tr4.gif
日本映画忘却

                        1996年3月11日開始

   あいかわらず疲労が激しい、死にそうだ、そんな時に限って本数が多い。いったいなんのために俺は映画なんて見てんだ?

                                火ダルマG

第7回:1991年6月11日から6月24日に見た映画

忘却番号:0020
日付 :1991年6月14日
於いて :銀座並木座らしい
題名  :石中先生行状記
公開年度:1950BR> 監督  :成瀬巳喜男
主演  :池辺良、角梨枝子、若山セツ子
筋   :都会暮らしにやんだ、作家先生が東北に旅し、現地の人と交流?
COD :若山セツ子に対する、谷口千吉の落とし前はどこ?

元来俺はセーラー服に弱い、その上大きな丸い眼鏡をかけている女に弱い、その上ケガかなんかして、腕を包帯なんかでつられたら、もうギブアップという変態野郎だ。だからこそ、この映画での若山セツ子さんには、その美貌とともに、過剰な思い入れをしてしまうのだ。そうそう、それに、俺はヒロインよりも、コメディリリーフの女にも弱い。早瀬久美より田坂都の口なのだ。わかる人にはこれでわかるだろう。谷口千吉37才が、美貌の若山セツ子20才を妻とし、27才で別れた。そして44才で再婚したのが八千草薫26才。後者には興味がないけど、時間に考えるゆとりというものがないのが、俺は好きではない。男は経験から学ばねばならぬ。初めの2本以降、ろくな映画を撮っていないことも、むべなるかな。

忘却番号:0021
日付 :1991年6月17日
於いて :大井町武蔵野館
題名  :天使も夢を見る
公開年度:1951
監督  :川島雄三
主演  :鶴田浩二、佐田啓二、津島恵子
筋   :ノンプロ野球チームの二人の中心選手の恋の話か?
COD :河村黎吉と修道女

これは俺にとって「三等重役」で一目惚れをした河村黎吉さんを見るための映画。55才でなくなる前年、最晩年の作品で、河村黎吉さんの魅力を一言でいえば、人の話をに受けこたえるその表情、常に、一歩引いた、大人独特の余裕みたいなもんがぷんぷんしているのだ。一目惚れだから、ミスっているかもしれないけど。あともう一つ、輿汰者トリオの残党、磯野秋雄さんが、ここでまだ野球しているのよね。41才。「隣の八重ちゃん」で早実のピッチャーしていたのが23才だから、彼は18年も野球したわけで、素晴らしいと俺は思うね。

忘却番号:0022
日付 :1991年6月17日
於いて :大井町武蔵野館
題名  :接吻泥棒
公開年度:1960
監督  :川島雄三
主演  :宝田明、団令子
筋   :ボクサーの話。よく覚えていない。
COD :ロッキーだ

主人公が精神不調で酒におぼれているシーンで、いきなり「ねっ?芥川賞作家の石原慎太郎さん」とかいって、原作者が登場するシーン・のようなものがあった?団令子はあいかわらずキレイだった?

忘却番号:0023
日付 :1991年6月17日
於いて :大井町武蔵野館
題名  :人も歩けば
公開年度:1960
監督  :川島雄三
主演  :フランキー堺、森川信
筋   :全然覚えていないが遺産をめぐる話だった?
COD :森川信のかるみ

その昔、30年も前、目黒にあった寄席(金龍館?)で俺は春風亭栄橋という落語家にイジラレタ、イジラレタといってもいたずらされたのではない、話のネタにされたのだ。「今日はフランキー堺さんの息子さんがみえていますな」と。当時小学校低学年の俺は、その言葉に、無茶苦茶腹を立てた。なぜならフランキーさんは3枚目だから、ガキん時はみんな2枚目がいいの。でも、そんじゃ、今なら、フランキーさんに似ているといわれて、ラッキーと思うかというと、人間70近くまで、その特定人物の後ろ姿を見てしまうと、やはり、そうともいえないな。3枚目はOKだけど。栄橋さんは、その後病魔に襲われ、高座にたてずに今に至っている。あの時の俺の呪いのせいではと、背筋が冷たくなったことがある。

忘却番号:0024
日付 :1991年6月21日
於いて :銀座並木座
題名  :妻よ薔薇のやうに
公開年度:1935
監督  :成瀬巳喜男
主演  :千葉早智子、丸山定夫、英百合子
筋   :事業のため都会を離れた父が田舎にもう一つの家庭を持ってしまう話
COD :なし

これは、結構覚えている。その昔には、男が事業で一山あてるというのは、他人のふんどしに2匹目のドジョウを狙うということではなく、たいがい自分の体も資本財の一つとして酷使するということであり、この映画では、砂金をとるために、丸山定夫さんが、ひたすらドジョウすくいのポーズをくり返すところが、美しかった。そのような感覚も、日本の男が失った美徳の一つでしょう。

忘却番号:0025
日付 :1991年6月21日
於いて :銀座並木座
題名  :放浪記
公開年度:1935
監督  :成瀬巳喜男
主演  :高峰秀子、宝田明、加東大介
筋   :林芙美子の自伝
COD :なし

この映画の印象はただ一つ、高峰秀子演ずる林芙美子の少女時代の回想シーンで、母親が大女優田中絹代、これはわかる、しかし父親役が、生涯一バイプレーヤーを通した織田政雄さんだったこと、その場面のみは白黒サイレントという差別構造だったとは思うが、人が良さそうだがひ弱そうな父親像を見事に演じきっていて、涙した記憶がある。

忘却番号:0026
日付 :1991年6月23日
於いて :おそらくNHK録画
題名  :無法松の一生
公開年度:1943
監督  :稲垣浩
主演  :阪東妻三郎、園井恵子
筋   :戦争未亡人とその子供の面倒を一生懸命に見る人力車夫の話
COD :なし

話と話の継ぎ目のシーンに、人力車が走るモノクロのシーンが挿入されていて、それが時間と空間の進展変更を表現する。あっ、これはヴェンダースの「さすらい」だと思ったけど、おそらくこの映画の前にももっと、もとネタがあるのだと思います。「イントレランス」は砂時計とかユリカゴでしたよね。

忘却番号:0027
日付 :1991年6月23日
於いて :おそらくビデオレンタル
題名  :破れ太鼓
公開年度:1949
監督  :木下恵介
主演  :阪東妻三郎、森雅之、村瀬幸子
筋   :ワンマンおやじの没落と、家族の力をかりての民主的再建
COD :感心できないが木下忠司がよい、ジェイムズスチュワート

阪妻演ずる親父さんが説教とか演説たれるときに必ず、右手を真っ直ぐ前に出して始めるの、これがジェイムズスチュワートなのよね。多分。

忘却番号:0028
日付 :1991年6月23日
於いて :おそらく東京12チャンネル録画
題名  :赤い天使
公開年度:1966
監督  :増村保造
主演  :芦田伸介、若尾文子
筋   :従軍看護婦と軍医の壮絶な恋愛
COD :純愛映画

「ベティブルー」とか「隣の女」とか、そういう系列の恋愛ものが好きという人には絶対オススメ。強姦体験のある従軍看護婦が、モルヒネ中毒で、梅毒?で不能者で破滅主義者の軍医さんを、それでも好きと追いかけて、一緒に死んじゃう話と記憶しています。いつも思いますが、どうして増村保造という人は、女性をこうサディスティックに扱うのでしょう。よほど恨みがあるとみます。どうだ、これでもまだ俺を愛すか?という、叫びが聞こえてきそうです。


バックナンバーのページへ/メールを書く

cs2.gif