ARENAから他のメールソフトへ

2003.11.27


●ついのその時が来ちゃったよ

私はここ数年、ARENA Internet Mailerというメールソフト(俗に言うメーラー)を使っていた。シェアウェアの良質なソフトウェアとして、特にMac OS 9からMac OS X初期に大きな役割を果たしたものだ。既に開発は終了しており、現在はメンテナンスモードに入っている。私はMac OS Xに入ってからも順調に使ってきた。PowerBook G3からiBookへ乗り換えた際にも、何のトラブルもなかった。

そう困っていたわけではないのだが、ふとしたことから発見した仕様が、気になって気になって仕方ない。既にメンテナンスモードに入っているソフトウェアだから、いまさら仕様の変更は出来ないだろう。こちらもうるさく言う気はない。

手元で少し試してみると、Mac OS X付属のMailが、意外にもこちらの要求を満たしていることが判明した。どーでもいーけど、ソフトの名前が「Mail」って、すげー。あまりにすげー名前なので、多くの人が「Apple Mail」と呼んでいる。いや、ほんとーにそんなことはどーでもよくて、そうとなったら、メールソフトの乗り換えが必要だ。


●ARENAからの乗り換え

ところで、メールは多くの人が、アドレス帳と通信記録を兼ねたデータベースとして使っていると思う。毎日使うものだけに、そしてどんどん通信記録がたまっていくだけに、簡単に乗り換えるのが難しい。移行するデータの量が半端でないし、アドレス帳なども乗り換える必要がある。

さらに、Apple Mailは最初から評価が高いわけではなかった。最初のバージョンは練りが甘く、動作もかなり不安定だった記憶がある。ためらいを感じないわけではない。ただ、現在の段階でMac OS Xのホットなメールソフトは、GyazMailくらいだ。このソフトも、Apple Mailからデータをもらうことを考慮に入れている。ということは、いずれにせよ、一度純正のメールソフトに乗り換えておくと、他のメールソフトと行き来するのが楽になる。

ところが、ちょっとWebで検索すると、ARENAからApple Mailへ乗り換えた方々の多くは、移行が大変だった、という記述が目立った。私なりにまとめると、以下のようになる。

 1.そのまま読み込ませると、文字化けしてしまう。

 2.この問題を解決したとしても、添付ファイルをきちんと移せなかった。

上記の1.に関しては、JISコードのメールをシフトJISで保存するために起きていること。文字コード変換で簡単に対応できる。

問題は、2.だ。単に文字コード変換したメールファイルを、AppleMailに読み込ませると、添付ファイルを含むMIMEマルチパートをきちんと認識できず、長いテキストメールとして扱ってしまうため、はなはだ不便。ARENA2Mailというユーティリティを公開している方もいらしたが、そのマニュアルによれば、この問題については完全に対応していない旨の記述があった。

ARENAは、メールファイルをEudora互換形式で保存している、だから他のメーラーとのデータ受け渡しがラクだ、というのが当初のウリだったはず・・・そこで私が思いだしたのは、Windowsのメールソフトを使ってきた経験。メールヘッダーに入っている文字エンコーディングがISO-2022-JP(JIS 7bit)であるメールを、シフトJISで保存するのは、多くのメールソフトが普通に行っていること。そして、相互にメールファイルを乗り換える際に、Eudoraの既読・未読情報、優先度情報などをあきらめてしまえば、標準的なmbox形式で読み込ませることで対応しやすい。

このことを念頭に置けば、ARENAからApple Mailへの移行もうまくいくはずと思い、実験してみる。きちんと出来ることがわかった。私が行った手順を、まとめておく。


1.ARENA上で、まずすべてのメールボックスに「無駄な容量」がないかを確認し、あれば圧縮しておく。終わったら、ARENAを終了させる。

2.ARENAのメールファイルが保存されているフォルダより、メールファイル本体を別ディレクトリにコピーする。ちなみに、ARENAではたとえば「仕事」というメールボックスがある場合、仕事フォルダの中に、仕事という名のメールファイル本体と、仕事.tocというTable of Contentsファイル、それに加えてMailbox.prf(各メールボックスのプリファレンスファイル)がある。tocとプリファレンスはいらない。

3.コピーして集めたメールファイルは、すべてテキストファイルである。これを、テキストファイルの漢字コード変換ユーティリティで、以下のように変換する。Drag & Dropで複数のファイルを一気に変換してくれるユーティリティがあれば、仕事が速い。
       漢字コード:シフトJIS→JIS(7bitの新JIS)。
       改行コード:LF(UNIX形式)

4.すべて変換を終えたら、Apple Mailを起動する。

5.ファイルメニューに「メールボックスの読み込み...」がある。これを選ぶと、他のメールソフトから移行するためのガイドが現れる。「標準mbox形式」を選び、続いて先程変換を済ませたメールファイルが入っているディレクトリの最上位階層を指定する。すると、そこに入っているすべてのメールファイルを一気に読み込める。あまりに数が多いなら、サブディレクトリごとに、複数回に分け、確認しながら行ってもいい。

6.Mail上で「読み込み」フォルダが出来る。ここに読み込んだメールファイルがすべて入っている。これを適宜、自分の好みに応じて分類し直す。(読み込みを複数回行うと、「読み込み」「読み込み2」「読み込み3」...と複数のフォルダになる。分類し直すのは同じ。)

7.読み込みフォルダから、すべてのメールフォルダをとりだしてしまえば、読み込みメールボックスは削除して構わない。念のために、文字化けや添付書類の扱いなどがうまくいくか、気になるメールボックスをいくつかのぞいてみて、うまくいっていればおしまい。


ところで、注意する点がいくつかある。

・ARENAのメールボックスは、すべて圧縮してから行うこと。これを省いた場合、たとえばInBoxから手動で他のメールボックスに入れたものが、AppleMail上では見えてしまうため、同じメールが複数存在して面倒。

・添付ファイルをうまく扱うには、Eudora形式よりも、mbox形式の方が有利なようだ。このあたり、時間をかけて追及できていないが、実験の結果から確実である。

・ARENA2Mailを使うと、AppleMailでの読み込みという面倒な過程が省ける代わりに、添付ファイルの扱いは保証されていない。私はそれでは困るので、上記の面倒な手順を踏んだ。どーでもいい人は、楽な方法で十分だろう。

・AppleMailで「読み込み」を実行すると、ARENAで使っていた未読・既読の記録などはすべてクリアされ、未読となる。これを必要なものだけ既読にしていくのは、結構手間がかかる。時間がかかることは一応覚悟すること。(苦笑)

というわけで、私が今回とった手順は、データの保全を最優先に考えて、えらく手間のかかるものとなった。まぁメールには仕事の情報なども含まれているから仕方ない。自分で忘れると困るので、記録として貼っておく。他の方の参考になればとも思う。


[付記]アドレス帳の移行には、ARENA2vcfというフリーウェアが役立った(上記ARENA2Mailの作者のもの)。作者には非常に感謝している。


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