ロータリーコマンダーの防水加工  - Waterproofing of Rotary Commander -

 R1100RTに搭載する純正のカーステレオは、ハンドルに付けるリモコンや、縦に見ても見やすいパネルなど、バイク用に設計されているだけあって便利です。ただ、リモコンの機能不足(SEEKと音量のみ)と受信感度の悪い点は何とか改良してもらいたいものです。また、その価格が非常に高いこともあって、敢えて純正を選ばずに市販の車載用カーステレオを付ける方も多いようです。

rmx4s.jpg SONYのカーステレオにはロータリーコマンダーというワイヤードリモコンを付けられるタイプがあります。(左写真はX-4S)
このリモコンは多くの機能を持ちながら大変コンパクトにまとめられており、操作性も実に良く考えられています。バイクに装着しても、このリモコンだけで殆どの操作ができますので、カーステレオ本体に触れる必要がありません。ただ、残念ながら防水仕様ではありませんので、雨天の時は取り外すか、ビニールカバーなど何らかの対策が必要です。
 今回は、このロータリーコマンダーの防水対策を考えてみました。

commander_swsheet01-s.jpgcomander_back.jpg  ロータリーコマンダーの裏蓋のネジ3本を外して分解してみると、底の部分には多くの抵抗器とスイッチが付いたプリント基板と、その上に乗せられたゴムシートがあります。ゴムシートの裏側には黒い導電性のゴムが付いていて、プリント基板上の極板とペアでスイッチを形成しています。


comander_inside-s.jpg  右の写真は基板部を外して操作部を裏側から見た様子です。スイッチを動かす精密な機構部が見えます。各押しボタンに対応したリンク機構が基板部のスイッチを押すようになっていて、なかなか面白いと思います。 中央の白いプラスチックの上には薄い透明板が乗っていて、紛失しやすいので注意してください。裏ブタは必ず操作部を下にして外してください。
 この分解の結果、上部の操作部はプラスチックのパーツなので、防水対策は基板部だけで良い事が判ります。



comander_pb01-s.jpgliquid_rubber-s.jpg  そこでまず、基板部のゴムシートを外して中央の押しボタンスイッチの防水処理をしました。このゴムシートは2ヶ所の支柱にひっかけてあるだけですから簡単に外れます。ゴムシートの裏側の黒い導電性ゴムと、プリント基板上の極板が汚れると抵抗が大きくなって故障の原因になりますので、絶対に触らないでください。
 さて、中央のスイッチの防水処理には液体ゴムを使いました。この液体ゴムは、最初は割にサラっとした液体ですが、乾くと透明なゴムになるというもので、滑り止めや金属のサビ防止、電気の絶縁などに使えます。これを写真のようにスイッチのボタンの周りに付け、裏返して、乾くのを待ちます。ボタン上部には塗らないほうが良いでしょう。裏返しにするのは、スイッチ内部に液体ゴムが入り込むのを防ぐためです。また、ボタンのストロークは大変短いので、ゴムが固まっても動作の障害にはなりません。


pb_back-s.jpg  次に、基板の裏側にも液体ゴムを塗って乾くまで待ちます。この時、あまり厚塗りをすると機構との間隔が変わって、最悪の場合スイッチが動作しなくなりますので薄めに塗っておきます。


pb_bousui-s.jpgbathcaulk.jpg  裏側が乾いたらまた表側に戻り、プリント基板とゴムシートの隙間から水が浸入しないように、ゴムシートの周囲を防水処理します。、今度はバスコークを使います。これはシリコン系のシール材で、タイル目地や外壁のシールなどに使うもので、ゴムシートと接着性が良いようです。くれぐれもシール材が基板の内側に入らないようにしてください。スイッチが動作しなくなります。シートの周りのチップ抵抗や回路部分は問題ありませんので、バスコークを塗っておきます。


 以上で作業は終わりです。完全に乾いたら元どおりに組み立てて、スイッチの動作を確認してください。シール材によりゴムシートと操作部の機構との間隔が若干変わりますので、操作感が少し変化するかも知れませんが、機能には影響ありません。あまり厚塗りしたり、シール材が余計なところに付着してうまく動作しなくなった場合は、シール材を剥がしてやり直してください。シール材は接着剤と違って比較的、簡単に剥がせます。

 防水加工に2種類のシール材を使う理由として、各々の特徴を述べておきます。
  液体ゴム
・ゴムシートに接着しない(良い点でもあります)。
・筆などを使って薄く塗れる。
・固まった後も柔軟性が高い。
  バスコーク
・ゴムシートに接着性が良い。
 

材料メモ

材料 数量・仕様 金額 入手先
液体ゴム BE2 クリア 950円 ホームセンター等
バスコーク クリア 700円 ホームセンター等


  (注)価格は店や購入時期によってもかなり差が有ります。目安と考えてください。

参考データ

sikumi.gif   ロータリーコマンダーには11個ものスイッチが付いていますが、信号ケーブルの芯線はわずか3本です。カーステレオ本体は押されたボタンをどのようにして認識するのでしょうか。その仕組みを簡単に説明したのが右の図です。A〜Cはスイッチ、R1〜R2は抵抗器です。
 今、Aのスイッチを押したとすると、カーステレオ本体から見た時の回路の抵抗はゼロ、Bを押すと回路の抵抗は10kΩ、Cを押すと同じく30kΩ(10kΩ+20kΩ)になります。これで、2本の信号線で3つのスイッチの情報が送れます。このように、カーステレオ本体は、繋がった抵抗の値によって、どのボタンが押されたかを認識します。
 動作確認にテスターをお使いの方や、ロータリーコマンダーの応用をお考えの方のために、内部の回路図を用意しました。ご興味のあるかたはこちらの回路図/schematic diagramをご覧ください。



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