2005年に読んだ本


[No.13]
■ 嘆きの橋 ■ 11.2005 オレン・スタインハウアー 村上博基=訳 ★★
 文春文庫

 東欧が部隊である点と帯の大型新人という触れ込みにつられて読んでみたが、はっきり言って期待外れだった。 翻訳の問題かもしれないが、文体がぎこちなく感じられ作品に入ってゆけないまま読み終えてしまった。


[No.12]
■ 楽園の眠り ■ 10.2005 馳 星周 ★★★
 徳間書店 2005年9月3日 初刷

 携帯電話の使い方が絶妙でリアリティがある。 幼児虐待という重いテーマではあるが、登場人物の配置と欲望蠢く街の雰囲気のバランスが絶妙で一気に読ませる。 主人公の刑事は横山秀夫や大沢在昌をイメージさせるが、馳星周にしては”普通”に描かれているのが少し不満。 全体的には以前の作品に比べて”読み易く”なっており、読んだあとの独特の、なんともいえないあの感情が襲ってこない。 このまま普通の作家になってしまうのではないかという不安を感じたのであった。


[No.11]
■ 震度0 ■ 09.2005 横山秀夫 ★★★
 朝日新聞社 2005年7月30日 第1刷

 相変わらず読み応えのある作品だったが、主役たちが相当情けないので三流小説と紙一重のような感じを持ってしまった。 キャリアの連中は迫力も正義感もないし、その妻たちも同様にレベルが低く描かれている。 これを読んだ現役の警察関係者は怒るだろうなぁなんて考えてしまった。


[No.10]
■ ダ・ヴィンチ・コード 上/下 ■ 05.2005 ダン・ブラウン 越前敏弥=訳 ★★★★
 角川書店 

 文句なくおもしろい作品だった!! ベストセラーになるだけのことはある。
残念だった点は「内容が軽かった」こと、これだけのテーマであれば、もう少し重厚な構成がとれそうなものだと感じたのであるが・・・


[No.9]
■ Q&A ■ 04.2005 恩田陸  ★★
 幻冬舎 06/2004 第1刷

 手法は斬新だと思うが、どうも盛り上がりのない展開であり、読むのに疲れてしまった。 もう十分だ。


[No.8]
■ キマイラの新しい城 ■ 04.2005 殊能将之  ★★
 株式会社 角川書店 08/2004 第一刷

 あまり好きではないタイプの作品。 発想はおもしろいが、リアリティに欠ける安易さが私には受け入れ難い感じを残すのだ。


[No.7]
■ THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ ■ 03.2005 矢作俊彦  ★★★
 株式会社 角川書店 12/2004 五版

 冒頭のシーンはとても良い、ぐいぐいと引き込まれていったのだが・・・ 途中から、そう飛行機乗りが姿を消したあたりからなんとなくだるい展開になってしまい、それは最後まで戻らなかった。 消化不良が残る作品。


[No.6]
■ 生首に聞いてみろ ■ 02.2005 法月綸太郎  ★★★★
 株式会社 角川書店 12/H16 三版

 この作者、久しぶりのような気がしている。 周到に準備されたプロットは最後まで飽きさせないで読み手を引っ張り、全体に散りばめられた伏線が最後になって一気に一点に集中してゆく様子は、心地よい満足感を与えれくれる。 良質なミステリー小説とはこういうものだと思った。


[No.5]
■ 暗黒館の殺人 上/下 ■ 02.2005 綾辻行人  ★★★★
 株式会社 講談社 09/2004 第三刷

 その厚みを見て読むのをためらってしまう私であったが、少しだけという感じで読め始めた。 最初の10ページでもう作品に取り込まれてしまった。 上下巻を一気に読みきってしまった私もまた、ダリアの呪いに取り込まれてしまったのだと思っている。
久しぶりに本格的な幻想物を読んだ気がして満足度が高い。


[No.4]
■ 臨場 ■ 02.2005 横山秀夫  ★★★★
 株式会社 光文社 05/2004 四刷

 やはり、この作者はおもしろい。 この短編集も一気に読み終えてしまったのであるが、警察内部の話であるのにハードボイルド作品のような「ワクワク感」がある。 検視官の倉石は格好よすぎで、まさに男のロマンを感じてしまう。


[No.3]
■ サウダージ ■ 02.2005 垣根涼介  ★★★
 文芸春秋 08/2004 第一刷

 ワイルド・ソウルが印象的だったので、期待して読んだ。 前半は、あまり好きでない感じの描写が多くて流れに乗り切れなかったが、後半はそんなことも忘れて一気に読みきってしまった。 最後まで緊張感が切れない盛り上げ方はさすがである。 でも、前作の方が私の好みから言うと好きなんだなあ。


[No.2]
■ 長恨歌 不夜城完結編 ■ 01.2005 馳星周  ★★★
 角川書店 11/2004 初版

 不夜城完結編と聞いたら当然読まずにはいられない。 馳星周の世界は健在で、一気に読み終わってしまった。 しかし、特徴的だったワイルドな描写がソフトタッチになりおとなしい文体への変化は、以前の溢れんばかりのエネルギーを感じながら読んだ作品に比べてパワーダウンを感じてしまった。 ラストシーンも盛り上がりに欠けてしまったが完結編ということで良しとしよう。 連続物はほんとうに難しい。


[No.1]
■ 愚か者死すべし ■ 01.2005 原ォ  ★★★★
 早川書房 11/2004 1刷

 久しぶりの原ォ作品は「新・沢崎シリーズ」と銘打ったもので、はたしてどうなっているか興味津々だった。
頑固な探偵である沢崎は健在で、洒落た文体は読んでいた楽しくなるところも以前と同じで安心した。 とても幸せな気分で読み進むことができて、当然文句なし!







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