2001年に読んだ本


[No.19]
■ ミスティック・リバー ■ 12.2001 デニス・ルヘイン 加賀山卓朗=訳 ☆2☆
 早川書房 09/2001

 書店で見つけて、題名に引かれて読んだが「外れ」だった。 描写が独特で執拗過ぎるこの書き方は好きではない。


[No.18]
■ 闇先案内人 ■ 11.2001 大沢在昌 ☆4☆
 文芸春秋 09/2001

 作者渾身の作品と帯に書かれていたので期待して読んだ。 確かに力が入っており最後まで一気に読ませる。 途中からラストに向かって盛り上げてゆくなかで、難しいテーマを扱いながら緊張を切らさないのは流石である。 この作者のこの作風が好きなのだ。


[No.17]
■ 13階段 ■ 11.2001 高野和明 ☆3☆
 講談社 08/2001

 第47回江戸川乱歩章受賞作品。 まあおもしろかったが、独立した出来事を強引に結びつける展開には無理を感じてしまう。 まだまだ修行が足りないですねえ。


[No.16]
■ 鬼子母神 ■ 04.2001 安東能明 ☆2☆
 幻冬舎 02/2001

 第一回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。 最初から最後まで「黒い家」を思いながら読んでしまった。 はっきりいって怖いのひと言だ。


[No.15]
■ 赤・黒(ルージュ・ノワール)■ 04.2001 石田衣良 ☆4☆
 徳間書店 02/2001

 池袋は良く行く場所だけに、場面描写に親しみがあった。 文章は軽快で読んでいて小気味いい。 出だしからおもしろい小説の予感があったが裏切らずに最後まで一気に読ませるところは流石である。


[No.14]
■ 心では重すぎる ■ 03.2001 大沢在昌 ☆3☆
 文芸春秋 11/2000

 新宿ではなく渋谷を舞台に若者を描く作品。 描写がリアルで私にとってはとても新鮮。 主人公の思考の説明が少々くどいのが気になるが力作であることには違いない。 しかしこの750ページの本は「通勤で読むには厚すぎる」


[No.13]
■ ポップ1280 ■ 03.2001 ジム・トンプスン 三川基好=訳 ☆2☆
 扶桑社 1964

 30年前の小説らしい・・・
 おもしろい内容だけれども・・・
 趣味が合わない。


[No.11,12]
■ 陰陽寮 四 清明復活篇(上) ■ 03.2001 富樫倫太郎 ☆3☆
■ 陰陽寮 五 清明復活篇(下) ■ 03.2001 富樫倫太郎 ☆3☆
 徳間書店 01/2001

 特に目立つものがある訳ではないが、このシリーズは何故か読んでしまう。
 好きなジャンルなのだ。


[No.10]
■ 千里眼−運命の暗示 ■ 03.2001 松岡圭祐 ☆2☆
 小学館 01/2001

 この作者の軽い文章は東京−大阪間の新幹線でちょうど読める。 無茶苦茶な話の展開で大体内容も判っており意外性も全然ないが、何故か続編を読みたくなってしまう不思議な小説でもある。


[No.9]
■ 灰夜 ■ 03.2001 大沢在昌 ☆2☆
 光文社 02/2001

 人気シリーズ「新宿鮫」の第7弾だが、舞台が新宿を離れた設定となっており今ひとつの出来。 鮫島の魅力は新宿で最大限に発揮されることを思い知らされた気がした。 作者としても、パターンに変化をという意図があったと思うが次回作では新宿に戻った「鮫」を読みたいものだ。


[No.8]
■ 脳男 ■ 02.2001 首藤瓜於 ☆3☆
 講談社 09/2000

 本年度の江戸川乱歩賞受賞作品である。 確かに主人公の設定が奇抜でおもしろく最後まで緊張感が途切れることなく読ませるが、荒削りな表現力と相当無理な展開が気になった。 完成度はまだまだというところか。


[No.7]
■ 虹の谷の五月 ■ 02.2001 船戸与一 ☆4☆
 集英社 05/2000

 久しぶりの船戸与一を堪能した。 これは直木賞受賞作品であるが、その独特の雰囲気にどっぷりと浸かって一気に読んでしまった。 昔からこの作家は好きなのでほとんど読んでいるが、この作品は特に完成度が高いと思う。 休日の冬の夜に幸せな時間を持てたことに感謝しつつ、彼にはこれからも頑張って欲しいものだ。


[No.6]
■ 東京アンダーワールド ■ 01.2001 Robert Whiting 松井みどり=訳 ☆5☆
 角川書店 06/2000

 膨大なインタビューをベースにしたこの作品は、戦後の日本を独特のフォーカスで描いている。 とてもおもしろくて一気に読んでしまったが、ニコラの生涯は強烈に印象に残る。 日本の文化/慣習に関しずばりと言い切る作者の切れのよさが心地よい。


[No.5]
■ 動機 ■ 01.2001 横山秀夫 ☆4☆
 文芸春秋 10/2000

 久しぶりに完成度の高い短編集を読んだ充実感が残った。 いずれの作品もプロットが見事である。


[No.4]
■ 象と耳鳴り ■ 01.2001 恩田陸 ☆2☆
 祥伝社 11/2000

 元検事の関根多佳雄が鋭く推理する短編集。 作者独特の感性が主人公に良く出ていると思うが、それだけ。 この文章は緊張感がなくて眠くなる。 もっと気迫のある文章が好きだ。


[No.3]
■ 依存 ■ 01.2001 西澤保彦 ☆3☆
 幻冬社 07/2000

 「匠千秋シリーズ」という大学生主人公小説の5作目。 これが始めての西澤保彦だが読み終えてとても奇妙な気持ちになった。 登場人物が勝手な推論を出しながら延々と議論する形式で進む箇所はまどろっこしい、しかし現在進行形式で描かれる部分は妙に引き込まれる迫力がある。 不思議な感覚で読み進むうちに突然最終ページだった。 しかしこのシリーズの他の作品を読もうとは思わない。 とても疲れた。


[No.2]
■ 禿鷹の夜 ■ 01.2001 逢坂剛 ☆2☆
 文芸春秋 05/2000

 主人公の名前が禿富鷹秋(とくとみたかあき)で通称禿鷹(はげたか)という無茶苦茶な刑事という設定。 どうもこの設定が気に入らない。 こんな刑事に振り回されるヤクザなんて実際にはいないでしょう、無理なストーリー展開は勘弁して欲しい。 新宿鮫のほうがよほどリアリティがある。


[No.1]
■ 川の深さは ■ 01.2001 福井清畝 ☆4☆
 講談社 08/2000

 昨年この作者の「亡国のイージス」を読んで衝撃を受けただけにこの作品も期待して読んだのだが予想以上の作品でとても満足した。 完成度が高い作品ではあるが、読んでいて高村薫が描く主人公と新宿鮫の影をあちこちに感じてしまうのはどうしてだろうか?






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