2003年に読んだ本


[No.10]
■ クライマーズ・ハイ ■ 12.2003 横山秀夫  ★★★★
 早川書房 08/2003 初版

 ちょっと読むのに疲れていた横山秀夫だったが、この作品でまた新たな驚きを得ることできた。 主人公の心理描写、ストーリー展開、新聞記者経験を存分に生かした新聞社内部の様子など圧倒的な迫力で引っ張ってゆく力量は流石である。 休む時間も惜しく一気に読んでしまった。


[No.9]
■ 被告A ■ 11.2003 折原一  ★★★
 早川書房 09/2003 初版

 この作者が作る不思議な世界に迷い込むと抜けられない。 途中まではだらだらとした進行だが、どうしても最後に期待してしまうので我慢していたら、期待通り最後に鮮やかな展開を見せてくれた。 でも疲れた。


[No.8]
■ クラッシュ ■ 10.2003 馳星周 ★★
 徳間書店 08/2003

 この作者の世界にもとうとう飽きてきたと感じた。 最初は新鮮だった印象が、最近ではワンパターンの展開とかなり趣味の悪い描写に感じてしまう。 そろそろ読むのをやめる頃かもしれない。


[No.7]
■ 消されかけた男 ■ 08.2003 フリーマントル 稲葉明雄=訳 ★★★
 新潮文庫 昭和54年発行、05/2002 32版 「Charlie Muffin」 Brian Freemantle

 友人に借りた本を何気なく読み始めたが、とても面白い本だった。 シリーズの第一作ということなので少し続けて読もうと思う。 ヨーロッパの都市が舞台になっているのも楽しくて、英国諜報部員独特の雰囲気も味が出ている。


[No.6]
■ 真相 ■ 07.2003 横山秀夫  ★★★
 双葉社 06/2003 1版

 うーん、この作者ばかり連続で読みすぎたかもしれない。 短編の展開がいまひとつ新鮮に感じなくなってきた。 ストーリーの最後に期待する「衝撃感」と読み終えた後の「爽快感」がこの作品では得られなかった。


[No.5]
■ 第三の時効 ■ 06.2003 横山秀夫  ★★★
 集英社 02/2003 2版

 短編集であるが、この本の題名にもなっている「第三の時効」はラストの切れ味が鋭く、この作者の真骨頂というところ。 電車の中でこのラストを文字通り「ぞくぞくしながら」読んだ。 ただそれ以外の作品がつまらない、レベルが違いすぎる感じがした。


[No.4]
■ 深追い ■ 04.2003 横山秀夫  ★★★★
 実業之日本社 03/2003 9版

 短編集、スカッとした余韻が残る良い作品。 この作者の作品は相当高いレベルにあると再認識した。 洗練された語り口と無駄を省いた表現は、読んでいても非常に心地よい。 私の感性と共鳴しあう部分の多い作品であると思う。


[No.3]
■ 半落ち ■ 02.2003 横山秀夫  ★★★★
 講談社 12/2002 6版

 この読み終わった後の満足感はいったい何なのだ。 昨年度のミステリー小説ナンバーワンに輝いたこの作品はさすがに素晴らしく、まったく途切れない緊張感で圧倒しながら、最後の静かなクライマックスで幕を閉じたのであった。 良い作品を読み終えた直後の、この余韻がたまらないのだ。


[No.2]
■ ハルビン・カフェ ■ 01.2003 打海文三  ★★★★
 角川書店 04/2001 初版

 久しぶりに充実した気持ちになった。 周到に準備された複線が徐々につながってゆく構成が圧巻である。 視点がめまぐるしく変化し多くの登場人物を描写する独特の手法に最初は戸惑うが、力強い筆にどんどん引き込まれてゆく。 骨のある作品に拍手。


[No.1]
■ 池袋ウェストゲートパーク ■ 01.2003 石田衣良  ★★★★
 文芸春秋 07/2000 7刷

 最近私にとって馴染み深い街となってきた池袋を舞台とした小説。 赤(ルージュ)・黒(ノワール)という本を読んでこの作者には興味があったのでこのシリーズを読もうと思った。
池袋という街を生き生きと描写し、テンポ良く進むストーリーは気分が良い。






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