが県内に蔓延している結果ではないでしょうか。
 県予選ですでにその兆候は出ていました。私が見た県予選決勝対県ヶ丘の時点で、すでに松商学園の選手にはプレッシャーに対する余裕が無かったように思えます。もちろん、ゲームメイクしていた島村選手やFWにはプレッシャーを感じつつも突破を試みていましたが、パスを受けるサイドのMF、DFなどは、パスを受けても、スペースがあるのに前へターンせずに、早くボールを手放す事が多かったように思います。ハーフターンからの突破が出来ないのは非常に残念でした。また、パスのつなぎも当面の近い選手であったり、ゲームメーカーであったりして、敵を欺くような、一つ飛ばすパスや、3人目の動きがもっともっと欲しかったようにおもいます。
 早め早めにボールを放してパスを繋ぐのも戦術の一つです。しかしながら、敵をある程度引きつける動きや、アクセントとしてのドリブルがあったほうが良いのではないでしょうか。そうでなくとも、長野県内の高校生に、ゲームメイクの出来る選手はいても、「全国レベルのドリブル突破の出来る選手」というのはこの10年からというもの、聞いたことがありません。ただでさえ、そういうレベルの選手が少ない訳ですから、選手全般が個人個人の危険と感じてしまう範囲が広いため、少しでも敵の選手が近づくと、ボールを放してしまう傾向が見られたようです。
 もし仮にも、各選手が技術的に自信があれば、どんなに狭いスペースでも危険とは感じずに突破を試みることもあるでしょう。簡単にボールを放すだけでなく、多種多様なプレーが選択出来るはずです。

 さあ、すでにその高校サッカーから4カ月以上経ちましたが、こうした高校生レベルでの技術的格差を小学生レベル、中学生レベルでの指導者は、いま、どう感じて指導しているんでしょうか。た・ぶ・ん・・・「不甲斐ない」なんて言っていたのに、な〜んにも工夫や、練習方法の検討をしていない指導者がほとんどなのではないでしょうか。日々の結果に追われ、目先の勝ち負けばかりにこだわる父兄にあれこれ言われて、相も変わらずのキック・アンド・ラッシュのサッカーが蔓延しているように思います。
 本日も、市内のリーグ戦がありました。某Mチームさんの指導者が怒号を響かせていました・・・。おまけにコーチングの内容に「細かいことやってるな!!大きいことやれ!!大きく、大きく!!」とおっしゃっていたものですから、「ああ、これじゃあ余裕をもって技術的にトライしたくても、子どもたちは萎縮してなにもできないんだろうなぁ」と思っていました。(内政干渉でしたらごめんなさい。でも何が本質で、大切なのか考えたら、自ずから答えは出ると思うんですけど。)
 周囲の父兄の方々に「騒音はんたーい!!」って言って笑わせていたのは、何を隠そう、この私です。

 次回は、海外サッカーについてお話ししようと思います。中田・名波・城について触れられたらとは思っていますが・・・。実は、私、実家に戻ってから、スカパーに入って結構楽しませてもらっているんで・・・。


コラム5月7日 高校サッカー選手権大会 長野県の高校サッカーに影響していること

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