菅原在良 すがわらのありよし 長久四〜保安三(1043-1122)

定義の息子。菅原孝標女の甥。源有仁に仕えた女房で勅撰歌人でもある花園左大臣家小大進の父。小侍従殷富門院大輔の祖父。
文章博士・摂津守・鳥羽院侍読・式部丞を経て、従四位式部大輔。承保三年(1076)前右衛門佐経仲歌合に出詠。元徳二年(1330)、従三位を追贈される。家集『在良朝臣集』がある。漢詩文にも勝れた。新勅撰集に三首、続千載集・続後拾遺集に各一首。

花落薫衣

散りかかる花やむかしのわぎもこが重ねし袖の匂ひなるらむ(在良朝臣集)

【通釈】散って袖にかかる梅の花は、昔恋人が重ねた袖の匂いなのだろうか。

【補記】「重ねし袖」とは、男女が寝る時に袖を重ね合わせることを言う。なお、よく似た歌が源資賢(1113-1188)の家集『資賢集』に載る。
 梅の花ふきくる風やわぎもこがかさねし袖の匂ひなるらむ

【本歌】在原業平「古今集」
月やあらぬ春や昔の春ならぬ我が身ひとつはもとの身にして


公開日:平成12年09月02日
最終更新日:平成15年03月21日