季刊 サッカー批評 issue01 1998

株式会社双葉社 発行 ISBN4-575-47095-3 価格は後日追加します
サッカー批評  前回に引き続き、おすすめ書籍では、雑誌を紹介いたします。双葉社から出ている、双葉社スーパームック 「季刊 サッカー批評 issue01 1998」です。
 僕は、この雑誌を購入する際に、先週ご紹介しました、「サッカークリニック」と間違えて手にした経緯があります。ところが、結局その間違いで、私はこの雑誌の面白さに出会うことが出来たというわけです。
 実はこの雑誌、裏表紙の手前の最終ページに、編集後記で、サッカーの「カミングアウト組」な人々について述べている部分があります。それを読んで「ああ、僕はここで言う、まさに”カミングアウト組”のひとりだな」と思ってしまいました。
 別に私は同性愛者ではありませんが(笑)、サッカーは愛しています。でも、その愛し方が、ちょっと違うのです。日本特有のサッカーに対する見方や、マスコミの取り扱い方、その背景にあるであろう教育や文化まで(たいして知ってるわけではありませんが)、ついつい結びつけて考えてしまうのです。そういう考えを持ちながら、ときには喜び、ときには怒り、ときには辟易とし、ときには楽しんで、サッカーを愛し続けているのです。
 そんな私にとってこの雑誌は、非常に喜ばしい存在であったわけです。この中では、さまざまな有識者のコラム、そして、選手のインタビューが掲載されています。特にコラムは、多岐に渡っており、戦術分析、チーム批評などがあるかと思えば、ワールドカップで対戦するジャマイカのレゲエミュージックをサッカーに絡めて紹介していたりと、まさによりどりみどりなのです。
 さて、今回の特集、「ワールドカップの真実」のなかで、「日本サッカーへの視座」という題名のもとに、総論、戦術論、監督論の3つが語られております。少年サッカーとのつながりと言う意味では、総論、泉 優二氏の「我がうちなる日本代表を論ず」が面白いのではないでしょうか。少年サッカーが抱える問題(実はこれを問題と気づかないチームや、その関係者も多いのかもしれない)を日本人特有の文化、社会性、価値観などとからめ合わせて論じています。なるほどと思うう部分も多いのですが、私はそれ以上にこうした要素をからめて考える方が増えてきたと言うことに喜びを感じています。
 サッカーを技術論、戦術論だけにとどまって議論するより、その背景にある文化、選手一人一人の心理など、より複合的に扱って論じる傾向は、週刊誌のNunberあたりでサッカーを頻繁に取り扱うようになってからなのでしょうが、今後、もっとその傾向が増えていくことを期待しています。そして、この雑誌の次号はワールドカップ終了後、やや時間をおいてからになるわけですが、日本代表初のワールドカップを体験し、目の当たりにしてきたコラムニストの皆さんが何を論じてくれるのか、サッカーの「カミングアウト組」としては今から心待ちにするばかりです。

書籍案内5/28 「季刊 サッカー批評」

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