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少年サッカー指導コラム
コラム復活!! Jリーグってそんなにつまらない?

 久しぶりにコラムが復活しました。およそ10カ月ぶりでしょうか。
 というのも、このコラムを書くのに私はモバイルギア for DoCoMoを用いていたのですが、それを見事に壊してしまいました。海外に出かけた際にトランクに入れていたところ、扱いがひどく液晶を破損されてしまったのです。
 なかなか修理代も出ずに、その間にも、いい機種などもあったため、それとのジレンマで、手元で作業できる機器が無いままにここまで至ってしまったというわけです。
 ただ、あまりにも間を開け過ぎてしまいましたし、サッカーの事、少年サッカーの指導のことなどもっともっとここで述べていきたいという気持ちから、むりやり費用を捻出して、ようやく手元にそういう機器を用意したというわけです。
 ここまでの間、ワールドカップがあり、フリューゲルスの吸収合併があり、さまざまなサッカーの話題が生まれては過ぎていきました。そうした出来事への思いを再び、電車の中で、デスクで、また、テレビを見たり、寝っ転がったりしながらでも、時間のある限り、思いつくままに綴って参りたいと思います。

 さて、タイトルにもありますように、今回はJリーグについて少し触れておきたいと思います。
 ワールドカップが終わってからというもの、あのワールドクラスの質の高いプレーを目の当たりにしてしまって、Jリーグがつまらなくなったという人が多くなったような気がします。確かに、スピード、プレーの質などは一段階落ちるような気がしますが、果たして、そんなにJリーグのサッカーはつまらないのでしょうか?

 私が最近感じる限りでは、Jリーグであっても上位チームのプレーの質は決して悪くはないと思うのです。しかも、コーチ、指導者の立場として考えた場合、子どもたちに話す手本として、いくつもの素材・題材がJリーグの中には埋もれているのです。
 先日、私はサッカー協会公認の少年少女指導者講習会に参加し、資格を得ることができましたが、その中で題材となっていた要素、たとえば、Good Body Shape (動きの中でよい体の向きをつくること)ですとか、Run with the Ball(走るスピードを生かしてボールを運ぶこと)などは、もはやJリーグの選手にとっては必須要素となっています。かつてはそれさえままならず、そのためにプレーの判断が遅れたり、ミスの原因になったりしていました。むしろワールドカップ以前にはそういう見栄えのしないつまらないミスやおもしろさに欠ける展開があったように思われますが、日本人のプレーヤーでもきちっと実践できる選手が増え、かつそれに加えての個性が出つつあるように思われます。

 特に最近になって、私が子どもの指導において注目しているのが、前述の要素にも該当するのですが、ボールトラップの向きと、距離です。向きが良くても足元に入り過ぎたり、自分のふところから離れてしまっては、(距離としては良くないですから)次のプレーに支障を来すことになりかねません。また、いい距離でトラップをしたとしても、向きが良くなかったためにせっかくのいいパスコースを見逃してしまう可能性が高くなります。
 つまり、これら2つのいずれが欠けても、いい判断をするための「条件」が減るわけです。ここであえて「条件」が減ると言っているのは、「悪い」トラップをしてしまっても、次にいいプレーやいい判断が全くできないというわけでは決してないのです。ただし、プレーのレベルが上がって行く前にそうした条件を少しでも良くする習慣づけをしておけば、間違いなく上に上がっていったとき、またいいプレーが実践しやすいのだと言えます。
 子どもたちに手本となるプレーとして見た場合も、前述の要素に限らず、一つ一つのボールの扱いであったり、フェイントであったり、さまざまに楽しんで観戦できる、そして学べるプレーが以前より多く提供されています。
 セリエAで活躍している中田 英寿があのワールドクラスレベルでどんなプレーでも平均以上に実践できるのは、そうした良いプレーをするための条件を、より多くしようとする意識が高い(無意識に動けるレベルにある)と言えるからです。

 やや話がそれますが、日本人は、物事を批判的に見る傾向が特に強いのかも知れません(事実、私は、現業の仕事の方でクライアントの担当者にあら探しされて苦労の絶えない日々を送っておりますが・・・銀色した某スポンサーの事業案内を見たら褒めちぎって下さいね。ついでにもし担当や発注先が代わったなどと言っていたら「それは勿体無いことをしましたねぇ」と言ってもらえるとなお有り難いです・・・ちょっと言い過ぎかな)。そういう意味では、世界のクラブチームと比較した場合、Jリーグなど、容易にあら探しできますし、批判することも可能です。しかし、少年サッカーの指導者が、同じ姿勢で、子供達を見たら、どうなるでしょう。出来ないことを見つけることは大切ですが、常に「この子たちはあれが出来ない、これが出来ない」という姿勢では、子供達はさぞかし負担なことでしょう。(私の仕事同様、プロフェッショナルになれば、文句はあれど、そこは実践していくしか無いのです。また、そういう批判的姿勢がプロとしての実績、実力をつけるためのいい材料になるのですから。)
 そこでまず、Jリーグの中から、いいプレー、子供が実践できるプレー、手本となるプレーを探すのです。言うなれば「加点主義的サッカー観戦のすすめ」と言うところでしょうか? そういう姿勢のもとにサッカーが見られるようになれば、自ずと子供たちに対して「良いところを伸ばす」指導をする習慣が付くようになるはずです。同時に、少年の指導に必要な基本となる要素のチェックも習慣付けられるようになるはずです。
 さあ、もう一度、さまざまな観点で日本のサッカーを見つめ直すとともに、楽しさを見いだしてみてはいかがでしょうか?

追記:
 こうしてコラムを書き、編集している最中に、U-20日本代表がユース選手権で活躍し、最終的には準優勝と言う成績を残しました。彼らのプレーを見ていても、良い判断をするための条件を増やすような、良いトラップ、良いボールコントロールが随所に見られたと思います。
 組織的な戦術とその理解・実践なども良い点としてあげられますが、これは少年サッカーにおいては必ずしも不可欠な要素とまではいかないでしょう。むしろ少年の指導においてこの辺りをこだわると、子供達は予想以上にかなり負担を感じるはずです。それよりも大切なこと、すなわち「技術修得」という目標があるのですから。
 間もなく、Jのフィールドに彼らが戻ってきます(すでに出場している選手もいる様ですが)。Jリーグを楽しんで見る要素がまた一つ増えたような気がしますが、皆さんはそう思いませんか?

コラム4月29日 コラム復活!! Jリーグってそんなにつまらない?

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