01.6/13(水); 1; 開始と個室

虎穴に入らずんば個室得ず

9:50: 来院・大部屋が満室で個室になると言われ驚愕。当初20k円 /日と言われたが15k円 のに落ち着く。1・2日間なら話のタネにと承諾。

10:50: 個室空きまで町徘徊待ち
11:37: 入院開始。37.2℃
豪華。ビジネスホテル並み。
シャワートイレ・洗面洗髪台・空調・電話(****************)付き。目算3×6×3mの占有居住区で、こりゃ15k円だわ。これに慣れては大変だ。癖になる。デジカメ持ってくれば良かったなあ。

強化ガラス窓つきの出入口(引き戸)を開けるとまづ左手にこれまた引き戸つきの専用トイレがある。
シャワー洗浄・ビデ・暖房便座、ナースコール・手洗い・汚水排出量すべてタッチボタンのコントロウルパネル方式。自動照明。トレペ常に2器。東陶の apricotである。
自動照明だけは問題があって、便座にしゃがんで1分も動かずにいると消えてしまうのだ。本を読んでいられないのである。
大きく体を振るとセンサが動体感知して点くのであるが、ぼんやりできなくてせわしない。この節電機能だけは解除したいのだが、スイッチも説明書も全く見当たらないのだった。

出入口の正面はカーテンが引いてあって直接ベッドが見えないようになっている。トイレはカーテンの前にある。
ベッドに行き着く前にクローゼット(1人前)があり、ここまでが通路に当たる。ベッドの置いてあるスペイスを足してL字型の起居区になっているわけだ。

部屋全体の色調は、リノリウム床が茶で群青タイルの飛び石的進路表示、壁紙は白矢絣に下 1/4が木目調。カーテン・家具は薄緑・ベッドは白・テレビ黒。

ベッドはL字部屋の終端側が頭で、明らかに差額的。尤も80×180cmくらいか?狭く感じる。パラマウントのリクライニング自在ベッド。寝心地は、まだ寝転がってるだけだが悪くない。
酸素/吸引・コンセントの端子が壁に埋め込み。枕頭灯とナースコールも。

ベッドの右側(クローゼット側)に小机と洗面 /洗髪(シャワーヘッド引き出し式) /三面鏡台、そして電話台兼食器棚的小物入れが 並んでいる。電話は専用プリペイド カードで外線に掛けられ、この個室そのものの加入者番号なのだった。
小机はいかにもここにB5 PCを置けふうで目の前にコンセントと 40Wライト、しかも 椅子があるのだった。実にこのVISORとターガス キイボードを置くのにちょうど良いのだった。

ベッドの左側は枕頭台(4桁暗号施錠金庫内蔵)と、企業お歳暮カレンダ・ベランダ非常口・窓・テレビ台・造り付けの棚。とにかく厭に引き出しと収納戸が多い。

ベッドで起きあがった正面の壁にブーケの水彩画が額縁で飾られ、患者監視モニタアームが据え付けられている。

照明はベッド真上の蛍光灯のほか通路を照らす2器・足元に1器、壁ぐるりに車椅子高度の手すりが巡っている。
天井には72℃に反応するらしい火災探知機が2器・点滴などを下げるフックが3器。ベッドを取り巻くようなカーテンレイルはない。
エアコンはリモコンで患者が好きに設定できる。

この部屋の全ての電源コンセントを数えたら12あり、ベッドの電動操作と備え付けテレビとでふたつ塞がっているだけだった。尤も患者の私物電器は使用禁止の規定らしい。

テレビはプリペイドカード式の東芝14型。

食事についてはまた明日。

16時頃気管支鏡が明後日に延びたと聞く。むっ、明日1日無駄に 15k円は高いぞ。

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01.6/14(木); 2; 400kcalの空腹

空腹から愛国へ

1:30ごろ目が冷めて小便と喀痰。
ここにおいてVISOR Platinumの時計が 10分も進んでいることに気づきラジオ時報から概算修正。

個室は12階で窓から********と************が見えるが眺望イマイチ。夜景も感嘆するほどでなし。

看護婦さんがみな防感マスクをして入ってくるのであまり面白くない。VIP待遇のためか猫撫で声傾向。
部屋清掃員も丁寧度たかい気がする。

10時のネブライザ1時間以上遅れ。おれの薬がスタンバられてなかったので待っていたのである。ネブの準備がいつも遅いなあと思ったら実は…。
ネブライザ終わったら自分で器具を水洗いして蓋付き消毒槽に漬けておくのだった。くそ聞いてなかったから今まで放置してたぞ。どうもネブの準備が悪いなぁと思ってたのだ。
マウスピースの部分も付けたままおれは放ったらかしにしていたのであるが、よもや誰かと間接キス状態だったのではあるまいな。

ステロイドを高単位 (125mL/回?)で注入している関係でダイエットが厳命されている。とても太りやすくなるそうだ。
給食が1600kcalと、前回入院時の2000kcalよりも減らされている。常に空腹状態であるが、糖尿病を誘発しかねないから敢えて間食もせずに堪えている。飲料もブラックコーヒかお茶である。そのせいか給食がすんごくうまいのだった。

おれは好きなものをドカ喰いする傾向があるとは言え決して大食ではない。吉牛だっていつも「並と味噌汁」か「牛鮭」のどちらかである。それでもご飯が茶碗に軽く1杯でぜんぜん物足りないのである。コンビニ弁当の類なら面倒がって捨ててしまうおかずさえ丹念に摘んで食べている。残したのは唯一トマトサラダのトマトの実だけでなのだ。それでも次に出てきたら嚥下に努めるかもしれない(努めろよ)。

いやー、ごはんおいしい。

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01.6/15(金); 3; 気管支鏡

今朝は怒風はげしうして小砂眼入す。それはそれは気管支鏡でございます。

VISOR+TARGUSキイボード+ATOKが予想以上に快適。これならThinkPad不要ではないか。
今いちばん恐ろしいのはバックアップなしにこれを書いていて、VISORクラッシュにより入院記録が飛んでしまうことである。入院すると決めたときよっぽど TP s30買うたろかいなと思い電磁波漏洩を慮して止めたが、Handspringモジュールのバックアッパは考えるべきだった。
10:59:
呼吸器科******婦長がご挨拶に見える。若い。
3年前の入院時も部屋が空いてないと言っておれは消化器科の大部屋に2箇月も居たのであるが、その頃からおれをご存知らしい。
今日(01.6/15)午後から4人部屋が空いて移れるそうである。こう聞くと個室に15k円はらってても良いかなぁという気になる。

正午前になって気管支鏡検査が本日3組の最後(夕方)になったと聞かされる。何でえぜんぜん緊急度ひくいんぢゃん。しかも昼食抜きは変わらず。

テレビ詰まらず。
『『2001年宇宙の旅』講義』完読。

大部屋が空いたそうだが、せっかくなので気管支鏡の処置後安静時間帯(2hr)までは個室に居ることにする。麻酔が切れて食事や歩行が可能になったら自分で荷物を移動させ、引っ越せばよい。

15時前に処置室が空いた様子で、おれの番になった。ストレッチャに乗ってお尻に注射をされて……病室に帰ってくるまでは今までと同じ。
今回は病院側のギャラリィが多く、インターンみたいな若いのも居る(喉麻酔誘導がヘタくそ)。
術中のおれの意識が妙にはっきりしており、施術者たちが気管支鏡のカメラ映像やマジックハンド操作・患部状況をあれこれ言うのが実に良く聞こえる(尤も用語や会話内容が理解できない)。「だいぶ見えてきましたねえ」「今日はこれまでにしましょう」などとも言っており、おれは「止めんととことん行かんかい」とココロで突っ込む。何だかたいへん進捗のあった術式と(おれには)感ぜられたものであったよ。

気管支鏡挿入が何時に始まって何時に終わったのかは、おれが時計を確認するわけにも行かず、さすがに解らない。ただ18時には終わっていたはずである。1F処置室前で既に尿意が満ちており、12Fに運ばれてまづ溲瓶排尿させてもらった。

驚いたことにおれの留守中に大部屋引っ越しがおこなわれてしまっており――手荷物も移されていた――帰ってきたのは4人部屋。

点滴と鼻酸素は継続、ベッドに起きあがるのはOKで、 溲瓶も置いてもらう。1時間くらいうとうとしてまた溲瓶に排尿。

19時頃点滴終了。37.2℃。
紙コップでうがいと嚥下テストをし、Dル ームで夕飯(鰯お重。かぼちゃ煮。きうり酢物)。
総じておれの安静度は低く見積もられておるようで――安静にしていないと病状に障るといった扱いを受けていない――何度もやった気管支鏡検査のうち最も放任度たかしであるよ。

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01.6/16(土); 4; 納豆のこす

納豆、任そ。

大部屋での入院生活。4人部屋だが帰宅中か外は1名。

******さんにVISOR入力システムを感心される。PDAには興味なかったそう。

朝食に納豆、残す。
昼食の烏賊天のこす。非可食物の漸減を目指そう。
常に空腹で体重は減少中(0.5kg/回)。

日本の話芸『たばこの火』文枝。
ネブライザの間は小松左京Mag(1)かニーヴン『中性子星』。

微熱つづく。気分は悪くない。アアンと咳払いをひとつするとひとつ堅い痰が採れる感じ。空の咳ではダメで、やはり沸き上がってくるものに限る。

B2売店が土曜13時まで・日曜休みという商売っ気のなさに改めて驚愕。テレビ用イヤフォン入手しそびれる。

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01.6/17(日); 5; 悪夢

鉄腕悪夢。

「ラジオ深夜便」は 24時頃の予告を聞くと今輔らしいのでパス。ロヒプノール飲んで寝る。
『所さんの目がテン!』アメンボ。

VISORの電池残量警告が昨夜から出始め、ケチらず交換。 HotSyncしてから抜き差ししたいが叶わないので強行する。
Webも見たいし、水曜日辺りで外出許可を申請してみたい。
**********さんもVISORに関心。

『nash bridges』DonutKing
『なんでも鑑定団』大クワガタ

食餌量の割には大便な感じ。しかし68.7kgもある。減らんものだな。
それより体温が37.7℃。TV疲れ? 意識するせいか頭痛も感じなくはない。

30分・1hr単位で微睡む。必ず夢を見ており、夢は必ず夢の中で大音響を伴って破れている。配管工事のさなか・都市喧噪・歌劇のフィナーレ・ビル崩壊事故などなどのイメイジ断片。おれ自身絶叫しているのではないかと気も漫ろ。

大部屋が空いてないと言われて無為に個室に入れられ、気管支鏡を入れて人事不肖になったら大部屋に移されたというのに、その大部屋の内のふたりはずっと外泊しており、おれは一瞥もしていないのである。何だかなあ。空いてない時ぁ空いてないし空いてる時は空いてるのか。

対角線上のおれと同年輩ふうのヒトとも挨拶ていどで会話はしない。Palm系PDAを知らず、昔ザウルスを使ってみたことがあるけどすぐ液晶を壊したそうである。全く外廻りをしないヒトだろう。
あっそう言えばここは****の病院なのであって、おれがここに居るほうがおかしいのだ。

午後つうか夜の点滴。あいにく眼鏡を外していたのでお顔が見えなかったのであるが、看護婦さんは4月に検査入院した際オリエンテイリングしてくださった、安達祐実と同じタイプのスタンドを持っておられる方だろう。もう辞めてしまわれたのかしらと気になっていたのだ。

小松左京マガジン創刊号読破。
「真打競演」完全に忘れてた。

01.6/17悪夢
宙航種族がおれのベッドの周りを徘徊。自分らのゲイト待ち・出港準備で右往左往の大喧噪。悪意を感じないとは言えない。まづどこに寝かされているのか解らず恐怖。おれはクスリで身動きができない。やがて****病院のベッドに寝ていることが知れたがエイリアン連中が歩き回っていることに変わりはない。何故。本気でナースコールを押そうとしたが、筋肉電位0で胎児ポウズのまま一指も動けず。
****病院だな→地球だな→夢だな→動けるはずだな→と意識レベルの調整と再統合を経たらようやく筋骨の制御権を取り戻せた感じ。
あのままおれは意識が還ってこれてなかったかもしれぬ。現在日常服薬の何が誘因・原因なのか見当も付かず。
午後来の瞬眠夢・不安感との連動も不明瞭。経過観察してみたい。
22:40くらいに劇的緊縛解除。頭痛薬もらうべき?
『中性子星』のせいか? こういうテーマの夢/悪夢/妖夢は初めて。怖かったなあ。


「ガキの使い」音声のみ。 頭痛あり。

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01.6/18(月); 6; クーリング重要

クーリング所に住む所

月曜日になった途端ふたり大部屋に帰ってきやがる。 阿呆か。

おれはいわゆるパジャマを持ってないし病院でそんなのを着たら入院患者みたいなのでぜったい着たくないのであるが、皆さん抵抗ないのか。おれより若そうな――っても30代だろうが――ヒトもパジャマを着ているのだ。辛気くさいなあ。
おれはコンビニに気楽に入れるくらいの半袖シャツに短パンである。 デパートにさえ居なくもない程度。

日常生活においてわざわざ寝間着に着替えてから寝るなんてことがないもんんなあ。
ウチの外に出るかどうかだよね、着替えるのは。そこで「ごみ出し」「コンビニ」「繁華街」…とグレイドが違うのだけれど。
ほぼ裸で居たときに宅配便が来たりしたら大抵すぐ傍に脱ぎ捨ててある「ごみ出し」か「コンビニ」を羽織って出ると。

外の入院患者さんはカクシャクとした印象の方が多く、食事の姿も見苦しくないん。以前おれが起居した消化器内科よりは高齢層だから世代的なものかもしれない。

会釈をし「はよざいます」と言い「お先に」と言えば済む。

微熱下がらず37.5〜37.7℃を維持している。病院給食以外クチにしていないからだったりしち。頭痛なし・発熱感あり。肺がちりちりと痛いと言えば痛いと言えなくもないと言った陰影感。
このままでは外出許可が下りまい。明日の主観的体調によって自主中止・粉飾体温を決定しよう。

水不足かな。ポカリ型の水はどんどん飲むべき? 無糖の缶コーヒだけを自分に許しているのだが。

給食以外を戒めているのは病院管理ダイエットの効果を知りたいからである。しかしまだ69kgもあるのだ。もっとすっと水分が抜けて66kgとかになるのかと思った。

今日になって大部屋に帰ってきたおれの向かいのヒトは午後気管支鏡を入れるのでおれ同様出ていったが何故かベッドはリセットされて別のヒトが新規に入院してきたのだった。
上は「死んでしまった」などというようなことを婉曲に言わんとするものでなく、事実の列挙である。

おれが大部屋に編入されたときに既に居た対角線のヒトは、いちど退院して胸部外科に入院し直すらしい(ここは呼吸器「内科」なのだ)。肺を半分切除といった大がかりなオペの様子。

おれの右隣のヒトは正体不明である。不明で一向に構わんが。


衝撃である。諸君、頭は冷やすものなのだ。
風邪などで発熱が続いた場合、おれは自然放熱→解熱剤→強制放熱の順に処置するのが道理と思っていたのだ。放っておいても治らないならクスリを遣って体内から熱を下げなお効かなければ仕方がないから頭皮から物理的に放熱させるというステップである。
ところが看護婦さんに伺うと、37℃台も前半なら放置して良いが、クスリを遣う前にまづ氷枕で冷やすべきなのだそうである。どーん。
強制クーリング、重要。

「はっはっは。病気で熱のある頭をまさか氷で冷やそうなどとは。まったく野蛮人の発恵には教えられるぢゃないか。そうぢゃないか諸君」

ラジオ名人寄席『しわい屋』

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01.6/19(火); 7; 間の悪い外出

あ外出星のシャア。帰還は遅い。

それにしてもVISOR+TARGUSキイボード+ATOKの快適さはどうか。衝撃的である。
病院日誌を残しておきたくて、よほどTP s30がWinMEなのも我慢して買い込んだろかいと思ってたのよ。もしこれだけの分量を書こうとしてV+T+Aが遣いものになってなければ、即攻外出のうえ******ピーカンに行っているところだ。
乾電池 Palm+折り畳みKB+再変換ATOKあまりに重要。

要件は…
1. 乾電池駆動:病院の電源を盗む後ろめたさがない。補給が容易。
2. 完全静粛性:冷却ファン・HDDなどの機械音は疎か液晶・CPUの発振音さえしない。まったき無音。ターガスのキイトップを打鍵する、シャッと鳴る音だけ(せこ時計の秒針より静か)。
3. バックライト:消灯後の執筆でも周囲に明かりが漏れない。
4. 起動時間0:電源ONから即入力可能。これからすればPCのレジューム復帰は永劫の時間のよう。
5. 輻射ノイズ/電磁波をまき散らす後ろめたさが少ない。

上記2.と3.が如何に重要かは入院してみれば解る。深夜隣のベッドのヒトを起こすことなく行動できることが重要なのだ。B5・A5のPCでは不可能である。WinCE機やザウルスは静かか?眩しくないか? 電池は持つか?
5.は「心臓ペイスメイカその他の医療用器具に悪影響…」のハナシね。PCや移動電話を持ち込んで使うのはやはり勇気が要るよ。

あー、それにね、このガジェットは看護婦さんのウケが良いのだ。


日中外出。
往復3時間でウチに3.5hr居られると踏んで11時半から18時でまぁ良いか、と思ったらちと厳しかった。家賃・昼飯・本屋で13時半まで******に居りVISORのバックアップモジュール物色で********に寄り、ウチに着いたのは15時だったのだ。
もうくたくた。

帰院時刻を考えると1時間半しかない。とにかく洗濯開始。右手の点滴チューブ開口を濡らさないようかばいつつ全裸で洗髪。HotSync。それからvaio録画状況チェックとweb巡回に掛かる。くだらないDMが電子物理とわず来ているのは全て無視である。

HagiwaraFlashModuleの試し刺し。

慌ただしく着替えをパッキングして帰院。と言っても17時近いからもはや遅刻確定である。
ウチを出てしまってから最大の失策に気づく。洗濯した下着を乾燥機に掛けるの忘れたっ。

******線のラッシュに揉まれて********着が18時10分。病棟に遅刻の電話を入れて――ここで連絡したって着いているも同然だが――病室に帰ったのが18時18分。あっ何と言うことだ、******さんの名刺とお見舞いが置いてあるではないか。18時まで居られた様子に、己の間の悪さを呪う。
直ちにケータイに掛け、留守Msgにお詫びを入れておいた。

ラジオ名人寄席『皿屋敷』小南

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01.6/20(水); 8; ハギワラFlashModule

フラシュの手帳

対角線のヒトが昨日のおれの外出中に退院し、新しく若いヒトが入っていた。ロンブータイプ。学生ぽい。病状を推測できないが、即入で外出禁止の様子。咳が多い。

対面の爺ちゃんは酸素ボンベ常携・自由歩行に支障。ちょうど共用洗面台の隣のベッドで、水道をほぼ独占である。共用備品を優先利用させてもらっているという自覚はあるがきれいに使おうという気のないのが難。しょっちゅうヴォイス レコーダに何やら吹き込んでいるのが不気味愉快(おれのVISOR日誌と同じか)。テレビ・ラジオを極小音でもスピーカで鳴らすのが戴けない。

右隣のヒトは坊主に近い短髪・中年プロレスラーふう。おれの起きている限り何時でもテレビ(イヤフォン)が点いている。Dルームに寄りつかず毎食自分の枕頭で食う程度に他人嫌いと見た。外出・外泊ばかりで何のための入院だか解らない。

上記3人とも――そして言うまでもなくおれも――世間話に興じるタイプではない。傍寂無人な非常識人でもない。他者を意識して居、なるべくなら放っておくという方針である。このタイプが揃っているなら大部屋に居るのは悪くないのであった。


入院してからの長文はもちろん昨日のHotSyncでPCに上げた。けどHotSyncがままならぬ入院生活な以上バックアップの道を付けておくにしくはない。PCで言うところのRemovable HDD増設である。
つうわけで「外出」を利用して初のHandspringModuleを買うことにした。それも外出してまづPalm雑誌を買い、そこで紹介されている中で当たりを付け、********のピーカンにあるブツを買う。「ブツつけ本番」である。

ここで将来有望な「記録媒体」は何かという深遠なテーマが顔を覗かせるのであるが、これは決着が着かんのだ。着くなら深遠なテーマにならんのだ。

VISORだとつい最近スマートメディアにアクセスするの(MemPlug)が出ている。実勢8000円くらいでそんなに高くないね。でもおれはスマメデあんまり気が進まないのだ。スマメデ黎明期の5V/3.3V問題に呆れ返り、こいつらが作るモノぜんぶ阿呆とインプリンティングされてもうたからである。

んでまぁ単純に、VISORユーザ必携と言われているフラッシュメモリーモジュールにする。
8MBと16MBとあり、乱暴に言って1k円/MB。掬いたいのはひとまづ日誌データなので8MBで充分だろう。満場一致で(おれが満場なんだが)ハギワラシスコムの「8MB Flash Module」と決まった。幸い在庫のあるうち最廉価の物だった。
幸か不幸かスマメデのんは現物展示さえなかったよ。

FlashModuleはほんとに刺すだけで使え、『FileMover』のインストールと初回のModule初期化(FATらしい)とを自動でやったあと「内部:1.5MBフリー モジュール:7.8MBフリー」などと言って澄ましている。
ファイル一覧を吟味するのが面倒臭く、そもそもバックアップが目的であるから内部(VISOR本体のコト)の「データ」ファイルを「すべて選択」して「コピー」した(勿論「アプリ」も退避できる)。

しかしここで問題が見つかったん。
TinySheetである。Moduleのほうにそのデイタファイルが存在していると、VISORで起動しただけで「致命的エラー」を起こしてしまうのだ。同名のファイルがVISORとModuleの両方にあるのがいかんのかと思って「移動」してもみたのだが、TinySheetのデイタファイルがModuleにあるというだけでダメなようである。Module内のTinySheetデイタを全て削除すれば問題なく立ち上がる。勿論Moduleを取り外しておけば全く関係がない。

TinySheetのデイタをバックアップできんのはちと大きな問題だ(バックアップしたデイタを持つModuleを背負わせたまま使う場合に)。ただ既知の障害という気はするね。もうBugFix版が出ているかもしれない。次の機会に検索してみよう。
具体的にはこういうMsgBoxが出る。

[致命的なエラー]
「MemoryMgr.c, Line:4390,
致命的なエラーが発生しました。」

このMsgBoxには[リセット]のボタンが表示されるが実際にはタップしても何も起きず、電源スイッチを含め全てのハードボタンが反応しない。VISOR裏のソフトリセット孔をつついて屈辱のリブートである。

さてTinySheet以外のデイタファイルをすべて「コピー」してみると、「内部:1.5MBフリー モジュール:2.9MBフリー」となった。結構あるなあ。

容量の大半はATOK関係である。シカシATOKは外せない。ATOK標準搭載のPalm機はもう6MB ATOKにくれてやるつもりでメモリ増設したハードを出すべきと思うがどうか。

ラジオ名人寄席:ちゃっきり娘
松本紳助:ちんこと芸名

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01.6/21(木); 9; 点滴はずし

贅沢な点滴だ。

日が暮れると微熱が出る感じ。大変おもしろくない。

アルカリ乾電池の消耗がけっこう激しく、数日しか持たない状態。
ってもそりゃあキイボードとバックライトのせいで、取り分けバックライトだろう。消灯後の日誌書きは控えよう。
病院の売店にもアルカリ電池くらい置いてあるから電池切れでお手上げになる心配はないが、単四2本が280円もする。しかも東芝「アルカリ1」である。
どうせ売店にあるしーと思って19日の外出では電池の確保を怠ったのだ。10本パック20本パックを買って持ち込んでおくべきだった。当日の失策のひとつ。

それから割り箸不足の問題。これまた病院の売店にあってしかるべきであるが、最悪のタイミングで切らしていやがるのだ。日用の塗り箸はあるんだけどね、おれは洗って再利用するの厭だからウチでも割り箸なの。
どうせ売店にあるしーと思って19日の外出では割り箸の確保を怠ったのだ。10膳パック20膳パックを買って持ち込んでおくべきだった。これまた当日の失策のひとつ。

当日最大の失策は、洗濯したシャツとパンツを乾燥機に掛けるのを忘れて脱水したなりにしてきたことなんだけどね。
今頃それこそ黴が湧いてるかもね。

週刊モーニング(01.7/5)
古書狩り|横田順弥|ちくま文庫

TVブロスと言うより『遠くへ行きたい』の確保、上述の乾電池不足・箸不足を解消すべくプチ外出。
15〜17時で出したが5分で済む買い物である。最初の本屋で起立性貧血を起こしかけ、ちょっとショック。50分ほどで帰院する。
電池だけは20本パック1000円を入手。富士通のだけど50円/本ならね。もっと 欲しかったに1パックしか残ってなかったん。

本屋で万札を崩すのにブロスだけでは何なんで――何なんだ――つい『古書狩り』も付けてしまう。付けても 1000円にならないが。
文庫の『パタリロ!』に28・29巻が出ていて疼いたけれど、退院時荷物軽量化のため不買。これはいつでも入手容易だからな。

入院以来右手首から5cmほどの所に刺しっぱなしだった点滴用チューブが抜かれた。気管支鏡を入れた後はもう点滴にステロイドは入ってなかったようで、日に2回のそれは抗生物質の注入だけだったらしい。この辺(成分の変更)の説明は聞いてないなあ。

20年前に気胸で入院した頃は点滴の度に注射針を刺しており、おれの両肘の、通常血管注射を打つ部位はタコのように盛り上がり固くなっていた。

いつ発明されたのかは知らないが、今では血管内に針を留め置いて、外に出したチューブをガムテで腕に貼り付けておくようになっている。1度刺したらもう抜かないのだ。30cmくらいのそのチューブにはバルブが付いており、毎度の点滴パックはそのバルブに接続するのである。点滴が終わるとパックを外して注射器で凝固防止剤を注入し、バルブを閉めるん。そしてチューブを適当に蜷局に巻き、上から包帯をぐるぐると巻いて固定しておしまい。
普段から刺しっぱなしなので肘のような可動部でなく、腕時計をはめるような部位に打つわけね。
凝固防止剤を入れるときに冷た〜い感じがする以外は全く無感覚で居られる。濡らさないよう意識していれば――ちょうど非防水の時計のように――家事もこなせる。

先の外出ではチューブが右腕に突き刺さったままだったわけである。厳重に固定して包帯を巻いてもらっているからラッシュでヒトの腹に触れているくらいまでは何でもない(と思う)。
でもシャツの袖からちらっと包帯や医療テイピングが覗くのはともかく一部チューブが露出して血が通っているのが見えるとなるとコンビニでお釣りを貰う手としては如何なものか[写真010621; 44KB]。

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01.6/22(金); 10; Jack-in画策

延期ー北京

昨日までの『予定表+』の「日誌」を『メモ帳』にコピイ。『予+』内で往来するより『メモ帳』間を遷移するほうが動きやすい。
Palmのメモ帳は4KB/ファイル制限があるけど、そんなには書かない。

******さんと******さんにtelして退院延期の可能性大を告げる。月曜日(01.6/25)にまた気管支鏡を入れてみるので、もう2週間の年休の約束を守れそうもないからだ。
取りあえず火曜日に(気管支鏡のダメイジから回復しているであろう)おれから仕事場にtelして、当座の仕事の方針を探ることにさせていただいた。

おれ的課題としてにわかに浮上してきたのが外界とのコンタクトである。
email乃至web(掲示板)を使いたい。が、もちろん院内のケータイ・PHSは御法度であるから――医者と看護婦はPHSで連絡とりまくりであるがそれはやはり業務仕様というものであろう――有線でつながりたい。となるとモデムで灰色公衆電話からジャックインするしかなかろう。灰色公衆電話は院内にもたんとある。

VISORのSpringBoardに刺さるモデムはあるようだ(ザーコムのSpringPortModem56)。ただおれネットに接続するのって何となーくVisorPhoneみたいなのが出てきたらと考えてて、VISOR本体にブラウザもメイラもインストールしてないのよ。本気でemail落としたらメモリすぐなくなっちゃうだろうし(ここでFlashModuleを16MBにしとかんからだと言うのは鬼である)。
モデムを買ってメイラを入れてホントに上記の方法でジャックインできるのか確認するなんてことをするには長時間自宅にこもらないといけない。つまりまた長時間の「外出」をしないといけない。

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01.6/23(土); 11; 頭痛で外出中止

頭痛がフォー ←「九九を英語でツツーがフォーと言う」という談志のギャグ

夕べは発熱部隊がおれの作戦を無視して38℃線を突破してしまい、けさ起きたら猛烈な頭痛で37℃。こめかみの少し前を左から右に鉄の棒が貫通しているような痛み。

普段ならこんなに痛くなる前(夕べの内)にイヴAの類を飲んでしまうのだが、病院だとかえってクスリに不自由するのだった。

とにかく頭痛が第一で吐き気がし、悪寒が手伝って食欲もない。入院以来はじめて朝食をほとんど残してしまった。あれだけ腹へったと文句を言っているのにである。
いやもうまったくいっそのこと入院したい気分だ。

外出は早々にあきらめ、苦痛を我慢して寝ているしかないので胎児のポウズで眠り、朝のネブライザに40分も遅刻し、頭痛のピークが過ぎた気のするころ頭痛薬(PL)が貰えて飲んでみた。

日本の話芸『幾代餅』円菊

食欲は回復しつつあり、昼食の焼そばは大部屋に運んでもらって食べられた。副食のひじき酢の物はパス。

14時のネブライザまで眠り、20分寝過ごす。頭痛がだいぶ去った。37.1℃。

1週間前に気管支鏡を入れて観察とBALをやり暫く続いていた抗生物質の点滴もステロイドの投与も止めて、今はこのたびの入院騒動以前の服薬状況に戻っている。だのにこうした微熱少年なのは何故。シュワルナゼ。
あ、ウチと違うのはネブライザだな。してみるとネブライザことにファンギゾンの吸入が怪しいん。

今回の入院までの経緯はこうだったのだ。
去年の11月頃に血液検査の成績が悪くなりはじめ、隔月くらいにレントゲンを撮るとだんだん影が濃く広くなってきておると。要するに再発しつつあると。で、4月に検査入院(2泊)して気管支鏡で診てジツによろしくないと。この辺りでお医者は入院をほのめかしている。
でもおれはぜんぜん調子わるくないので――「調子の良い」状態がどんな気分であったかはとうに忘れてしまって健康であったかと言うと心もとなにのであるが日常生活に何等さしつかえなく体調不良で仕事を休みたいとも思わない――ステロイドを少し増やして様子見。
で1箇月たっても血液検査の数字とレントゲンが改善されないので入院するよう言われたがおれの主観的体調は悪くないので拒否、外来でステロイドを数日間高単位に点滴してみると。
3年前に真菌症で2箇月入院したときは――その入院で真菌症とおれの診断が付いた――ステロイドが教科書どおり劇的に効いており、これやって効果が表れないようなら外来で何かできるレヴェルではないということである。

結果、効果が表れなかったと。

ステロイドは作用も副作用も強力なのであるが、副作用のほうを監視・制御するために入院が必要なのだと考えれば良い。
副作用でびびるのは結核と糖尿、そして脳卒中である。これらは副作用により誘発されやすくなるということであって、直結して発症するわけではないよ。より直接的には免疫低下と肥満、筋力低下であろう。蛋白質(筋や血管)が脂肪に置き変わっていくから、例えばトイレでしゃがんだら立てなくなったということも起こり得る。同様に出血しやすくなって卒中のリスクが俄然たかまるわけである。

おれが一番びびったのは脳卒中である。シカシ脳卒中のリスクのハナシは3年前から外来でのステロイド点滴までの間に出てこなかったぞ。

NHK特番漫才。萩本欽一:aiBoネタあり。中川家「理想の家庭」初見だが意外にも○。海砂利水魚「タイムマシン」全編中川家の勝ち。昭和のいるこいる「21世紀の家」並みの出来。素人出すな。トミーズ:床屋ネタ、並みの出来。素人出すな。小松政夫親子:「これはねお父さんの過去の栄光なんだよ」に爆笑する。爆笑問題:爆笑としてはやや不出来。いとこい:「宇宙旅行」あのですね、放送局は録画したのをもう絶対に消さないようにね、伏してお願いしますよ。ダイラケの映像の残ってないのがどんなに悔やまれていることか。
おれはこの特番を録画できていない。今日ウチに帰れてたら一応vaioに入れておいたはずだ。仕方のないことであるが悔やまれる。中川家・爆笑・いとこいを保存したことだろう。

ラジオ深夜便「演芸特選」は志ん生の『幾代餅』と『千早ぶる』。既聴であり、今夜必聴ではないと判った0時過ぎにロヒプノールを飲む。それまで昼寝と熱感のせいで寝付かんかったのだ。もう1時間起きていたら聴くモウドに入る。

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01.6/24(日); 12; 39℃の血液

ファン気はゾン気。

0:50 催眠剤ききそうもうなく、悪寒と発熱(38.5℃)でたまらずナースコールボタンを使う。ひとまづ氷枕を外して代わりに湯たんぽを抱かせてもらった。おれ的には何か薬物を注入してくれよなのだが、前述のように人体と人体外部の熱傾斜を利用して体温調整することが基本なのだった。

2;50 目覚め。背中発汗だが日頃の水分不足か物足りない。38.7℃。悪寒はないけど頭痛が少し。熱感はたっぷり。小便してくる。

6時の起床時刻で38.0℃。下がったとは言え普段は36.3℃が相場だ。頭痛あり、PLをおねだりして飲む。

所さんの目がテン!「クルマエビ」牛肉くうの怖くなりますなあ。
『中性子星』読破

ネブライザでやっていたファンギゾンの吸入が中止になった。先日からの発熱に関係ありそうだ。おれの推測因果とも合致する。
ファンギゾンは確かカンジダ黴を殺す薬品である。3年前は口腔内の黴を殺すのにうがい薬として遣っていた。
ファンギゾン中止による発熱抑止のトレイドオフについては考えたくないので考えないことにする。

nash bridges「二重強盗」
なんでも鑑定団

ファンギゾン止めても38℃。関係ないか。

さておれの病は実は単純なコトであって、左肺の「舌区」と呼ばれる小袋にアスペルギルスが一大帝国を築いているというものである。
舌区へ至る葉気管支は内側に肥大して狭まっており、ワインのコルク栓のように膿が詰まっている。舌区へはステロイドや抗生物質や生来の免疫機構の攻撃が続けられアスペルギルズの死屍累累なのであるが、痰となって排出されるべき葉気管支が塞がれているが故にいつまでも舌区がきれいにならないわけである。
だから治療としては葉気管支の栓を抜いてやること。後は舌区の膿が痰となって排泄されるのを待つばかり、なのだった。栓を抜くのが気管支鏡のマジックハンドね。

3年前の入院でやったのが最終的にはステロイド攻撃によるアスペルギルスのセン滅と栓抜きである。今回もそれを踏襲したのだが……。どうもステロイドが効かなかったふうなのだった。外来として使うには危険なほどの量(先述のとおりステロイドはハイリスク・ハイリタン)を点滴投入したのに成果が上がらなかったわけである。それでもう入院治療ということになっておれはこうしてパラマウントベッドに座ってVISORとTARGUSキイボードとATOKに感動しておるのであった。

しかしながら入院する前より入院した後のほうが明らかに体調が悪いぞ。時系列の問題で入院しなくてもこうなってたのか本当かあなたどう思うか。

発熱がいよいよ39℃を突破。血中の細菌を調べるというので39℃現在の血液を20cc採取される。サルモネラ菌でも居たらサル血中!であっておれの人生GameOverかも。

坐薬の解熱剤入れるかと前から問われていたのであるが、おれは自分で坐薬を挿入したことがないのである。もちろん看護婦さんに頼めば職業的梅安的にズリュブッと効果音つきで入れてくれるのであるが、まぁ何つうかおれにも色気というものが(残って)ある。
最初代用の内服薬を所望したのであるが却下、どういう宇宙の真理であるか坐薬でないと「絶対に」ダメなんだそうだ。

しようがないから挑戦してみ、失敗したら看護婦さんにズリュブッとやってもらおう。
貰ったのは「ANHIBA 200mg」というゴルゴ特注弾丸みたいな坐薬と使い捨て手袋片手分・ワセリンの壷。手袋をして坐薬の先端にワセリンを塗って人差し指の第2関節くらいまで気合いで入れればよいそうである。
ベッドの上でやって粗相があるといけないから、一応トイレにこもって直腸に居そうなのを絞り出す努力をしてからだ。
手袋をはめて坐薬のパケイジを半分剥き、手袋の薬指でワセリンを塗りたくり、さて坐薬を取り出したら滑るのなんのって坐薬自体の表面が半分融解済み潤滑状態なのである。かてて加えておれはおれの肛門がどこにあるのかしっかり把握していない事実に産まれて初めて気が付いた。あなたおれの肛門を知っているか。
非常なギョウ幸が働いたのだと思うがおれは遂におれの肛門を捜し当て、おれの人差し指の訪問を許してくれたのであた。やでうでしや。しかしとても第2関節までは挿入する勇気がなく、第1関節でびびって撤退したのであった。
あっと言う間に排便してすべてが水泡に帰すことも覚悟していたのであるが幸い収まったままのようである。坐薬を中心に異様な熱気が直腸から周辺組織に広がっていくのが感ぜられるがこれは正しいのか。シェリーおれは間違ってないかい。

「ガキの使い」完全に忘れていた。

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01.6/25(月); 13; 気管支鏡ふたたび

[花嫁入用]
・経験不問
・30代厚遇
・連れ子可・ただし17歳男子不可
・連れペット不可・ただしロボット可
・まじめな方
・委細応談

坐薬の薬効は認めるが、溶けて流れりゃ皆おなじであって今朝はやくも37℃は突破しているのであった。

3年前セン滅したはずのアスペルギルス帝国が復興したことについては、そんなには不思議でない。アスペルギルスそのものはそこら中の空気に漂っている麹黴のひとつだからだ。杉花粉症が治らないのと同じで、おれのアスペルギルスに対するアレルギーはもう獲得してしまった終生のものなのだ。

問題なのは詰まりやすい舌区の葉気管支である。前回の入院から今回までは3年もったが、今回を切り抜けて次はいつかは判らないのである(どうも医者の言質では3年もったのは奇跡的なのではないかと推察される。おれの超人的な節制を賞賛すべきであろう)。ただ繰り返し起こるであろうコトは想像に難くない。

と言うわけで医者としてはおれの舌区をすっぱり切除してしまいたいようである。アスペルギルス帝国の領土そのものを摘出してしまえと言うのだ。
おれは悪くなる度に気管支鏡を入れて栓抜きと洗浄すれば済むなら、例えば3年に2週間なら安いものだと思うのがどうか。舌区の切除となると呼吸器としての能力低下は必須であるし、帝国を失ったアスペルギルスがどういう挙に出るか、ちょっと不確定に過ぎると思うのだ。

これから採るべき方策を探ってみよう。以下はおれの予想であって、医者の診断ではない。

1. 舌区を切除しない
1-1 n年に1度気管支鏡を繰り返す→今までどおり常にモニタリングして、ハイリスクなステロイドを投入する必要がある

2. 舌区を切除する
2-1 それなりに大手術である。20年前自然気胸の手術を受けたときには開胸から2週間で退院できたが、今の年齢なら快復に何週間かかることやら。
2-2 アスペルギルスが他の部位に新しく帝国を築くかもしれない
2-3 呼吸機能は確実に低下する(25%減)のでもう少し歳をとったときの行動半径が心配

3. その他
3-1 詰まりやすい葉気管支の部分だけ切除して、舌区を直結するとかバイパス気管支をつなぐとか人工気管支に代えるとかでけんか。
3-2 詰まりやすい葉気管支の内側を削ってボアアップすればいいぢゃん
3-3 今回切除しないでいたら次のn年までに真菌症治療が進歩して、外科切除しなくて済むようになるかもしれないぞ
3-4 そもそもこれ治さなあかんか。

さぁどうやら真菌症とは別の肺炎を併発しているのであろう、おれの奇妙な微熱――38℃や9℃は微熱ではないが――の小康状態を狙って再度気管支鏡を入れ、真菌症と日より見感染の経過観察をせんければならなくなった。
今日やる。

たぶん何かいろいろやって舌区を再利用するより捨てちまうほうが簡単で後腐れがなくてラクなのだろう。
おれの一番の心配は、ア帝国の外の部位での復興である。舌区をぐずらせておくほうがマシだったねというオチを恐れているのだ。

またしょーもない当て推量であるが、おれ花粉症ぢゃないのね。それはもしかしてア帝国との攻防に忙しくておれの免疫機構が花粉なんぞに構っていないせいではないかと。
1年の大半を花粉症で悩むのとn年に数週間入院拘束されるのとあなたどちらがいいか。

気管支鏡を再度いれて経過観察。喉麻酔担当がてきとーすぎて麻酔が充分かかっておらず、管を感じまくりで咳込みまくりで(通算7回のうち)最低の出来だった。気管支鏡のチューブを噛み砕かないようにマウスピースをくわえているから術中「麻酔効いてないよ」と言うことは不可能なのだ。咳こんで海老のように(主観)跳ねてんだから気付けよ。
再び点滴チューブが右腕に装着された。

『古書狩り』読破

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01.6/26(火); 14; 約束の日

微ー熱Books ←シュナイダー合掌(今ごろ)

****にtelして当座の仕事の取り決め。勤務表のシメを含めて一度今週中に出社したほうが良さそう。金曜日までに再度telを約束する。

週刊ASCII(01.7/10)

入院に際してVISORを持ち込んだのは、「予定表+」に日誌を付ける(何時に点滴して何時に飯くったとか)ほかに、日頃のおれからして「バックギャモン」をやり狂うだろうと思ったのね。しかしぜーんぜんやる気が起きないのだ。「ロードランナ」も「オセロ」も全く起動していない。もし何かでVISORのメモリが圧迫されたら消したって良いや。


昨日の気管支鏡で右手にまた点滴チューブを設営されてしまい、あー夏休みな気分(嘘)。半ば自動的にこのチューブからの点滴が再開した。抗生物質の投与だけである。それでもう熱が38℃行かないんだから大したもんだ、と言うよりおれが弱りすぎているのであった。
おれが入院するときの方便が「2週間くらい」だったので一応14日目の今日が「約束の日」であるが退院のたの字も出てこないのであった。まぁほんとに「約束」はしてないんだけどさ。

微熱の続くのが何を意味するのかはっきりしないのだ。結核ぢゃなきゃ良いけど。

あ・そうだ。おれがいわゆる花粉症でないのはアスペルギルス帝国の副産物ではないかと昨日かいたけれど、もうひとつ当て推量があるん。
おれの右臑には十数年に渡って治らないでいる皮膚炎のような火傷の痕のような皮膚の異状がある(それは皮膚炎だろう)。大マゼランと小マゼランの双子星雲のように、4×3cmの楕円と2.5×3cmのが縦に隣接して臑の正面真ん中を侵しているのだ。
初めの頃これを掻きむしるとえも言われぬ快感があって、血が滲むまで掻き壊すのを繰り返していたら定着してしまったん。一時期はアンドロメダ大星雲の如くひとつの掻き傷に成長してい、掻き壊すときの快感と言ったらあなたそれはもう。
シカシおれとてこういうものがあって良いとは思わんし、人面創になってクチ利いたりメシ食ったりしたら厭なので治したくなり、掻かないようにして幾星霜。ちっともかゆくはなくなったものの、ある程度以下には縮小せず大して成長もせずでいま現在は上記サイズに落ち着いている次第である。

で、この皮膚炎がアスペルギルス帝国の国勢をインディケイトしているのではないかしらと。
ただおれ自身ア帝国の興亡と皮膚炎の盛衰とが関連していると確信するには至っていない。何となーくおれのホメオスタシスが「同じ反応」をしているような気がするだけである。
「真菌症」とか「アスペルギルス」とかで検索していらした方方へのご参考に写真を載せておこう。えーと、そうだな、水虫の写真よりは随分おとなしいがそれを見るくらいの覚悟がある方はどうぞ[写真010626; 44KB]。


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01.6/27(水); 15; 筋トレするのだ

王手筋トレ

ステロイド投入再開が近いようである。お医者が意識的に筋トレしろと言うん。3年前には筋力が落ちると注意されただけであったから、更に高単位を遣う気であるのであろう。

おれがプロレスラーだった頃は毎日スクワット8000回・腹筋5000回・腕立て伏せ3000回をこなしていたものであるが、そういうので良いのかな。
忘れないように連想習慣づけしないといけないので、腹筋11回を朝夕の「服薬」の項目に入れ、大便したあと水を流しながらスクワットを11回やることに決めた。何故11回っておれはゾロ目が好きだからである。そしてこれ以上の数字を設定したら面倒さが勝ってやらなくなるに決まっているからである。

微熱おちつきそうな雰囲気がなくはない。月曜の点滴から抗生剤がちょと違うらしい。こうした情報が後から与えられるのは如何なものか。

んで仕事場のシメの関係もあって電話を掛け、ヒトの少ない土曜日の休出者名簿におれを混ぜといてもらうようお願いした。
金曜日に仕事の打ち合わせも片付けられればもっと良いのであるが、目下の担当者がお休みなので――これはおれと違って1箇月も前から休暇願いの出ているフェアな年休――おれが顔を出しても直接会話できないから余り意味がないのである。

仕事場のPCに赤外線ポートあったかなあ。もしあれば「PalmMagazine」の付録CD-ROMを持ってってPalmDesktopぶち込んで、PalmScapeやらDocエディタやらVISORに入れてこますんだけどなあ。
仕事場のPCにPalmDesktopを仕込んでおくというのは以前かんがえてたんだけど、そのためにクレイドル買い足すの厭だなあで思考ストップしてしまい、赤外線の利用へは思い至らなかったのだった。ウカツ。

小松左京マガジン(2)読破。残りは『カエアンの聖衣』だけになってしもた。

午後洗髪。床屋の洗髪台でセルフサーヴィスでやるのと同じ(セルフな床屋はないけれど)。右手の点滴チューブはビニール袋で覆ってガムテ貼りした簡易防水、左手だけでシャンプーする。右手はシャワーヘッドを持つだけ。
髪さえ洗えれば入院にまつわる負の領域(ダークサイド)がずずんと減るなぁおれ。

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01.6/28(木); 16; 支払いの日

Conti入院g Story of Bungalow Bill

余りにプチだったり空振りだったりした場合はスクワット6回で勘弁してやろうと思うがあなたもうネをあげてやがると見破るか。

でもスクワットってウサギ跳びと同じで、かつては奨励されたが今やかえって体を傷める運動のひとつに数えられてたような気がしてきたん。膝を伸ばしたまま起き上がり腹筋をやってはいかんとかの、条件付きの奴だったかな。
単にしゃがんで立ってを繰り返すだけなら日常動作の反復だもんね、問題ないよな。そういうのはスクワットとは言わんと仰る向きには申し訳ないが、便宜上スクワットと呼ばせてちょーだい。

*****病院では毎月10日20日末日が請求の日である。どんな長期入院でも概ね10日毎に清算するのだ。
おれの入った13日から20日までの分の請求書がやってきた。ここでの焦点は望まずして入った個室の差額であるが、2泊3日居て3万円の請求であった。2日分だな。元元「泊」で数えるのか大部屋待ちだったのを手加減してくれたのかは判らない。
総金額は*****円である。
この請求書の20日シメから既に8日が経っているのであり、「室料差額」がなくてももはや結構な額を費やしているのであった。

週刊モーニング(01.7/12) もう『えの素』さえ載っていれば買う。ロッパー。
先週の『ガキの使い』も『松本紳助』もそして今週ずっと「ラジオ名人寄席」さえ起きていられずに聴き逃している(AMからTV12chまで入るポケッタブルラジオ(Sony ICF-SX55RV; お薦め)を持ち込んでおり――昼間レンタルTVをつけている間でさえ――オンエアは全てこれで聴くのだ)。
なあんかもう俗世間解脱モウドなのかもしれないのだった。おれがロビンソン_クルーソーだったら壁に傷を付けて日を数えるのを、今日はもうやったっけこれ昨日のだっけと自信がなくなって止める頃合いなのだった。
ロビンソン_クルーソーとコト穏便に済まそうは似てるネ。

唯一クチを利いていた******さんがご退院である。おめでたいが寂しいなあ。

ステロイド治療を再開するので――今度は500単位だっ――入院が延びるのだった。お医者が1週間から2週間と言うから2週間のほうであろう。
ステロイドの点滴を明日から始めそうな口ぶりだったので、再開を決めたんなら今日いますぐ始めろとおれは怒ったのだった。ステロイドの副作用のひとつに興奮しやすくなる(眠れなくなる)というのがあるが、投入前に怒らせてどうするか。
しかし困ったなあ。会社方面に何て言い訳しよう。そろそろおれのクビが掛かってくるよなあ。え・とっくに掛かってますかそうですか。

この日記、毎日webで公開したいなあ。仕事場の好事家に読んでもらって同情を引こうという魂胆なのだけれど。

おれはこの入院を10日間と踏んでいて――2週間より短い――VISORの通信系は和製VisorPhoneが出てからで充分だろうと下調べも怠っていたのだ。抜かったぜ。もう少し簡単にウチへの「外出」もできると高をくくっていたしね。********時代より往復1時間以上移動時間(+疲労)の増すことを甘く見ていたよ。

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01.6/29(金); 17; 言い訳の日

筋トーレ セーラムライト
セーラムライトと性欲むらむらは似てるネ。

筋トレに上半身の運動が入ってなかったので昼食後の「服薬」に「手の皺と皺を合わせて皺寄せ〜となって息を吐きながら11秒間全力で両掌を押し合う」というのを2回やることにした。
「息を吐きながら」で正解と思うんだけどあんまり自信ないから違ってたら竹刀で殴らないで言葉で教えて。あるいはその運動はやっても意味ないよとか。
普段つかわない筋肉を鍛えるのが目的なのではなくて、日常つかう筋肉をなるべく痩せさせないことが肝要なのであるよ。


朝9時に****へ電話して、入院期間が延びたことをお伝えする。
「医者が1週間から2週間と言ってますから2週間だと思います」と申し述べ、全体で1箇月の休みになってしまうからおれの会社とのお話し合いを持っていただくようお願いした。「箇月」となるとおれの進退に関わってくるレンジであろう。
13時過ぎに********にもtel。


点滴についておもしろいことを聞いたのでメモメモ。
点滴のぽたぽた落ちるのが終わったり或るいはチューブの中に気泡を見つけたりすると、くくく空気が空気が血管に血管に血管にははは入ってしまうーっ死ぬ死ぬすぐ死ぬとパニックになるヒトは実在する。実際にはバルブと気泡トラップがチューブに付いているから空気の浸入は発生しない。
んでも何かの事故やら悪意やらで本当に空気が注入されたにせよ、20cc!くらいまでなら気泡が静脈流に入っても何てコトないそうである。だからまぁ点滴中は安心して居眠りしていてよろしい。動脈流は知らんよ。

ただし血管内常駐型の点滴接続チューブ(「ルート」と呼ぶといま看護婦さんを捕まえて聞いたので以降「点滴ルート」)のバルブに接続している場合は、点滴が終わったら速やかにバルブから外して凝固防止剤の注入(これはバルブへ注射器でする)で締めたほうがよいそうである。
おれなぞ点滴が終わったくらいでナースコールを使うより、そのうち巡回してくる看護婦さんを待ってたほうが親切なつもりでさえ居たのである。しかし一度凝固させると点滴ルートは交換せざるを得ないんだそうで、これ即ち血管への挿入やり直し=患者に対して無用の苦痛を強いることにつながるから、むしろ呼んでくれたほうが看護精神から言っても嬉しいそうなのだった。そうかー。やはりプロにはプロの美しいロジックが存在するものよのう。

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01.6/30(土); 18; 外出ふたたび

****の舟に端の悔。一寸防止。

10時半外出のため点滴を6時半から開始してもらう。3本連続なのだ。
ネブライザが10時からだからそれよりは早く外出しづらいん。
本日の行動予定は昨日綿密に『予定表+』に立ててある。電車の移動時間も考慮してあるから余裕シャク^2だ。

病院出発は5分遅れて10:35、********で『パタリロ!』を電車の友に。
******でのVISORモデム入手を速攻指名買いして時間短縮、自宅着が15分はやまった。
でも自宅を出て******に向かうのが1時間半おそくなり(こらーっ)、15:30予定だった****着が16:50。
そこで読むべきemailの数に圧倒されて自分からの送信はひとつもできず。勤務表を「年休」で埋めつくして提出し、*******に若干の指示メモを残すのが精一杯。おれへの宿題メモを回収して、それでも******出発時刻は********帰院予定時刻(19時)の15分後であって、病棟に済みません済みませんと謝り倒し電話をして1時間遅刻の20時に帰院できた。
1時間遅刻すると午後の点滴開始も当然おそくなるから消灯時刻(21時)内に終わらなくなり、看護婦さんにも同室のヒトにも迷惑なことなのである。申し訳ない申し訳ない。

今日の『予定表+』では、帰院までに45分間もバッファが設けてあったんだけどなあ。一体だれが悪かったんだろうなあ。

今回の外出で一番おどろいたのは、てっきり即日納めたと思いこんでいた軽自動車税(2.4k円)が未納で督促状が来ていたこと。
おれがそんなドジを踏むものかボケ区役所がコロしたろか毒づきつつ郵便局の領収書を捜していたら、あに図らんや確かに未納であったのだった。うーむ、穴があったら入れたい。
おれが今度いつ外出できるかは不明瞭なので、たまたま****で会えた******に月曜日に代理で納めてくれろと1万円札と一所に依託した。延滞料はまだ切り捨てで無料の範疇と思うがなあ。

もひとつbk1からの宅配便の不在連絡票のあったのが痛い。病院のほうに回送してもらうのが一番であるが、宅配料が新たに発生するのか支払いをどうするのかが不詳である。

更に仕事場PCに仕込んでおこうと思ったPalmDesktopがPalm Computing社製品の版のもので、おれのHandspring社製Visorでは用を足せないものだったのが大変な誤算だった。****でHotSyncできれば自宅にまで帰る必要性が薄れて3時間は浮くのである。
「PalmMagazine」誌付録CDのそれで充分と見て、ウチにあったVISOR用のを持ってこなかったのが大失策であった。結果仕事場PCでHotSyncはできずじまいであり、次回もういちど自宅まで戻ってVISOR用アプリ・ドライヴァを取ってこないと行けない。

****から回収してきた当座のおれの宿題が訳が解らなくて泣きそう。全部月曜日にtelして事情を聞き直さないと回答できそうもないん。

本日の「外出」はブツを押さえたというだけで内実はスカ。実現度55%というところか。
ああっ、ウチで飲みかけだった「ダカラ」を冷蔵庫にしまうのを忘れた気がするぞ。あれこそ黴びちゃうよなあ。

ラジオ深夜便。高津友義つまらなすぎ。すぐ聴くの止める。