コラム目次へ

少年サッカー指導コラム
祝卒業
 6年生の皆さんが卒業するにあたり、小林コーチからのメッセージをお話したいと思います。メインは、サッカーのことかも知れませんが、むしろそれ以外に話すことのほうが、大切かも知れませんので、参考までに読んでみてください。
 さて、みんなが取り組んできたサッカーですが、さわやか杯東京都4位という結果に関係なく、内容的には、非常に質の高いサッカーのはずです。今後サッカーを続けていくというのであれば、永山でやってきた技術重視のサッカーは、必ずどこかで大切なのだということがわかるはずです。ですから、サッカーで壁にぶつかったときには、ぜひ永山のサッカーを思い出してください。
 それから、今年のチームは、比較的、「勝つ」事にこだわりがあったように思いますが、永山のサッカーの基本は、「楽しさ」「おもしろさ」にあると思っています。スポーツという言葉の本来の意味には、「娯楽(ごらく)」という意味があります。つまり、スポーツとは「心を楽にして、楽しむこと」なのです。そこには、「遊び」があっても不思議ではないのです。先日のゼロックススーパーカップでも、名波がラボーナキックでスルーパスを出していましたが、今までの日本のサッカーでは「こんな真剣勝負の場で、ふざけている」といわれてしまうほど、考えられないことだったように思います。技術がより高くなり、そこに「遊び」の感覚・イメージが加わると、見ごたえのある、すごいプレーが生まれるのだということを心にきざんでください。そして、その場の勝ち負けだけにこだわって、ミスを恐れていては、サッカーを「楽しむ」事も、「いいプレーを生み出す」事も出来ないのだということも心にきざんでください。
 永山F.C.のサッカーはこれからも、「技術」と「楽しさ」を大切にしていきたいと考えています。みんながサッカーで壁にあたったときの、永山F.C.のOBにとっての「サッカーのふるさと」であるように、監督・コーチみんなで頑張っていきたいと思っています。
 つぎに、サッカー以外のことをお話しましょう。
 最近、中学生の犯罪がよく新聞やテレビのニュースをにぎわせています。みんながその中学生になるということで、コーチはちょっとだけ不安を感じています。というのも、最近の事件にでてくる中学生が、「いつもは普通の生徒」であるということからなのです。
 人にはいろいろな姿・顔・かたちがあるとともに、いろいろな考え方も持っています。だとすれば、考え方の違いで対立することもあるでしょう。でも、その対立することを避けないで欲しいと思います。そして、勇気を持って意見を言うべきだと思います。同時に相手の言うことにも耳をかたむけてほしいのです。何も言わない、本当の気持ちを隠すこと、そうしてその場を適当に濁す(にごす)ことは、決していいとは思いません。そうやって「普通」っぽく振る舞ってばかりいると、本当に何かに立ち向かわなければならないときに、苦労することになると思います。

 もう一つサッカーとそれ以外のことを合わせてお話しましょう。みんなは、サッカーが好きで一生懸命に打ち込んでいることと思います。でも、それが全てと言うような考え方にならないで欲しいと思います。なぜなら、今現在、世界のプロと言われているような選手は、決してサッカーだけが得意と言うわけではないのです。どんなにサッカーが好きだとしても、突然のけがでサッカーをあきらめなければならないこともあるかも知れません。そうしたとき、サッカー以外に何も残らないのであれば、コーチという道はあるかも知れませんが、自分が進むべき道がとても狭くなってしまうことになるからです。
 アントラーズにいたレオナルドは、ブラジルの弁護士か何かの難しい資格を持っています。また、かつてブラジル代表にいた、ソクラテスは、医師の免許を持っていました。それだけではありません。世界のプロは下積みのときにきちんと仕事について働いているのです。そうやってプロとして最高の舞台に立てることを夢見て、つらい時期を我慢強く過ごしてきているのです。
 これだけ話したら、「なんだ、コーチは、要するに勉強もきちんとやれって言ってるんじゃん」と思うかも知れません。確かに勉強もきちんとやっていって欲しいです。けれども、サッカーが全てと言うほどサッカーに打ち込むのではなく、一生懸命であっても心のどこかに余裕を持って欲しいと言うことなのです。そうして、自分の体ともよく相談してプレーを続けていって欲しいと思います。

 最後になりますが、小林コーチの大切にしている言葉に、「意思あれば道通づ」という言葉があります。つらいこともあるかも知れませんが、気持ちだけはしっかり持って自分の目標(道)に向かって頑張っていってください。そうすれば、必ず、その道は開けていくものです。また、最初は思っていることと違った結果になっていても、その後にどこかで目標にかなうところに通じていくものだと思います。みんなが日本の、世界のどこかで、どんな小さなことでも何かしら活躍していることを祈っています。そして、無事に幸せで生きていけることを祈っています。

コラム3月25日 「祝!! 卒業!! コーチからのお別れの言葉」
 
CopyRight M.Kobayashi 1998-2007