2007年に読んだ本


[No.30]
■ 首無しの如き祟るもの ■ 12.2007 三津田信三 ★★★
  原書房 2007/4

 この作者の作品は初めてだった。 題名に引かれて読み始めたが、これでもかという謎のオンパレードは面白かった。 最後の謎解きがいまひとつだと感じた、惜しい!


[No.29]
■ 警官の血 上/下 ■ 12.2007 佐々木譲 ★★★★
 新潮社 2007/9/25

 佐々木譲の作品は風格があり読み手を裏切らない。 この作品も親子三代の警察官を描く壮大なドラマに仕立て上げている。 ミステリーという読み方ではなく三世代を生きた警察官の物語として楽しめる作品だ。


[No.28]
■ 果断 隠蔽捜査2 ■ 12.2007 今野敏 ★★★★
 新潮社 2007/5/20 二刷

 降格された主人公が、自分のやりかたを変えずに突き進む姿を描く。 前作よりも内容が濃くて充実していると感じた。 仕事と家庭をバランスよく描いていると思う。 たぶんシリーズ化されると思うが少し心配ではある。


[No.27]
■ 隠蔽捜査 ■ 12.2007 今野敏 ★★★
 新潮社 2005/9/20 発行

 主人公のキャラクターに最初は笑ってしまったが、読み進むにつれてなんとなく気にならなくなり引き込まれてしまった。 面白い作品だった。


[No.26]
■ 片目の猿 ■ 12.2007 道尾秀介 ★★★
 新潮社 2007/2/25 発行

 散りばめられた複線が最後になって順に意味を持って説明されるという、この作者ご自慢の展開だった。 まあ、こんなものかなっていう感じだ。 馴れてしまったのか、最初の頃のような新鮮さが無くなってしまった。


[No.25]
■ 藁の楯 ■ 10.2007 木内一裕 ★★★
 講談社 2004/10/1 第1刷

 「水の中の犬」の作者の作品。 最初のほうは面白かったがだんだんつまらなくなってきて、読み終わったらまあこんなものかという感じ。 この作者はもう読まなくてもいいかな。


[No.24]
■ 約束の地で ■ 10.2007 馳星周 ★
 集英社 2007/9/30 第一刷

 おっと、馳さんどうしたのかな。 こんな短編書いても全然面白くないんですけど!


[No.23]
■ 水の中の犬 ■ 10.2007 木内一裕 ★★★
 講談社 2007/9/20 第1刷

 この作者の作品は初めてだった。 「痛ければまだ、生きている」「礼儀正しく、誠実で、心優しき探偵。そして麻薬常習者で、人殺し」というコピーに引かれた。 主人公は弱いので、いつもボコボコにされてしまうところが面白い。 読んだあとの気分はあまりよくない。


[No.22]
■ ブラックペアン1988 ■ 10.2007 海堂尊 ★★★★
 講談社 2007/9/20 第1刷

 面白くて、読み出したら止まらない。 切れ味鋭い文章は読んでいて気持ちが良い。
朝の電車で読んでいたら、気がつくと降りる駅から3つも通り過ぎてしまっていた!


[No.21]
■ 第四の闇 ■ 10.2007 香納諒一 ★★★
 株式会社実業之日本社 2007/9/25 初版第1刷

 闇がテーマだけに全体を通して暗いイメージが漂った作品だった。 私の好みから言うとあまり好きではない。 しかし、しっかりと作られた作品であるなという印象はある。


[No.20]
■ 沈底魚 ■ 10.2007 曽根圭介 ★★★
 講談社

 江戸川乱歩賞受賞作品で、エスピオナージに続いて読んだ。 新人の作品とは思えない完成度だと感心した。 でも、地味な内容ですなぁ、もっと派手にしても良かったのではないか? と思いながら、次作品に期待する。


[No.19]
■ エスピオナージ ■ 10.2007 麻生幾 ★★★
 幻冬舎 2007/08/10 第1刷

 前半部分はとってもおもしろかった、後半がどうもいけませんな。 拡大しすぎたお話を何とかまとめようとするのであるが、どたばたとしたまま終わってしまった。 残念!


[No.18]
■ 影絵の騎士 ■ 08.2007 大沢在昌 ★★★
 集英社

 14年前の作品「B・D・T」の続編。 近未来を扱った作品であるが、近未来という感覚がなく読んだ。 この作者の場合、近未来を描いても現代の新宿の雰囲気が漂ってしまうのだ。 いまひとつ消化不良が残るのが残念であるが、まあ今後のBDTに期待しよう。


[No.17]
■ ジェネラル・ルージュの凱旋 ■ 06.2007 海堂尊 ★★★★
 宝島社 23/04/2007 第1刷

 読み始めてすぐに、どこかで読んだことがあるぞと気がついた。 なるほど「ナイチンゲールの沈黙」と同時進行で視点が違う訳か! これはうまいね、ナイチンゲールの沈黙を思い出しながら読むと面白いではないか! デビュー作の最後で続編を意識した書き方になっているだけのことはあるね、素晴らしい。 最後は少し白けたけどね、最後までスカッとしていて欲しかったな。


[No.16]
■ ブルー・ローズ 上/下 ■ 06.2007 馳星周 ★★★
 中央公論新社 09/2006 初版

 読み始めて最初のうちは、この作者もついに普通の作家になってしまったのかと失望感が大きかった。 ところが途中から段々と馳星周独特の空気が漂い始めて一気に最後まで突っ走る展開になり、読み終えて疲れたが不思議な満足感を得ることができた。 普通の作品を書こうとしたが途中で我慢ができなくなり、ついにマイペースになってしまったのか? 不思議な作家だ。 映画 [From Dusk Tii Dawn] を思い出した。


[No.15]
■ 数学的にありえない 上/下 ■ 06.2007 アダム・ファウアー 矢口誠=訳 ★★★★
 文藝春秋 01/2007

 見事な題名だ、現題の[IMPROBABLE]よりずーと良い。 題名に興味を引かれて読み始めたが、以外にも抜群に面白かった。 相対性理論や確率論の説明にクレームする人もいるだろうが、この小説をそんな側面から見る人は読まなくても良いだけのこと。 この作品は第一級の品質を持っていることは間違いない。 私は「ダヴィンチ・コード」よりも面白いと感じた。


[No.14]
■ ブレイクスルー・トライアル ■ 05.2007 伊園旬 ★★
 宝島社 01/2007

 アイディアは面白いが、作品としては中途半端だと感じた。 主人公以外の登場人物に関しての描写がいい加減でありつまらない。 人物を丁寧に描き、侵入の詳細を緻密に書くだけで格段に完成度が上がるのにな、残念。
第5回(2006年)「このミステリーがすごい!」大賞 受賞作の銘打った帯が悲しい・・・・・


[No.13]
■ ダナエ ■ 03.2007 藤原伊織 ★★★★
 文芸春秋 15/01/2007 第1刷

 切れ味のある爽快な短編集、共通のテーマが作者の思いを伝える。 垣根さんとは正反対の意味で肩透かしをくらった感じだ。 この雰囲気の短編は私は好きだ、洗練された感じを受けてとても良い。 思いがけず満足できてうれしい。


[No.12]
■ 真夏の島に咲く花は ■ 03.2007 垣根涼介 ★★
 講談社 10/10/2006 第一刷

 垣根さん、これはいかんですね? 盛り上がりなさ過ぎでしょう、いくらなんでも。 ゴーギャンの絵を思い浮かべてしまった。 肩透かしがお上手なのか、懐がとても広いのかわからないが次回作が心配なのは私だけではないだろう。


[No.11]
■ 螺鈿迷宮 ■ 03.2007 海堂尊 ★★★
 角川書店 30/11/H18 初版

 うーん、面白かったがさすがにこの作者の作品を連続で読むと犯人が途中でわかってしまい、最後の意外性に出会えなかったのが残念。 さて、これからこの作者はどうなるのだろうか?


[No.10]
■ 骸の爪 ■ 02.2007 道尾秀介 ★★★
 幻冬舎 25/03/2006 第1刷

 うーん、面白かったがさすがにこの作者の作品を連続で読むと犯人が途中でわかってしまい、最後の意外性に出会えなかったのが残念。 さて、これからこの作者はどうなるのだろうか?


[No.9]
■ 向日葵の咲かない夏 ■ 02.2007 道尾秀介 ★★★
 新潮社 20/11/2005 第1刷

 デビュー作と比べて、少し違う方向に行きそうな感じで怖い。 でも悪くはないね、もう少し読んでみたいな。


[No.8]
■ 独白するユニバーサル横メルカトル ■ 02.2007 平山夢明 ★★
 光文社 25/08/2006 初版1刷

 このミスで第一位となった作品だが、私にはこのセンスはとても合わない。 まあ好きな人もいるだろうが、スカッとした読後感がほしい私にはとても絶えられる作風ではないと言っておこう。


[No.7]
■ 背の目 ■ 01.2007 道尾秀介 ★★★★
 幻冬社 30/01/2006 第1刷

 早速、「シャドウ」の作者のデビュー作を読んでみた。 うーん、良く出来た作品で読み応えがあった。 2004年の第5回ホラーサスペンス大賞受賞作というだけあってレベルが高い作品だ、私の好きな作者と言えよう。


[No.6]
■ ナイチンゲールの沈黙 ■ 01.2007 海堂尊 ★★★
 宝島社 04/12/2006 第5刷

 はっきり言って、第一作のチームバチスタほどの衝撃はなかった。 途中で反抗の手口が見えてしまったことが一番辛かった。 個々の描写は切れ味があるが全体的な構成が相当まずい、詰めが大甘な箇所が随所に見られて完成度を下げてしまっている。 もっと得意な箇所を強調して書けば良いのにな。


[No.5]
■ シャドウ ■ 01.2007 道尾秀介 ★★★★
 東京創元社 29/09/2006 初版

 見事なプロットに脱帽した。 この作者の力量には驚いた。 計算されつくした展開は、裏を読もうとした私は見破れなかった、お見事。 他の作品も読んでみたいと思う。


[No.4]
■ 狼花 ■ 01.2007 大沢在昌 ★★★★★
 角川書店 25/09/2006 初版第1刷

 新宿鮫IXとなる作品、シリーズとしては5年振りの作品だと聞いてびっくりした。 文句なく面白かった、やはり大沢在昌は新宿鮫だと再認識した。 読み進まずにはいられない程に良く出来た作品だ、素晴らしい時間をありがとうと言いたい。


[No.3]
■ Kの日々 ■ 01.2007 大沢在昌 ★★★
 角川書店 10/11/2006 第1刷

 久し振りの大沢作品だった。 面白かったが全体的に軽い感じを受けたが、大沢作品独特の香りがして落ち着いて読めた。 最後の展開が途中で読めてしまったのが残念であったが・・・


[No.2]
■ デッドライン ■ 01.2007 建倉圭介 ★★
 角川書店 30/07/2006 初版

 エニアック、ノイマンなど実在のマシンや人名などが登場して非常に興味深かったが、元スパイナーが優秀なエンジニアでしかも逆境に強いタフガイという設定は相当無理がある。 展開がスローテンポで読んでいて疲れてしまった。


[No.1]
■ 贄の夜会 ■ 01.2007 香納諒一  ★★★
 講談社 30/05/2006 第1刷

 先が読めない展開には迫力がありとても面白かった。 最後に犯人が判明するのだが、さらりとした終わり方には拍子抜けしてしまった。 ここまで引っ張ってきておいてそれはないでしょうという感じ。







Copyright (C) "ぷぷりん" 2007