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火ダルマGの老婆心ニュース

其の1(11/MAR/96)/其の2(16/MAR/96)/其の3(2/APR/96)/
其の4(22/APR/96)/ 其の5(9/MAY/96)/其の6(19/MAY/96)/
其の7(7/JUN/96)/其の8(24/JUN/96)/其の9(11/JUL/96)
/其の10(25/JUL/96)/其の11(8/AUG/96)/其の12(25/AUG/96)
其の13(10/SEP/96)


火ダルマGの創作倉庫- 『追憶の16号』



火ダルマGの老婆心ニュース 其の13(10/SEP/96)


                         
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最初にお断りしておきますが、これから語ることが起きた世界、およびその住人たちにはなんの興味もありません。ただ起きた現象を見て老婆心がうずいたというだけ。
前代未聞。二回続いて鳩山新党の話。由起夫お兄さん潰されてしまいました。潰したのは菅直人氏であります。久しぶりに、悲しい日本人のサガを見たので一筆とります。昔から出るくぎは打たれるという諺がありますが、そんな立派なお話ではありません。今現在、この国に出るくぎを打つような強くて自信満々な人はいないのです。いきなり卑近な例で恐縮ですが、俺たちのような、好き勝手のみを信条にしている人間が、なんとか棲息できる世の中であることが、それを証明しています。それでも、世の中には生存競争は実存します。どちらがよりダメであるかを競うような、不毛の闘いです。いわゆる官僚の世界などで、基調低音となっている減点主義。自分がより頑張って頭一つ出て、みんなや社会をひっぱっていこうというのではなく、すきをみつけしだい競争者を殺して、競争を緩やかなものにし、とにかくなんとか最後まで生き残ろう。生き残りさえすれば、最後にはなんらかのいいことや、甘い汁があるだろうという考え方です。
鳩山新党。菅直人氏が、知らんぷりしたところで、生命線がぷつりと切れました。どちらか一人だけでは、成立しない商談だったんですね。菅氏としても、鳩山丸に乗り込んで、何が待ち受けているかわからない海原に出るリスクよりも、とにかくここで、背を向ければ確実に鳩山氏を殺せるのは間違いないから、とにかくまずそっちに走ろうと生存本能がささやいたのでしょう。菅氏の乗船拒否以来、菅氏の後からどっと乗り込もうとすし詰め状態の待合い室でおしくらまんじゅうをしていた、より矮小な有象無象たちの、やれ兄弟ファッショだの、マザコン新党などの罵詈雑言はうるさいことこの上ないですね。羨望と憎悪は等価交換とはいえ、末世の光景花盛りでありますね。その昔には、中側一郎という政治家がこれで殺されましたね。彼はマジで自死をしたので、それなりに哀れを誘うものがありましたっけ。
さて、このような思考法はけっして、N街界隈にのみ蔓延しているものではないことは、いうまでもないことでありまして。あなたや俺のまわりを見回しても、現在には、これしか基本方針はないという惨状であります。あくまで老婆心でいうのですが、この方法論の一番やばいところは、いつしかこういう感覚がゲームのような気分をもたらし、気がついたら本当は殺したくはないものまでをも、殺してしまうようなことになることもあるのよね、ということであります。長島茂雄さんが一時殺されかけたことは記憶に新しいことで、もちろんミスターは不死身ですので生き返りましたが、イチローなどというのは将来半殺しの目に遭うことは必定です。鳩山新党なんて、ブチ殺されても、全然構わないけど、そういうことはぜひ自戒して、不必要で、意味のない殺生は避けるようにいたしましょう。

火ダルマGの老婆心ニュース 其の12(25/AUG/96)


                         
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これは俺一人の病かもしれないが、その昔の学生時代、テストで後ろの問題の方が簡単にできるとわかっていても、上から順番にしか解答できなかった。また、そうしないと、積み残した前の問題が気になって、簡単なはずの問題も混乱してわからなくなったりした。たとえば、好物のトンカツをいただくときに、おれはまず、つけあわせのキャベツの千切りを終了せねば、本体にとりかかれない。もし、その直前にでも原爆が暴発したりしたら、俺は成仏できないだろう。
現在この社会に蔓延していると俺が感じている閉塞感にも、同じような説明ができそうというのが今回のお話。
たとえば、湾岸戦争。お忘れとは思うが、俺たちはアメリカ中心の多国籍軍に90億ドルという多額の出資をしている。しかし、かのピンポイント攻撃で、何人のイラクの市民(軍人や政治家ではない)が死去したのかについては、一切ブラックボックスで、なんら報道されていない。このことは気になりませんか?それではイラクの進行を受けて、虐殺されたクエート市民は何人いたのかというと。これも報道なし。ぜひともこのバランスシートを公開して、俺たちの税金の意味を誰か教えてください。現代のような情報社会、コンピュータ社会なら、シュミレーションは簡単なはず。少なくとも、クエートで死んだ人、死ぬ可能性があった人よりも、より多くのイラクの人を、直接的に殺していたら、俺は辛いのです。そんなに隠しておくべき情報なのですか?
たとえば話題の鳩山新党、そのメイン選手は鳩山由起夫氏と菅直人氏でしょうが、鳩山さんのおじいちゃんは、かの鳩山一郎で、京大滝川事件や、山本宣治暗殺を引き起こした、戦前翼賛言論弾圧の中心政治家で、その一郎氏が残した莫大なる遺産が、鳩山新党の台所を支えるといわれている。そのことについて、柔らかな政治家が何らかのコメントをしているのかが俺は気になる。新党には弟の邦夫さんも絡むといわれているけど、俺はこの人の選挙演説をテープ録音で持っています。ど右の一言、かちかちで全然柔らかくないよ。俺は真剣に危惧します。菅氏の政治界デビューは、ご存じ清潔政治市川房枝さんの勝手連でしょう。その市川房枝さんは、戦前戦争に協力的と見られる評論家ばかりを会員として採用した言論報国会の常任理事だった。市川さんはこのことを、自伝かなにかで、総括しているのかしら?知っている人教えてください。そして菅さんは、市川さんのそういう側面もしっかり支持者の方に伝えているのかしら?俺は菅さんの演説のテープも持っているけど、多用される市川さんの思い出話は清潔路線一本槍だったなぁ。
たとえば、家の近くの新宿区のプールやら何やら入っている施設に、1時間3000円というシュミレーションゴルフがあるのよ。壁にヴァーチャルなゴルフ場が映っていて、そこに向かって、球打つの。ゲームセンターのクレー射撃と同じ原理。これ利用者いるのか?経費的に成り立っているのか?プールだって相当空いているのに、どうなのかなぁ?いちゃもんだったらごめんね。でも税金でやる仕事ではない。だって一人の人間がはりついていたとして、最低でも年間500万ぐらいかかるでしょ、人件費で。その他、間接費は抜いてもね。そうすると最低、一日2万ぐらいの水揚げは必要。一日7人あそこでゴルフの壁打ちをしているとは思えないもん。区職員のみなさん、そう思いません?意味ない仕事はただちに止めてください。税金の無駄ですよ。
そんなこんな、現代は積み残しの気持ちの悪いことばかり、みんな、まず自分の足下からよく見つめよう。俺はとりあえず住み替えしました。気分転換。深呼吸。

火ダルマGの老婆心ニュース 其の11(8/AUG/96)


                         
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  いよいよ、夏も佳境。お盆休み、国民的大連休の季節でげすな。夏休みといえば、短期集中、なにかまとめてやってやろうじゃねぇか、と、お考えのまじめな方も多いにちげぇありません。あっしら、日本人てぇのは、どうにもそういう国民性でげしょう。思いつくままに、なんたって、お盆というぐらいですから、よぅし、司馬遼の「竜馬がいく」完読するぞ!とか、寅さん48作完全制覇!おっと、こいつは96時間かかりますから、9連休でも1日10時間。それでも、1人ぐらいいるでしょうな。そんな、脳天気な野郎が。
 脳天気といえば、どうでげす。落語の総なめというのは。ちょいと前までなら、お盆と正月は寄席でもいってみっかぁ、というのが日本人の国民性というものでもありました。 今日日の東京には落語協会、落語芸術協会という二つの寄り合いが、日々上野、浅草、新宿、池袋にサバイバルしている寄席という、実におめでたいところで興業をうっており、その他に、立川談志一門、三遊亭円楽一門が、それぞれインディーズとして、ゲリラ的な活動をしております。四日や五日で二万円程度のお足を奮発していただければ、東京落語の今、なんていうのは一目瞭然、一網打尽でございます。
そして、そんなご機嫌なあなた様の、行楽のスケジュールの効率化のお手伝いをするのが、日本唯一の落語情報誌「東京かわら版」でありんす。こいつにはデイバイデイで落語会の情報が目白押し(小さん師匠お元気でやんすか?長いこと会長さんでご苦労さまでやんした)。「東京かわら版」は各寄席、新宿紀ノ国屋、浅草リブロなどでお買い求めいただけますが、直接3861ー1817までお電話されても、ぬかりなく、おもてなしすることと存じ上げます。
 実は、あっしは、かれこれ一昔ほど前から、こいつを購読しておりまして、最近誌面で「口コミだけが頼りです。どうぞ小誌を御吹聴ください」などと、妙に殊勝なことをいっておりますので、ちょっといい気になったと、まぁ、そんなところでやんす。えっ、それで「最近落語はちゃんと見ているのか?」って、お後がよろしいようで。

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火ダルマGの老婆心ニュース 其の10(25/JUL/96)


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  「僕ら、個人の幸せを追求した果てに、バブルだ住専だオウムだとなってしまった。その反省が日本中にある」
上記は宮沢賢治さんの生誕百年にかこつけて「我が心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」なる作品を監督する、映画監督大森一樹の発言である。(朝日朝刊より、日付不明。切り抜いた時に付け忘れた)だから『「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という賢治の言葉が力を持つ時代になったと実感』すると彼はのたまう。
さて、果たしてそうだろうか?
俺には、バブルも、住専も、オウムも、何が自分の幸せかまったくわからない人たちが引き起こした、実に幼稚な事件としか思えないのだ。本当に自己の幸せを追求していたなら、土地代の異常高騰を産出し、ますますもって、ウサギ小屋からの脱出を不可能にせしめるバブルや住専、それに、せっかくヒエラルキー的な組織社会と金金金の過剰資本主義社会に疑問をもって、緩やかな人間の連帯や貧しくとも心豊かな生き方を求めたはずなにに、正大師やら正悟師やら、それこそ過剰なヒエラルキーで人間を縦割りし、お布施するぞ、究極のお布施するぞで、大殺戮までいった(らしい?)オウムなどには至らなかったと考える方が、普通ではなかろうか?
俺としては、そんなに簡単に全体なんて言葉を口にすると、個人なんてあっという間にぶっとばされるのでは?とぶるっちまうのだが。
俺は大森一樹の映画をもう一度見直してみようかとも考えたりもしている。

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火ダルマGの老婆心ニュース 其の9(11/JUL/96)


                          (老婆心の先頭へ戻る)

  時は1981年の10月1日、俺は三井物産のリクルートミーティング、グループAの1組(ここいらへん定かではない)に振り分けられ、見たこともないリクルートスーツの同世代達と円卓を囲んでいた。俺を含めて、東大、早慶、ICUといった面々。全日本書道連盟何段とか、全国ESS連盟代表なんたらとか、アフリカ放浪何年少林寺拳法何段とか、まさに選りすぐりのエリート、猛者ばかり。そして俺は見事に振り分けられた。そりゃ、そうだ、俺は大学では専門科目優ゼロという、違う意味の猛者で、しかも世間知らずだから、その前の年の秋口の失恋に対する反動で、その前日まで、ひたすら「私の同時代」という、わけのわからない卒論に没頭し、一切就職活動の事前運動をしなかったという、これまたものすごい猛者だったのだ。伊藤忠では、第一志望は物産ですと、口を滑らせ、その場で退場となったし、あとで聞いたら、とってくれた兼松江商(現兼松)に顔を出した10月4日の時点では、採用60人強のところで、残った席は4っだったそうだ。
 話を元に戻そう。その物産の円卓で俺が思ったこと。まず、こんなに優秀な、こいつらと競争するのはしんどいな。勝てるわけがない。しかし、こいつらも全てが社長や重役になるわけでなし、ただの一兵卒で終わるものもあろう。もっと違う局面にいけば違う人生もあろうのに、人材の無駄遣いであることよ。こうして、大企業は、ほかの会社にいかれて、大いに能力を発揮されるくらいならと、生涯賃金と引き替えに、人間をスポイルするのだな。そして、どっちにせよ、これで日本も安心だ。こんなに優秀な野郎どもがいるのだから。と、まぁ、こんなところ。
 ここからが本題。7月5日付朝日新聞夕刊によると、三井物産の社員寮で昨年4月8日にとりおこなわれた新入社員歓迎会で、酒の一気のみを強制された、新入社員が死亡し、会社は遺族に9000万円の示談金を払ったという。その金額の妥当性が、ここでのポイントではない。
 実は俺は商社マン時代、アフリカ大陸専門で、8年勤めて延べ2年彼の地にいた。治安衛生その他諸々の問題で、かなり、きわどい瞬間も多々あったが、なんとかサーヴァイヴして、今ここにいる。そんな自分の体験を鑑みるとね、新入歓迎会なんだから、10人やそこいらの物産マン(のタマゴかな?ひよこかな?)が、そこにいて、どんな、その場の呪縛力による、集団催眠、集団自己判断喪失、集団白痴化があったのかはしらないが、そいつらの誰1人として、ウィスキー入りのビール3リットルを一気飲みするという行為が、いかに無謀で愚かで危険な行為かを判断できなかったということ、おぃ、こんなバカなこと止めようという奴がいなかったということが、にわかには信じがたいのです。もし、そうなら、バカもオオバカだし、その上、全体の流れがどうであろうが、自分の言うべき意見ははっきり、しっかり言えるという当たり前の勇気のある奴も、かの物産レベルのエリート達の中にさえ、存在しないということで、今現在の日本もひどいものだが、これで、日本もおしまいだね。という、気がするという一席でした。

火ダルマGの老婆心ニュース其の8
(24/JUN/96)


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  サッカーワールドカップ2002年大会の韓日共同開催が決まり、その先行きを危惧する声が喧しい。さて、俺が初めて、ワールドカップなるものを認識したのは、1970年のメキシコ大会。そう、まだ俺は12才。あのころは東京12チャンネルの三菱ダイヤモンドサッカーが、日曜の夕方の白黒番組、イングランドプレミアリーグなどという言葉もなかった頃だ。彼らが具体的に、サッカー史上でどの程度のプレイヤーなのか全く知らないが、アラン・ボールとかジョージ・ベストとか、へクターなどという選手をひいきにした感触がある。アーセナルとかトッテナムホットスパーなどというチーム名を覚えたのも、その頃ではないか?そうそう、70年のワールドカップでは、俺はブラジルのリベリーノというギッチョのストライカーに恋をした。バナナシュートの名手。最近清水エスパルスの監督として失敗したから、知っている人は知っているでしょう。74年の西ドイツ大会は、ドイツのブライトナー、ウオーレン・オーツのような佇まいの選手だった。オランダのクライフをマークしたのは彼か?違うか?ようするに俺は基本的に野球小僧だから、本当はこんな話しを書く権利はないのよ。でも最後まで読んでね。78年なら、やはりアルゼンチンのマリオ・ケンペスでしょう。しかしながら、この大会、大人になってから、当時のアルゼンチンの軍政がいかに非道なものであったかを知り、この大会あたりから、ほとんど全試合観戦した記憶があるから、そこでちゃらちゃら喜んでいた、俺ってなんだったの?と思ったこともあるような。でもあの頃、どこの大人もそんなこと解説してくれなかったよ。アルゼンチン名物のグランドに舞う紙吹雪がきれいだったよな。82スペイン大会なら、完全にブラジルの黄金のMFカルテットのソクラテス。ルックスが最高。インテリそのものって感じだった。今は医者をしているらしい。86年再度のメキシコはエジプトでアラビア語の放送で見ていました。ここから90年イタリア、94年アメリカとず〜っと圧倒的にマラドーナですね。他に好んだ選手といえば、オランダ、ライカールト、コロンビア、バルデラマ、イタリア、バレージ、それにイングランドのガスコイン。そんなところでしょうか。
ここで、話は完全に拍車しましょう。時は1996年6月14日。アメリカ大リーグ、ボルティモア・オリオールズのカル・リプケンJR.がついに、日本の元広島カープ衣笠祥雄の持つ、連続出場試合記録2215を更新した。その前後、衣笠さんをわざわざ日本から招いて、連日のセレモニーがあったことは、日本のマスコミもしっかり伝えていたので、まぁ周知の事実でしょう。ところで、日本のプロ野球の主要記録の記録保持者については、あなたは、どの程度ご存じかな?ホームラン868本、王貞治。ヒット3085本、張本勲。勝利数、400勝、金田正一。そして衣笠の2215試合連続出場。とまぁ、こうなります。常識だと思うから、あえていうけど、知らなかった人は悪用しないでね。この人たちは、人種的にいえば、いわゆる純粋の日本人ではありません。しかし、そんなこと、あなた気にしたことありますか?俺は5年程くらいまで、日本でも有数の横浜大洋ホエールズの追っかけだったから、よ〜く知っているのだが、広島球場に赴くと、かのミスター赤ヘル、山本浩二より衣笠さんに対する声援が大きかったと断言できる。金田さん、張本さんは時代がずれたり、全盛期がパリーグだったりして、えらそうに断言できないけど、王さんと長島さんの人気には遜色は全くなかったと、俺は思う。だから、なにがいいたかというとね、今度の日韓共催でぎゃぁぎゃぁいっている人たちってさ、もともと、俺レベルのサッカーに対する愛情も持ち合わせていないし、それ以前に、スポーツになんて、これっぽっちの愛情がないんじゃね〜ぇのかということ。興味ないことにはついては、黙っているというのが、それこそ、日本の大人の美徳というものよ。

火ダルマGの老婆心ニュース 其の7(7/JUN/96)


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 本当に久しぶりに、新進党党首の小沢一郎さんが新聞紙上に登場した。6月7日付、朝日の朝刊である。そして、あいも変わらずの集団的自衛権行使合憲論をとくとくとぶっている。それでは、俺もあい変わらずの、俺の疑問をここで述べてみよう。
 小沢さんの議論の根拠は、誰がどう見ても悪い国、国際平和や秩序を乱す国には、国際社会の同意に基づいて、それなりの武力制裁を加えるのは、当たり前で、日本もただ金だけ出して横を向いているのではなく、刀を抜くときには抜かんと、あかんぜよ、ということあたりだろうが、それでは、国際社会の誰もが認める悪人に、たまさか政治的に支配されているからといって、その国民はぶっ殺されなくてはならぬのか?という疑問が残るのよね。簡単にいえば、サダムフセインにディクテイトされているからといって、ごく普通のイラク国民は、アメリカハイテクミサイルのピンポイント爆撃によって、この世から消えていかないといけないのですか?かの昭和天皇や軍部に独裁されていた、私たちの先輩達は、ピカドンで30万人、東京大空襲で10数万人虐殺されるほど、罪深きものであったのですか?と、いいうことなのです。
 実に悲しいことに、戦争の犠牲となるのは、軍人でも政治家でも資本家でもなく、常にオンナ子供老人に代表される、市井の草民です。民主主義とは、そのような、草民の代表が、草民の意識と利益を代弁するもののハズ。とりあえず、ひたすら軍縮に政治生命をかけるとか、そんな政治家はでてきませんかね? 人1人殴り殺すのは大仕事ですが、ピストルなら楽々、爆撃機や原爆なら、なおさらなのですよ。

                           

火ダルマGの老婆心ニュース 其の6(19/MAY/96)


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この世でもっとも安定した形が三角形である、ということに異論を挟む人物はおるまい。いや、恋愛にしろ、友情にしろ、一対一、すなわち、線の関係こそが、全ての緊張感の源である、ジョンレノンとポールマッカートニーを見よ、ミックジャガーとキースリチャードを見よ、横山やすしと西川きよしを見よ、サルトルとボーボワールを見よという、人もいることは知っている。でも、一対一の関係には悲劇的な匂いがするんだよね。もちろん結果論だけど。そして、その絶頂期にはファシズムの匂いさえも。なぜなら、線には内部というものがない。線以外の外部が瞬間その線に触れるにしても、それはただ通り過ぎるだけ。しかし、三角形には、たとえ、それがどんなにいびつなものでも、豊かな内部があり、そして三方に開かれた、豊かな窓もある。3人組の存在が、喜劇的な匂いを醸し出す由来である。
古来、わが国では、3人組の男たちが発酵する、極楽的な雰囲気が、世間の皆さんに、なんとわなしの生きるチカラを与え続けてきた。脱線トリオ、てんぷくトリオ、トリオスカイライン、コント赤信号、そして、我々、火ダルマブラザース。現在、これといったトリオがマスコミに存在しないのは、悲劇的な社会状況を正確に映し出している証拠なのである。
それでは、わが国の、トリオの始祖はだれたちであったか?それが、磯野秋雄、三井秀夫(後に弘次)、阿部正三郎の與太者トリオなのである。昭和一桁の無声映画の時代、徹底的に軽薄に動きまくった彼らの姿を、6月1日と6月4日、東京は京橋にある、東京国立近代美術館フィルムセンターにて、それぞれ、たったの390円で見かけることができる。だいたい、トリオの関心は、今も昔も、饅頭をいくつ食うか、てなものであり、コンビニの大福が、1ヶ120円として、3つで360円X1.03=370円。残りの20円になんらかの真実を感じることのできる、やさしきあなたなら、見にいかれたし。なくしちまった純情がそこにはきっとあるから。いや、多分。

    「與太者と芸者」 1933 野村浩将監督 6月1日13:00
    「女学生と與太者」1933 野村浩将監督 6月4日15:00

                                    

     

火ダルマGの老婆心ニュース 其の5(9/MAY/96)


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常套的な書き出しで赤面してしまうが、日本映画が面白くないという人は、ふだん日本映画を見ていない人である、というものいいがスタンダードになって久しい。文章の前半も、後半もまったくに、その通りだとして、そういういい方をする人は、金のかかっていないもの、ゴージャスでないものはつまらないと無意識のうちに思わされている人たちなのだというのが、俺の意見である。貧乏人は黙っていろ。貧乏人同士がそういいあい。お互い身動きとれなくしあっている。あぁ、文化資本主義の洗脳ここにきわまれり。(ものいう貧乏人の切実な意見だぜ!)俺にいわせれば、日本映画の現状がつまらないのは、監督たちが、おのれにとって切実な問題に正面から取り組んでいないから、ただそれだけなのである。「踊らん哉?」が今のこの世紀末日本を生きる俺たちにとって重要な問題であるとは、俺にはとても思えないし、そこに見事に集約的に集客されていく大人といわれる人たちの消費行動を見ていて、新曲を覚えないと、カラオケでみんなにおいていかれるという恐怖感だけから、やたらと音楽以外のプロモーションやマーケットリサーチに金をかけた、投資効果至上主義の、どうでもいい消費音楽をメガヒットに導いていく、その子供たちと、どう思想行動が違うのだと、頭をひねるのは、俺だけだろうか?
なんとなく、アホらしく、悲しい世間だが、それでも、黙々と、自分の井戸を掘っている人物はいくらかいるから、少なくても、俺は生きていける気になれる。サトウトシキ、佐藤寿保は、メジャーデビューが決まっているので、このくくり方がいつまで続くかわからないが、俺をそんな気にさせてくれるものの一つとしての、佐野和宏、瀬々敬久(以上敬称略)とあわせた「ピンク映画四天王」といわれる人たちの表現がある。ピンク映画は、低予算、映画館汚くて怖いなどなど、悪条件だらけの世界であるが、少なくても、彼らの表現しているものは、彼らに、そして同時代を生きる俺らに、NEARな感触を伝えるものである。きたる5月18日から24日まで、この業界の一番館、シネマ有楽町にて、彼らの代表作4本が一挙上映される。もし心有るあなたなら、心に留められたい。ただし、黒沢とか、小津とかを、比較の対象に想定してはいけない。あの時代の人たちは、俺たちの11倍も映画館に通っていた。そんな資格はないのだ、俺たちには。
下記、その4本。
『監禁 ワイセツな前戯(原題=最後の弾丸)/89佐野和宏』、『課外授業 暴行(=羽田に行ってみろ そこには海賊になったガキどもが今や出発を待っている)/89瀬々敬久』、『田代水絵 ザ・本番アクメ(=おいしい水のつくり方)/89サトウトシキ』、『ハードフォーカス 盗聴(=失楽園測量地図)/88佐藤寿保』
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火ダルマGの老婆心ニュース 其の4(22/APR/96)

                          


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 なんらかの運命で与えられた持ち場でベストを尽くし、おのれの能力を充分に活かす。
人間それにまさる至福はあるまい。ただし、本当にベストを尽くしているか、についての考察は常に謙虚であるべきでもあろう。たとえば売り子を生業とする人間が常に快活であることを旨としているとする。おり悪ければ体調最悪のこともあろうから、それはそれで立派なことではあるが、いきずりのガキに「それがどうした?」と問われれば、赤面して黙するというのが大人というものであろう。
 前置きが長くなったのは、いわば身内ともいえる人間を称えることに、ぎこちないものを感じるからである。
 日本一のエロ雑誌『おとなの特選街』(KKベストセラーズ)編集長、小島一智の仕事はまさに現代の鬼才のみのなせる業とでもいうべきものである。
「復活レトロ好色戯館」と題し、カストリ誌の変遷から、ダッチワイフの歴史、グランドキャバレーの現在まで並べ立てた、前回68号にも目を見張ったが、考えられるほとんどすべてのエロ情報を計数化、ベスト10、ベスト5に置き換え、各競合エロ雑誌別「グラビア娘出演者数ベスト10」(ようするにヘアヌードのグラビアページはどの雑誌が多いのか)「ふろくポスターサイズベスト10」、投稿誌別「ニャンニャン投稿プレイ別総数」、「女が選ぶ媚薬TOP10」、AV情報としての「濡れすぎ女優ベスト5」、官能コミック「SM・スカトロ部門ベスト10」、「世代別ポルノの女王ベスト5」などなど、今回69号(番号がいいよね)の「THE 猥褻市場ランキング」には心底感銘を受けた。
 各情報の中身についても、長年センズリ男として生きてきた、俺から見ても実にまっとうであるといえる水準でまとまっている。恥ずかしながら、俺が今まで唯一投稿し、採用された雑誌は、今はなき(と思う)「SMキング」であり、それはもう四半世紀も前のことである。
 小島を唯一の飲み友だちとして敬愛している俺は、カメラマン、フリーライター、イラストレイターなど、外部のマンパワーを手段として使用しているにせよ、基本的に小島1人で雑誌を組み立てている事実を熟知している。業界はこの異才の実力を正確に把握しているのであろうか?

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火ダルマGの老婆心ニュース 其の3(2/APR/96)

                         


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 いよいよ野球シーズン到来。約2カ月のつかの間の安息も終わり、これから来年1月末日のNFLスーパーボウルまで、地獄の娯楽情報消費生活が延々と続くのかと思うと、泣き叫びたくなるほど嬉しい今日この頃だが、野茂波及効果というべきか、MLB関連雑誌に新参者が登場した。ビクターエンターテイメントによる『MAJOR'96 PERFECT GUIDE』、MLBファン歴20年を誇る俺から見たら読む所などないレベルの代物なのだが、一応買ってしまうところが悲しい。『ロックンロールニューズメーカー4月号別冊』だそうだ。笑止。
 そいつをパラ読みしているうちに思い出したことがあるので、それが本題。
 1995年9月6日、ボルチモア オリオールズのSSカル・リプケンJR.35歳が伝説の鉄人ルー・ゲーリックの2130試合連続出場の記録を塗り替えたことは有名だが、当日のセレモニーで彼は特に4人の人物の名前を挙げて感謝の言葉を述べた。おやじ、おふくろ、かみさん、ここまでは誰もが想像つくと思う。何故か日本で報道されたのもここまでで、もう1人の人物が表す意味に触れたものは、すくなともスポーツ新聞、テレビのスポーツニュースのレベルでは一つもなかった。そう断言できるのは、俺が、そのこと一点のみに集中して翌日を待ち受けたからである。老婆心がうずいたのだ。
 第4の人物の名前はエディ・マレー、40歳。1996年現在クリーブランド インディアンズの現役5番DH、3000本安打済み、500本塁打直前という殿堂入り当確のクールなスイッチヒッターである。1984年の日米野球では14試合で9本のホームランを放ち、特に福岡平和台球場での一発、巨人線でのセンターバックスクリーン右横場外ホームランは中西太の伝説の一発よりでかいのではないかと話題になった。その彼。奥さん超キレイ。
 カルの記録が開始された1982年、エディはすでにオリオールズの看板1塁手であったが、どんなに凄くてカッコよくても黒人はつらい、1983年O'sが最後に優勝した年、打率306本塁打33打点111のエディに対し、全米スポーツ記者投票によるMVP に選ばれたのは318、27、102のカルであった。ミスターXXという呼称があるが、実際ミスターと呼ばれる、いわゆるフランチャイズプレーヤーは確実に白人選手であり、エディも、その後ドジャーズ、メッツ、インディアンズと一本どっこで渡り歩くことになった。
 そのエディを、自分を最高にインスパイアさせてくれたライバルとして、父、母、妻と並べたカルの人間性はまさにスポーツマンのいきついた至高であり、セレモニーを目撃した観客たちの拍手も別物の厳粛性を帯びていた。だからこそ、わざわざエディのみを外してリポートする、日本のスポーツジャーナリズムに対しては言葉もない。おそらく、わざとはずしたなんて気のきいた代物でもなく、ただ単に、そんなことには気がつきもしないのだろうが、そんなプロたちが、嬉々としてお仕事しているつもりの大量情報社会に生きる俺たち、受け手側の責任は重い。               
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火ダルマGの老婆心ニュース 其の2(16/MAR/96)

                         
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 アメリカプロバスケットボール(NBA)、デンバー・ナゲッツのモックムード・アブデュル=ラウーフ(旧姓ナントカカントカ)は、大学時代から有望視され続けた結果、そのプレッシャーから、対人恐怖、チック症連発という状態に陥り、そんなある日にコーランに出会い、イスラムに帰依、改名して心の平安を獲得、それ以来、NBA のトッププレーヤーとして活躍している、アフロアメリカ系しかし非黒人のガードである。
 宗教上の理由から、彼は試合前のセレモニーでの起立を拒否しており、それを選手契約時点で義務づけているNBAは、シーズンも佳境を迎える、この時期に、初めて彼を出場停止処分にした。処分を受けたインタビューで、彼はアメリカ国旗、国歌は抑圧の象徴であり、悪の象徴であるとはいわないが、悪い部分もあると明言している。
 スポーツと政治が赤の他人同士であるわけもなく、この処分発表が、イスラエル選挙を控え、エジプトで急遽開かれた国際テロ対策会議とリンクしていること、また、アメリカメインストリームにおける、ユダヤイズムの揺るぎなき潜在力の発露であることなど、読みとるべき信号は多い。
 しかし、ここで俺が申し上げたいことは、この一件は、俺達がこの地球上の人類社会で生きている限り対岸の火事ではあり得ない、現在世界中で進行している、ある勢力争いの顕在化の一部分であるということである。別にアラビア語の知識をここで披露するのが本意ではないのだが、ABUD IL LA-Hは直訳すれば、神の奴隷という意味になる。そして、アブドラ・ザ・ブッチャーは神の奴隷たる屠殺人であった。おいおい屠殺という、漢字が一発変換で出ないよ。ここにもまた別の日本固有の問題があるな。
 話がそれた。世界に蔓延する経済的不公正・矛盾を温床として、着々とその根を伸ばす宗教ファナティズムは、ストップモーション進行中の日本以外の地域においては、切実な社会問題である。そして、その問題は、悲しいことに、資本・金権奴隷と、神・宗教奴隷のどっちが勝つか、あるいは、どっちがましかという二者択一の問題に収斂しつつあるようだ。どっちの奴隷も嫌だもんね、という俺達のようなモノドモの立ってられる場所はどんどん狭くなりつつある。すなわち、俺達は自分の居場所を守るためだけにおいてでも、一人一人が、その二つの勢力予備軍の間を調停し、不必要な争いが起きて、まきこまれないように努力する、予防外交官の・ようなものである必要があるであろう。
 争いの場において常にもっとも必要とされるのは冷静で合理的な判断と、あくなきコミュニケーションの追求である。肉体のみならず頭脳も筋肉トレーニングしている、NBAプレーヤー達は、彼には、国歌斉唱を拒否する権利があり、もし自分の信じるものがあれば、それを最優先すべきであると見事にシンプルな正解のコメントを寄せていたが、俺達の周囲で、そのような闘いが顕在化したときに、俺達は彼らのような冷静な外交手腕を発揮できるであろうか?
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火ダルマGの老婆心ニュース 其の1(11/MAR/96


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 俺は年に2ー300本は日本映画を見つめる酔狂者であるが、上をいく人たちがこの街には何人かいる。『映画監督 鈴木英夫』なる小冊子は、そんな人たちがよってたかってこしらえた52ページ600円の読み物である。すなわち『映画監督 鈴木英夫』なる小冊子こそは、現在の一般マスコミを主戦場にするワイドショーのコメンテイターレベルの産業映画評論家(産業ロックと同じ用法)達と頭と感性の良いと自負する人たちが好むといわれている専門誌/学術誌を縄張りとするアカディズム系アートインテリ社会映画評論家達との合間に棲息する、正真正銘映画に目がくらんだ者達の実寸大の履歴書の・ようなものなのである。
 横浜大洋ホエールズの滅亡というカタストロフ以来、すでに絶滅済みであるがゆえに新たに悲しい思いをすることもなさそうであり、しかも粛々と墓荒らしをしていくだけでも、ゆうに俺の寿命いっぱいは楽しめそうな玩具として日本映画を主体的に選択した俺としては、彼らとは今後もつかず離れずの長いお付き合いになること必死なので、彼らのうめき声についての具体的批評は棄権するが、この小冊子には現在の日本映画の今が集約的に示されており、いかなる文脈にも拘わらず、この社会の現在に興味ある者にとっては格好のテクストであると俺は思う。愛情、プライド、謙虚、自己撞着、差別、小心、親切、尊敬、潔癖、自己喪失、尊大などなどの現在の社会を語る上でのキーワードのすべてがそこに著されている。小冊子は文芸座、大井武蔵野館などで、ここしばらくなら購入可能のはずである。
 俺は、ロックについてならその良、不良について即断する自信があるが、映画については未だそうでない。従って、彼らのように鈴木英夫という映画監督の作品について熱狂的に語る立場にはないが、エピソードを一つだけここに披露しておこう。
『脱獄囚』という作品。佐藤允演ずる悪漢が一般家屋に侵入する場面で、サスペンスを盛り上げる効果音として、付け放しのラジオからFENでのアメリカ大リーグ、ミルウオーキーブレーブス対セントルイスカージナルスの試合が流れており、ハンクアーロンが打席にいた。1957年の作品である。洒落ていること奇跡の如し。その監督特集上映会では連日鈴木英夫監督自身が一観客として来ておられ、常にぽつんとしておられたので、サービス精神の感情もあり「これは監督のアイディアですか?監督は野球がお好きだったのですか?」と俺は問うた。監督の答えは「ずいぶん不思議なところに興味を持たれたものですな。あれは音楽監督の黛敏郎のアイディアです」というものであった。
 ナショナリズムの深淵恐るべし。我も自戒必死なり。そんなことを俺は思ったが、部屋に戻り資料を見てみると、音楽監督芥川也寸志とあった。監督の言葉がインテンショナルであるのか、ミステイクであるのか、それとも80才という年齢に見合ったオオボケであったのかは闇の中である。しかしファクトを超越したトゥルース、これからも残影として俺につきまとうであろう、鏡に映った己の心象風景の感触はリアルである。


火ダルマGの創作倉庫
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俺は不定期的にまとまった書き物をする。ここにそれらを置いておくので、よろしかったら読んでみてください。

『追憶の16号』


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