誉謝女王 よざのおおきみ 生年未詳〜慶雲三(706)

伝不詳。慶雲三年六月、従四位下で卒去(続日本紀)。

二年壬寅(みづのえとら)に、太上天皇、参河国に(いでま)す時、誉謝女王の作る歌

流らふるつま吹く風の寒き夜に我が()の君はひとりか()らむ(万1-59)

【通釈】絶えず流れるように軒端に吹きつける風が寒い夜に、私の夫殿は独り旅の宿で寝ているのだろうか。

【語釈】◇流らふる 絶えず流れるように吹きつける。「風」にかかる。◇つま吹く風 原文は「妻吹風」。「つま」は「軒のはし」の意か。「妻」を「雪」の誤写とする説などもある。

【補記】大宝二年(702)、持統太上天皇の参河国行幸に従駕した夫を思いやっての作。

【主な派生歌】
浦千鳥かたもさだめず恋ひて啼くつまふく風の夜ぞひさしき(藤原定家)


更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成23年06月16日