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WRITE IT LOUD!! ROLL OF ROCKS

                        1996年10月11日開始

                                  火だるまG

第4回:1996年11月25日
I AM THE WARLUS/THE BEATLES(1967 IN MAGICAL MYSTERY TOUR)
GOD/JOHN LENNON(1970 IN PLASTIC ONO BAND)

『君が僕で、彼が君で、僕が彼であるように、僕らはみんな一緒ちょぼちょぼであります。
そして、そんな僕たちは、まるで、銃口から放たれし豚どものように、走り回っている。 おぉっ、飛んでいる奴もいる。
それで、僕は、ここで泣いているってわけ。

コーンフレークで朝食をとり、やってくるバンに乗り込む。
同じTシャツを着て、火曜日には喧嘩して血を見たりもする。
まったく嫌になってしまうが、大きくなるのは顔ばっかり。
僕は殻の中、彼らも殻の中。
僕はセイウチなんです。

一方、こちら、警官たちが、見事な隊列を組んで、座っている。
おぉっ、こっちにも、ルーシーみたいに、飛んでいる奴もいる。走っている奴もいる。
それで、僕は、ここで泣いているってわけ。
それで、僕は、ここで泣いているってわけ。
それで、僕は、ここで泣いているってわけ。
それで、僕は、ここで泣いているってわけ。

死んだ犬の眼から、カスタードクリームみたいな黄色い液体が流れている。
カニみたいな男の魚みたいな奥さん、尼さんのモロ出しのポルノ写真、
おぃおぃ、女装なら、せめてチンコぐらい隠せよな。
僕は殻の中、彼らも殻の中。
僕はセイウチなんです。

日焼けせんと欲し、我がイギリスの庭にて、太陽の現れるのをしばし待つ。
また日が昇らずとも、イギリスの雨に濡れれば、スモッグでじゅうぶん黒くなれるなり。
僕は殻の中、彼らも殻の中。
僕はセイウチなんです。
くぅくぅーかぁちゅー、くぅくぅかぁちゅー。

たいへん論理的な文章を書く御仁が、煙草の害を並べ立て、喫煙者の首を絞めていますが、
そばでジョーカーが笑っているのに、みなさんお気づきでしょうか?
道化師一行は、豚小屋の豚のようににやにやして、すっかり、馬鹿にしています。
それで、僕は、ここで泣いているってわけ。

小麦粉をたっぷりまぶした鰯みたいな白装束で、エッフェル塔の高みまで昇らんと、
よちよち歩きの小学生が、ハリクリシェナを歌っている。
彼らが、エドガー・アラン・ポーを排斥していることをご存じでしょうか?
僕は殻の中、彼らも殻の中。
僕はセイウチなんです。
くぅくぅーかぁちゅー、くぅくぅかぁちゅー』

『神なんちゅうものがあるから、僕らは悲しみから逃れられない。
くり返す。
神なんちゅうものがあるから、僕らは悲しみから逃れられない。

魔法、霊魂、聖書、占い、ヒットラー、キリスト、ケネディ、ブッダ、ヒンドゥー、ウパニシャド、ヨガ、BB キング、フレディキング、アルバートキングの3人、エルビス、ディラン。
僕は、そういったものを信じない。
そして、
僕はビートルズを信じない。

僕が信じるのは僕自身と、あと、僕とオノヨーコとの関係だけ。
それが現実というもの。

おねむの時間はおしまいにしよう。
ほかに言葉はない。
おねむの時間はおしまいにしよう。

昨日の僕は、夢ばかり見ていた。
でも、僕は、生まれ変わることにした。
僕は、セイウチだった。
でも、僕は今、ジョンだ。

だから、愛しき人たちよ。
君たちも、ただただ生き続けていくことだ。
おねむの時間はおしまいにしよう』

ロックバーのおやじ、などという生業をしていると、当然、ところであなたは誰が好きなのですか? などという質問をされることがあります。
やばい質問です。
僕が初めて、マジで、ロックはやばいぞ、できれば避けて通らねばならぬ、と、思ったのは、「ジョンの魂=PLASTIC ONO BAND」を、横浜弘明寺駅前の坂道の中腹にあった「BEE」という輸入盤屋で買った夜でしょう。
中学2年の冬ですから、1971年。思えば、このLPもまだまだ新譜だったのですね。
それで、この「ゴッド」を耳にしてしまい、どうしよう? と思いました。
こんなことを大きな声で、しかも、超シンプルでタイトなリズムに、美しいメロディーにのせて、キメテ歌っている人がいるぞ。
困ったことであることよ。
このようなことは、まさに、あの青少年時代の僕が、言葉にならないかたちで、ぼんやりイメージしていたものであり。だからこそ、まわりの大人たちの誰1人として口にしないものでした。
これはタブーだと、思った。
それで、それ以来、ロックはなるべく流して聴く、背中を丸めて、なるたけ正対しないようする、普通に生きていけるように神様お願いと、高校、大学、大手企業という申し分のない道を歩んだのですが、今はロックバーのおやじしています。

ところで、あなたは誰が好きなのですか?
というやばい質問に、僕はロックが好きなのです、と答えるようになったのは、そのころからです。

いきなりですが、この曲とつきあって、はや、四半世紀。僕なりの解釈を述べます。いや、ジョンにインスパイアされた僕の思想というべきナノかしら?(思想だって、イヒヒヒヒ)

神は、それが、神だからこそ、神では絶対にありえない人間にとっては、危険な存在なのですね。はっきりいって、我々人間にとって、厄災の種としか言い様のない、シロモノです。

あの世のことは知りません。しかし、神がなんらかの形で現世を生きる人間の救いになるというのは幻想です。
嘘です。
だいたい、ここであの世のことなど知らないと、当たり前のことをいわなくてはならない気分にさせること自体が不愉快です、神とかいう奴は、だーぁれも知らない、なぁーんにも保証のない世界をだしにして、この現世にのさばっているのですな。どなたか、あの世のことをご存じの方が本当にいらっしゃるのでしょうか?

こんな風にいうと、たしかに神さま関連は、来世向け受験参考書で怪しい商売している奴とか、来世で幸せになりたければ、ああしろ、こうしろ、あいつを殺せ、こいつも殺せ、みんな殺せと、現世での自分に都合の悪い人たちの抹殺を、自分の手は汚さないようにと他人に命令する奴とかいっぱいいるけれど、それをしているのはみーんな人間で、神には罪がないという奇特な方がおられるとも、予想しますが、神さえなければ、そんな人間は出現しなかったのですよ。

これを哲学的に考察しますと(哲学だって、イヒヒヒ)、価値的に、なにかが絶対とされれば、あとのものは、すべてが相対となるわけで、そういうすべてが相対的な世界では、価値基準として、その絶対的なものとの距離感が、絶対的なものとされたりする。そして、そのような意味での絶対の争奪戦が繰り広げられた結果、相対的な人間社会では、悲しいことがたくさん起こったりするということです。
神や絶対の争奪戦の詳細については、割愛します。過去現在、参考資料は無尽蔵。あなたのすぐ身の回りにもありますよ。ほら、そこ。
もともと神や絶対などというものさえ信じなければ、その無意味な、なんらの意味の担保や保証のない、価値の相対レースから自由になれるのですが……。

ところで、マジでやばいのは、そういう絶対を確信する人たちは、上から下までよってたかって、絶対を信じない人たちを、絶対に許さないのよね。(戦前戦後の日本の変わりぶりを例に取るまでもなく、お題目としての神や絶対はけっこうふらふらしているのに、この絶対許さないの絶対は、マジで絶対なのよね。なんでだろう?)
彼らが、みんなして、その気になってしまえば、そんな絶対は信じないという僕やあなただったりしたら、いきなり来世で暮らさざるを得なくなることは必死です。(けっこう、あの世では神がサービスしてくれたりして。ないか?)
そうならないことを祈るばかり。おぉ、神よ。(絶対、助けてくんないだろうなぁ)

だからやっぱり、神こそが、ファシズムの源なのです。
殺すというなら殺されてもいいやと思えるまで、ずいぶん時間がかかりました。
とにかく、僕はロックが好きです。

さて、現代における神の代表選手は、もちろん、資本=お金でありまして、それで、これまた、もちろん、僕のような不埒者は、ほとんど半殺しという惨状であり、殺されかけています。(くぅくぅーかぁちゅー、くぅくぅかぁちゅー)

神の歌でも触れられている、セイウチの歌を、僕は、神の歌を聴いて、10年ほどしてから初めて耳にしました。プレイボーイのラストインタビュー(集英社)で、ジョンレノンは、この曲は一時は彼自身も関心を持った、ハリクリシュナについて批判的な気持ちを込めて歌ったものであるといっていますが、推察するに、親たちの狂信はほっておくとしても、その輪の中に無垢であるべき幼き子供たちがいることが、この歌誕生の秘密になっているような気がします。
僕は、I'M CRYINGという、ところが大好きです。
ジョンレノンの愛される理由は、わりに、この、I'M CRYING近辺に隠されているのかもしれません。(くぅくぅーかぁちゅー、くぅくぅかぁちゅー)
セイウチの歌と、神の歌。この2つの歌の間に、とっても素敵な、ロックの成熟があったのでしょうが、成熟した結果、より、ロックが若くなっている気がするのが不思議です。この僕の感想は、音を聞いてもらわないと、どうしようもなく伝わらないものなのですが……。

コモンストック吉例、追善ジョン・レノン、7時間ノンストップは、12月6日7:00スタートです。セイウチの歌は、翌7日、0:30前後に、神の歌は1:10ぐらいに、かかるかと思われます。
僕のこの歌詞にスポットをあてる連載で、取り上げる曲の音楽面が最高に格好いいことは保証します。大音量で10回続けて聴いてみてください。きっと感じるものがあるでしょう。(この企画、文章、考え方などの著作権は一応存在するといっておきます)


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