神奈川月記9710

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ラックの裁断図は右のように非常に単純である。まず天地にあたる板を4枚確保して,残りを16等分するだけだ。ここで指定の数字が横幅の584しかないのは,これ以外の寸法が数mm揺れるのはどうでもよろしいという意思の顕われである。
定尺とは言えサブロク1枚1枚の実寸は微妙に違うものであり──おれの経験では915×1820mm^2が多かった──すべてにきっちり数字を与えると,モノによっては1mm足りなくなったりわざわざ1mm削ったりということが起きる。また当然ながら1カット毎に鋸刃の厚み分(大抵3mm)が失われるのであるが,それを見込んであと何mm採れるかをこまごまと計算するよりも,必要な長さを採った残りを全部とか2等分とか指定するほうが楽で無駄がないわけだ。
16等分した板はラックの側板(支柱)である。2枚づつ貼り合わせて──前後にちょっとずらせると恰好よい──42mm厚としたブロックを4本づつ立てて天地板でサンドイッチする。それで(おれの経験則では)584×450×267mm^3のラックが2台できあがり。584などという中途半端な数字は横幅の内寸を500mmちょうどにしたいがためなのだった。もし18mm厚のサブロクで作ればこの内寸は512mm・高さの外寸が261mmになるのねん。
組み立ては木工ボンドとスクリュー釘によるイモ接ぎで,完全固定式。頑丈この上ないがやたらと重くでかい。塗装するなり壁紙を貼るなりすれば見栄えも良かろうに,面倒で作りっぱなしてある。インテリアとは無縁の実用一点張り品だ。ばらせないから正しく引っ越しのお荷物になるぞ。
今回ラックの増設は1台で良いからサブロク半枚で済む。しかしラック1台でも増えれば家財のレイアウト変更であってそれ相応の労力がかかり,労力ついでに机と椅子も入れて大幅変更にしてしまえと考えた。机と椅子が入ると今あるリアスピーカの置き場所が怪しくなる。スピーカも作りなおしたい気分だしラックの件で東急ハンズへ行くんなら──板の購入と裁断はハンズの木工部に頼むのだ──一所に新調するか。試してみたいスピーカはサブロク1枚と半分つかうから,2枚になってちょうど良いや。
とまぁ数年来の懸案が幾つかぷよぷよ連鎖のように繋がった。やってみよう。
オウディオをちょいと弄っていて専門雑誌を読むような人にはお馴染みの長岡鉄男という評論家が居り,ウチではこの人設計のスワン+クレーンで4chスピーカマトリクスを実践している。ごく一般的なL・Rの2chステレオから逆相成分(言わばマイナスLとマイナスR)の2chを作り出してリアスピーカで鳴らすものだ。
フロント メインに10cmフルレインジ スピーカ1発のバックロードを配し,リアに同じく10cm1発のバスレフを宛う。リアは最も簡単なマトリクス接続で,サラウンドプロセサの類は一切使用していない。
今度つくろうというのもマトリクス狙いなんだけど,リアスピーカの置き場所を取れそうもないからフロント2本のキャビの中に組み込んじゃおうかと思うのね。リアの鳴らす差信号(逆相成分)は元もと定位が曖昧だからフロントにあっても何とかなるんじゃないかと。
むちゃくちゃ言っているようだが結局は左右に開いた耳孔を通って鼓膜に音波が届けば良いのであって,波形がきちんと再生されさえすればステレオイメイジの構築は脳味噌の仕事だ。試してみたいというのは実にこの効果である。うまく行ったらお慰み。
10cmフルレインジ ユニットが6本(皆8Ω)あるんで,これをみな使って6chで行こう。当面はマトリクス接続だけど,現用アンプが壊れDVDなんかで5chが主流になったらツインセンタとして結線しなおす。5ch化を睨んでの6ユニット仕様である。
裁断図は右の通り。
2枚目の右半分がラック1台分である。今回は15mm厚ということで支柱は3枚貼り合わせ,横幅の内寸が494mmとなる。その代わり高さを稼いで──最初の板取図とは支柱の縦横が逆になっている。1820mmの板であれば6回はいる鋸の刃厚が3mmとして(1820-3×6-170×2-140×2-584)/2が机上計算値──内法299mmだ。
天地の板が15mm厚というのは如何にも薄いが,21mm版ラックと重ねれば36mmである。ま,大丈夫だろう。
スピーカのほうはキャビネットが上下分割式のトール ボーイである。やはり長岡設計のものだが(MX-111)4本ユニットのところを勝手にアレンジして6本使う。下部にフロントメインの防磁型(FE107)が入り,上部にマトリクス再生用の(FE103Σ)が2本づつだ。マトリクスの内1本は天板づけで上向きになる。
メインに強力なΣを使いたいのだけれど,スピーカはTVのすぐ横に並べたいから防磁型の107がブラウン管の側に来るようでないとうまくない。マトリクスの位置でもΣは画面に干渉するかもしれないが,これは作ってみなければ判らない。もし実機で出るようならうんと離してΣをメインに繋ぎなおす。このへん融通の利くように各ユニットに独立のターミナルを設け,キャビ背面で結線するつもり。図面で8mmの穴がぽつぽつ開いているのはターミナルの取り付け位置なのである。
念のために申し述べておくが,上図はおれが勝手に改造した結果のものだからね。作ってみて酷い音になっても長岡氏の責任ではないし,おれだって責任なんか取らないよ。


うーん。ソニーがDVのデッキを出した。これが43万円である。DVカムの編集用と言うよりも,チューナを持っているようだからTVエアチェック・ダビングマスタ用だ。ハンディカメラには全く興味がないのだけれども,こっちのほうにはぐっと来る。もろにEDベータの地位と被るからね。
しかし43万円とは。DVカムが当初22万円だったからデッキもそのくらいから始まると思ったけどなあ。ただDVのデッキが出たからには──MDやDATのSCMSと同じダビング制限が科せられている──録再DVDの目もあるということだ。もちょっと待ってみたい。
とここでMDデッキのほうでPCによる編集コントロウルの可能な機械を出してきた。こっちは5万4000円と安いでやんの。しかしコントロウルするアプリがfor Win95/Macである。没。

1997年10月9日


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ぷよぷよ
 説明不要でしょうが「落ちもの」ゲイムの代表格。確かにおもしろいけど,おれは弱いよ。for Windowsの体験版しか持ってない。

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FE107・FE103Σ
 名門FOSTEX社の10cmフルレインジ スピーカ ユニット。Σ系は磁石倍増・磁束シールド無しの超強力型で,バックロードのためにあると言っても良いんだけど今回はダブルバスレフに使いまわす。FOSTEXはlinks.htmに繋げたかったのにWEB作ってねえでやんの。

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防磁型がブラウン管の側に来るようでないとうまくない
 磁石をブラウン管の表面に這わせると磁力線に沿って汚い虹色が出るでしょう。でもこれは癖になりやすいから──磁石を離しても虹が消えない──やり過ぎないように。

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written by nii. n
裁断図1 MX-111改1 MX-111(1) MX-111改2