角麻呂 つののまろ 生没年未詳 

伝不詳。角が氏で麻呂が名か。万葉集に、難波・住吉行幸に従駕した際の作と思われる四首(3/292〜295)を載せている(ここにはそのうち二首のみ掲載)。『続日本紀』養老五年(721)一月条に優れた陰陽学者として褒賞されている角兄麻呂と同一人かともいう(代匠記)。

角麻呂の歌四首

久方の(あま)探女(さぐめ)が岩船の泊てし高津は()せにけるかも(万3-292)

【通釈】昔、天の探女の乗る岩船が天から降って泊った高津は、今やすっかり水が浅くなってしまった。

【語釈】◇天の探女 天稚彦(あめのわかひこ)に付き添って天降った神(摂津国風土記逸文)。◇高津 難波宮の近くにあった港。

【補記】実際難波に行った時の詠と思われる四首連作の最初。二首目以降を参考に掲げる。
 潮干の御津の海女(あまめ)のくぐつ持ち玉藻刈るらむいざ行きて見む
 風をいたみ沖つ白波高からし海人の釣舟浜に帰りぬ
 住吉(すみのえ)の野木の松原遠つ神わが大君の幸行処(いでましところ)


最終更新日:平成15年09月22日