歌枕紀行 安達が原

―あだちがはら―

安達が原 黒塚
安達が原黒塚。鬼婆「いわて」の墓と伝わる。

 安達太良山の東麓、阿武隈川に沿う原野。いま二本松市に安達の地名が残る。

みちのくの安達の原の黒塚に鬼こもれりと聞くはまことか(平兼盛「拾遺集」)

思ひやるよそのむら雲しぐれつつ安達の原はもみぢしぬらん(源重之)

まゆみ散る安達が原に朝たてば木の葉くつはく駒のつま音(源有房)

しぐれゆく安達の原の薄霧にまだ染めはてぬ秋ぞこもれる(定家)

わがためはこれや安達の黒塚に夕草わけて人は入りにき(藤原行能)

安達が原 岩手の岩屋
観世寺境内。「いわて」の住んでいた岩室と伝わる。


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©水垣 久 最終更新日:平成12-08-22
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