歌枕紀行 比叡山

―ひえいざん―

比叡山根本中堂
比叡山根本中堂

 京都市と大津市の境を南北に連なる山。叡山とも。天台宗総本山延暦寺がある。延暦年間、最澄がこの山に一乗止観院を建立したのがその始まりであった。

阿耨多羅(あのくたら)三みやく三菩提(さんぼだい)の仏たち我が立つ(そま)冥加(みやうが)あらせたまへ(最澄[新古今])

おほけなくうき世のたみにおほふかな我が立つ杣に墨染の袖(慈円[千載])

大比叡(おほひえ)やをひえの山も秋くれば遠目も見えず霧のまがきに(曾禰好忠)

大比叡やむかしの杣木こゑかすみいまも高ねに春風ぞふく(正徹)

大比叡やをびえの雲のめぐり来て夕立すなり粟津野の原(賀茂真淵)

大比叡やをひえのおくのさざなみの比良の高根ぞ霞みそめたる(香川景樹)



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©水垣 久 最終更新日:平成13-08-18
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