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WRITE IT LOUD!! ROLL OF ROCKS

                        1996年10月11日開始

                                  火だるまG

第11回:1997年3月11日

ARE YOU EXPERIENCED/JIMI HENDRIX(67 IN ARE YOU EXPERIENCED? )
WIND CRIES MARY/JIMI HENDRIX(67 IN ARE YOU EXPERIENCED? )
MAY THIS BE LOVE/JIMI HENDRIX(67 IN ARE YOU EXPERIENCED? )
I DON'T LIVE TODAY/JIMI HENDRIX(67 IN ARE YOU EXPERIENCED? )


正気でいられる自信があるんだね?
それなら僕と一緒においで
さぁ手を出して、そう手をつなごう
海の底から現れる日の出を見つめるんだ
一応訊いておくけど、初めてなのかな?
もしかして知らなかった? 

それじゃぁ、泣き叫ぶのも無理はない。
OK。OK。
今までいたちっぽけな世界じゃ、泣くこともできなかったんだね
自分が黄金製であること、自分が商品なんかじゃないこと
君はずっとそれを証明したかったんだよね?
初めてなんだよね?
OK。OK。
それじゃ僕がそれを証明してあげよう

遠くでトランペットとバイオリンが鳴っているよ
どうやら僕たちの名前を呼んでいるようだ
そろそろ君にも聴こえるんじゃないかな?
さぁ、僕の腕を掴んで
初めてなんだよね?
知らなかった?

別に僕みたいにぶっ飛んじまわなくてもいいんだよ
でもとってもキレイだろ?



二枚目は去り道化者も眠りについた
幸福の足どりはとぼとぼ
足跡は血の色
そして風がマリーと呟く

いかにも陰気な趣で
昨日の生活の破片が掃き清められていく
どこかで女王が嗚咽している、どこかの王様には嫁もない
そして風はマリーと泣く

明日になれば信号は青に変わり
その空虚さで俺のベットの中までをも照らし出すだろう
このちっぽけな島国は吹き溜まり
生活自体が死んでいる
そして風はマリーと泣き叫ぶ

風は過去へと消えた名前たちをいつまで
覚えているだろうか
この松葉杖を
その年輪、その知恵を
その囁きを
でもこれが最後だから
風はマリーと泣く



大瀑布
だれも僕を傷つけたりしない
この僕の大瀑布に比べたら
僕の言葉などとても小さい

僕の虹が僕を呼んでいるのがわかる
僕の大瀑布の
靄がかかった飛沫の向こうで

夢ばっかり見てやがってと
いう人もいるけど
彼らは他にやることもない
怠け者の阿呆だ
だから彼らの笑い者になってやろうではないか
笑いたいだけ笑わせてあげよう
君が僕を見続けていてくれる限り
僕には失うものなんてない
君がそこにいる限り

大瀑布
君の生き方を変えてはいけないよ
僕と一緒に
何百万日でも落ち続けるんだ
この僕の大瀑布を



僕は明日も生きているの?
そんなことわからないよ
僕は明日も生きている?
わからない
でも確実に今日は生きていない

僕の窓には太陽が昇らない
まるでお墓の底で暮らしているみたいだ
僕の窓には太陽が昇らない
まるでお墓の底に住んでいるみたいだ
殺すなら早く殺してくれないかしら
そしたらもっともっと惨めになれるのに

今日は生きていない
明日は多分
わからないけどね
今日は生きていない
僕がこのような存在であるために
僕とつきあってくれている
あなたの
貴重な時間を台無しにして
恥じらいを覚えます
でも今日は生きていないのよ
明日は多分
わからないけど

まともな人生などどこにもないのかしら?
お互い、参りますなぁ
もしかして、こんな話、初めてでありましたか?



2秒間隔こけおどし画面切り替えのビデオクリップ、コンサートもクラブも暗闇にレザー光線にミラーボール、と、巷では、末梢神経を刺激した結果の拡散型覚醒状態=パッシブトリップがロック周辺に溢れかえっていますが、それは、少しでも早く自分自身から遊離したい、すなわち、自己嫌悪、自信喪失の現代の世相の率直な表現なのでしょう。
まぁいいや。
そして一時のトリップが終われば黙々と日常生活へとご帰還。心は満たされ、洗われ、よぉし明日から頑張るぞと。
それもまぁいいや。
でも少し気になるのは。
このような方法でのロックの使用法の裏にだれかがいて、糸をひいているのではないか? ということ。このような方法でガス抜きしてやれば安泰、安泰と、ほくそえんでいるずるい人は本当にいませんか?
トウショウヘイがロックを忌み嫌っていたのは有名な話だし、ゴア副大統領の嫁さんはロックの歌詞の検閲運動の親玉でしょ。
もちろん、そんなことこれっぽちも考えもせずに、ひたすら、甘ったるい音と言葉で、若き野郎どもの財布から2〜3000円巻き上げることに専念している、現代の自称ロッカーたちも惨憺たるものだけどもね。
文句があるなら、コモンストックの大音量でかけても、いいなぁと思わせる音楽をつくってみなさい。言葉は僕が、音は彰が、人相と志は工がじっくり吟味してあげます。俺たちは辛口だぞ。
さて、さて。
最後のロックバー、コモンストックを、僕たちは6年やったわけです。
そして僕たちのコモンストックは拡散型覚醒状態=パッシブトリップとまさに正反対の、集中型覚醒=アグレッシブトリップの場所です。客も我々もおのれに正対せずにはおれぬ場所。
現代においては至高の修羅場と自負しております。
だから、その6年は、出会いと別れの大河ドラマ、の一言につきる。
これはいちいち説明していったらキリがない。

その、出会いと別れの6年間、から、僕が僕なりに抽出した、ロックバー=コモンストック、の存在意義をここで発表します。

通過儀礼
僕はすべての若き野郎どもに、その人生のどこかで、一度はロックを聴いてほしいと切念します。
「男たちのなかには、いくら殺すぞとおどかされても、どうにも勇士に仕立て上げることのできない奴がいるものである」。これは敬愛するヘンリー・ミラーの『北回帰線』の一節なのですが、ロックをまともに聴いていて、それでも積極的に軍人になろうと、いう奴がいるとは、僕には思えない。甘い意見かもしれません。しかしだれも軍人になろうという奴がいなくなれば、オートマチックに戦争はなくなる。

ホスピス=終末医療
現代のような明日のわからない時勢だからこそ、なんらかの指針としてロックを聴くべきと僕などは思うのですが、明日がわからないから、ロックを聴いていられない、という人もいることは深く理解していいます。そのくらい現代は世知辛いし、ロックはまともにすればヤバイ。そのような人たちが徐々にロックから手を切るためのホスピスがコモンストックです。なにごともいきなりは体に悪いからゆっくりゆっくりにしてほしいと思う次第。

MASH=野戦病院
密かにロックを胸に抱きながら日常を送ることは、簡単なように見えて、とても難しいことです。たとえばコモンストックの住人で、いわゆるど〜でもいいような、つまらない価値観なり掟(例=偏見)に縛られている人物は一人もいませんが、世間には逆にそうでない人はほとんどいません。そんな世の中だから、ロック者は疲れるし傷つく、コモンストックは、ロックで頑張っている人たちの、希望峰で、できるだけ長く、あり続けたいと思います。できるだけ長くね。しかし生者必滅。永遠ではない。

前衛
社会には矛盾が溢れかえっています。阪神大震災の被災者の生活再建には一銭も出さないが、伊丹にも泉州にも飛行場があるのに、それでもポートアイランドの先にもうひとつ飛行場をつくるという政治家と役人。大蔵省も、厚生省も、大銀行も、この国のエリートどもは金と権力の亡者ばかりでどうしようもない、人間の哀感がわからないと、お茶の間で正論を吐きながら、幼稚園受験から子供たちを受験戦争に追い込む親たち。これが僕の同世代というのが僕の深い悩み。ひがな一日中与えられた個室でぬくぬく、せいぜい書類に目を通しはんこを押すぐらい、お茶を飲んでこようか、床屋に行こうか、本屋に行って司馬遼太郎でも買おうか、そして、窓の外の税金無駄遣いの工事現場で日給1万円弱のパキスタン人や中国人が力仕事で泥まみれになっていても、なんの羞恥心も感ずることなく、うん千万の棒給と退職金をごっつあんですの天下りの官僚ども。最近は地方公務員も同様でしょう。まったく経済知識も経営能力もないのに、叙勲欲しさでトップに居座り、貸した金を焦げ付かせまくったあげくに、僕たちの税金でけつを拭った、農協の地方ボスたち。趣味はテープカットの切れ端の収集。
わかりやすい例をあげましたが、スケールの小さい形で、同様の人間が、僕やあなたのまわりで、そして、僕やあなたの心の中で、うようよしています。
ロックを聴いた人間は、ロックを聴いた人間の責任として、しっかりと目をこじ開け、自分のできる範囲で、そのような矛盾を変革していかねばなりません。
サラリーマン、教師、物書き、絵描き、音楽家、その立ち位置はどこでもいい。しかしそういうことです。しかもいたずらに集うことなく一人一人が個人戦でやっていくのです。組織はあっという間に腐敗するということはロックを聴いた者の間では常識です。
僕たちの経験では3人がベストです。

上記、ジミヘンの4曲それぞれに、そんなメッセージを託して訳出しました。
ブルース出身の黒人ロックンローラー。ビートルズもディランもそのレパートリーに吸収。ジミ・ヘンドリックスはロックそのもの。しかしとっくに滅んでいるのが気になりますね。

しかしそれでも、僕たちは最後のロックバー、コモンストックです。

僕のこの歌詞にスポットをあてる連載で、取り上げる曲の音楽面が最高に格好いいことは保証します。大音量で10回続けて聴いてみてください。きっと感じるものがあるでしょう。(この企画、文章、考え方などの著作権は一応存在するといっておきます)


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