ダイトラの自家処理もできる
     またこれをリバーサルに応用すれば、やはり基準が明確になるので、フィルター選択、フィルムの管理、プリントの色改善にも役立つ。プリントでもゼロ点調整がやりやすくなる。そしてカラープリントの最高峰であるダイトランスファープリントでもこの原理を応用することにより、画像の試し焼きなしに、自家処理で比較的簡単に標準プリントをつくることができる。多摩美の「50人の眼」展併設のワークショップでは、例年、ダイトラのデモンストレーションも行っているが、昨年、カラーネガからつくるパンマトリックスフィルムが製造中止になるという知らせを受けた。海外の有名作家のカラー作品は、ほとんどがダイトラでフィニッシュされていることを考えると、表現の世界にとってきわめて不幸な出来事である。リバイバルは世の常であり、諦めたわけではないが、その文化遺産がこの世から消えていくとすればまことに惜しい。
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